気がついたら
まだまだ文も表現も未熟です。コツコツ頑張って書いていきたいと思います。
「ここはどこ……?」
辺りを見渡すと、見たことのない景色が広がっている。
いつも通っていた通学路が緑の草原に。
夏を告げる蝉の声は奇妙な獣の遠吠えに。
青空に浮かぶ入道雲は赤紫色の空に浮かぶ不思議な色をした月らしきものに。
肩に掛けたスクールバックの手提げに力が入る。中には部活で使う楽器が入っている。
制服姿の少女、光は見知らぬ地で困り果てていた。
「確か、学校に向かう途中だったのに」
光は何をしようとも思わず、その場にしゃがみ込んだ。遠い視線の先には海が見える。
「まあ、いいか。 後で考えようーっ」
仰向けになって、しばらくその様子でいると眠気が誘ってきた。その微睡みに任せて、光の意識は遠のいていった。
***
ぺろっ、ぺろぺろ
(ん、んん、くすぐったい)
「……ォン! ニャオン!」
(ん? ニャオン……? 猫と犬が混ざったような鳴き声、変なの)
「猫と犬!?」
「ニャォオん!」ぺろぺろ
「きゃーーー!?」
目を開けると、そこには大きな猫?の顔があった。いや、猫というよりチーターかタイガー、もしくはライオンである。
大人ライオンサイズの大猫が顔を寄せて、光の瞳を覗き込んでいた。大猫?の大きな翡翠色の瞳に光が映った。光は手を伸ばして大猫の毛に触れる。さらさらした艶のいい黒毛だ。
「あなた、猫と犬どっちなの?」
「ニャオン?」
「まぁ、いいか。んっーー! なんかずっと横になってたから、身体が痛い」
ぺろぺろ
「もう、くすぐったいわ。あ、そうだ! あなたにいいものを聴かせてあげる」
光は手元に置いたスクールバックを開けた。中にはサックスが入っていた。サックスを手に持って立ち上がった。
「桜丘中学校A組出席番号15番! 吹奏楽部所属、サックス担当、眞上光。いっきまーす」
サックスから奏でられた音はとてもうまいものとは程遠かった。不協和音とはこのことである。
先輩や同級生から馬鹿にされ続けて必死に練習してきたのに、やっぱり上手くはいかない。
今日だって、本当は部活がオフなのを見計らって、自主練しに行く途中、気が付いたらここにいたのだ。まあ、どこで練習したって一緒だけど。
大猫はいつの間にかに寝ていた。大きな寝息まで聞こえてくる。
しかし、光はすっかり演奏に夢中になって、サックスを吹き続ける。
「最後に、もう一度アンコールを!」
光的にそろそろ最後の曲を吹こうと、サックスに構えた瞬間だった。
「そこの馬鹿野郎! 死にたいのか!?」
突然の罵声。振り向くとそこにはー……。
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