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2次元 友達 カード

 世の中の二次元の定義は間違っている。

『二次元と言うのは線のことだ。点と点を繋いだ線。それが2次元というもののはずなのだが、現在一般に二次元と言うと、アニメやゲームなど、いわゆるオタク的なものを指し示すことが多い。日本人として嘆かわしいと思わなくもなかったりするが、まぁ文化と言うものがそれで根付いてしまった以上、実のところ認めるしかないのだから仕方ないものではあるのだが、そもそもの定義を違えたままだな』

「いや唐突にそんな力説されてもな」

 呆れたように呟かれ、思わずはたと手を止める。

「論点は、ええと何だっけ?」

『いや一番忘れちゃいけないところだろそれ』

 溜息を吐き、そして実際に自分でも論点からズレた話をしていたのだとようやく気付くに至るが、そんなことをコイツに告げるわけにも行かず、澄ました顔を維持したまま最大のカードである『論点』を告げた。


『ネトゲで知り合った友達は、果たして友達と呼んでいいものか』


「お前はそれを友達だと言うが、そもそも友達の定義は何だ」

『友達だと思ったら友達でいいのではないでしょうか』

 意味もなく丁寧語になりながら言ってみる。

 そもそも、友達という言葉が曖昧なのがいけないのだ。お互いに友達と言ったら友達なのか。では言わなかった場合は例え仲良くなっても友達ではないのか。ゲームで知り合ってリアルでは会ったことがない人はどうか。

 友達だと思っている場合、他方が友達だと思っているとは限らない。

 小学校時代、そういうヤツを「友達なんだから仲良くしなさい」などと怒られたことがある。誰だって同じような経験はあるはずだ。

 それで先生に「こんなヤツ友達じゃない」と言い返しはしなかったか。

 だからこそ、「友達だと思ったら友達」。これがラインなのではないだろうか。

 ネットであれリアルであれ、友達だと思わなかったなら友達にはなれないはずだ。 話が合った場所は確かに二次元、いや画面の世界かもしれないが、それは友達でいいはずだ。


 ふむ、と友人は考えを巡らせる。

「なら、相手が自分を友達だと思っていなくても友達か?」

『いやいやそれは違うと思うが』

 こちらの言葉を読んでいたかのように、彼はにやりと笑う。

「そうなると、相手が何を考えているかわからない以上、厳密には友達であるかどうかなんてわからないってことだよな?」

 ん?いやいやちょっと待て。そうなってしまったら、画面の向こうで何を考えてるかわからない以上、――リアルで言うなら心がわからない以上、友達なんて成立しない。

 話が合って、ゲームならフレンド登録したりギルド入ったり入れたり。

 いや、そういった繋がりをわざわざ持たなくても、ふとしたきっかけでチャットの話が弾んで、次に会った時――いや、いつ会っても同じように話が弾む。それが友達ってことでいいんじゃないのか。

『わざわざ友達だよね?って確認したりはしないだろ』

 少なくとも、自分に害意がなければ友達と思っていいんじゃないのか。

「確認しないからこそ友達なんだろ」


『結局お前はどっちなんだよ』

「どっちでもないな」

 しれっと嘯く友人に、今回もまたしてやられたと確信する。

「しいて言うなら、俺にはそれはどっちなのかわからない」

 そうして、友人は席を立った。

『結局、何が言いたいんだ』

 俺の問いかけに、友人はわざとらしく首を捻る。

「友達ってのは何だろうなってことさ」

 言って、今まで手を考えていたのか、彼は手札から一枚のカードを床に置いた。

『おま』

 紛れもなく逆転の一手。俺のカードには太刀打ちできるカードはない。

「席を立つ俺の負けってことにしといてやるよ」

 言って、友人は買い物に行くと告げる。と言うか、負けた方が買い物に行く約束だったのだ。

『お前は何が結局言いたいんだよ』

 溜息つつ、すでに部屋を出た友人にメールを送ってみる。

 どうせ飄々とした返事しか返って来ないんだろう。

 そんな風に思っていると、思ったよりも早い返信が戻った。

 それを見て、結局苦笑するのは俺の方だった。


『ネトゲじゃなくてリアルも見ろよ、友人』

ネトゲ仲間であるミリオンさんからのお題です。

そういえばUPするの忘れてたテヘペロごめんちゃい☆


そんなわけで、次のお題は「愛 転じて 憎しみ」です。

転じてってお題じゃないな、って出した本人言ってたけどかっまうもんかー!

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