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紅の世界  作者: 月影
3/3

かくれんぼ


「ま~だだよ」


可愛いらしい少女の声が森に響き渡る。

すぐ近くには神社があるうっすらとした森だが、特に危険な所があるわけでもない。

その森でかくれんぼをするのは、日常とも言えた。


「ハッハッ」

瀬奈は必死に森を駆け抜けた。

まだオニは追って来ないが、いつ現れるのか分からない。

とりあえず隠れる場所を探した。


しばらく走っていると、近くに神社の倉庫があることが分かった。

その時、誰かがこちらに走ってくる音が聞こえた。

急いで倉庫に駆け込む。

そしてちょうど良さそうな隙間がある所に隠れた。

少し埃っぽい臭いがするが、さほど気にならなかったので、更に深く隠れた。

それと同時に倉庫の扉が開いた。

そして誰かがゆっくりと倉庫の中に入って来た。

瀬奈はドキドキと心臓を鳴らせた。

たとえオニではなかったとしても用心にこしたことは変わりない。

足音は少しずつこちらへと向かってくる。

こちらからは誰か分からないため、より緊張感が増してきた。

しかし、足音はここまでこずに、倉庫の入り口まで引き返していった。


ゆっくりと隠れているところから出た。

誰もいないことを確認し、ほっとため息をついた。

だが、瀬奈は足元を見たとたん自分の失敗に気づいた。

ここは、長く使われてなかったのか埃が溜まりに溜まって、床を歩く度

足跡がついてしまっていた。

もちろん、足元を見れば一目で分かるぐらい瀬奈の足跡ははっきりしていて、

足跡は瀬奈が隠れていた所へと向かっていた。


瀬奈は何故入って来た人が気づかなかったか、疑問に思った。

そして嫌な予感がした。

自分の他に入って来た人の足跡があった。

しかし、その人の足跡は明らかにでかく、子供のものとは思えなかった。


つまり、入って来た人はオニでもなければ逃げる人でもない。

神社の人なのじゃないのかと思うところだが、何かを取っていた音も

聞こえなかったし、取った形跡もない。


背筋に寒気が走った。

瀬奈は直感で感じた。

「ここにいてはいけない」と。

急いでドアに向かって走るが、遅かった。

何者かの手が口に何かをあて、一瞬にして意識が虚ろになって来た。

そして抵抗することもできず、その場で倒れ込んでしまった。


あれだけ《悪い大人》には注意しろと言われたが、大人に敵うはずもなく、

瀬奈はあっさりと誘拐された。


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