第37話 雷鳴轟くある夜に
「……さ、寒い…」
なるべく濡れずに帰ろうと思い、家までダッシュで帰って来た俺であったが、こんな土砂降りの雨の中ではもはや歩いても走っても変わらないわけで。
何とか家に辿り着いた俺は全身ずぶ濡れだった。
いくら何でもちょっとカッコつけすぎたな……寒すぎる。早く暖かいシャワーが浴びたい。
俺は急いでバック(もちろんこれもびしょ濡れだ)から家の鍵を取り出し、ドアを開ける。
「た、ただいま〜」
いつもならここで靴を脱いで、手を洗ってーといった感じの流れになるのだが、今回は残念ながらそうはいかない。
全身びしょ濡れだからな。
穂乃佳にバスタオルと濡れた服などを入れる為のビニール袋を持ってきてもら……
「……あ…」
そこまで考えて、俺はとある事に気づく。
そうだ……今の穂乃佳はツンなんだ。
デレ穂乃佳ならまだしもツン穂乃佳が俺の頼みなんて聞いてくれる訳がない。
俺が呼んだところで玄関までやってくるとは思えないし、もしきたとしても冷たい目で「アンタの頼みなんて聞くと思ってんの? せいぜい自然に乾くまで、そこで突っ立っておく事ね」などと言われるだけだろう。
「……仕方ない……買った物を袋から取り出して、そこに濡れた服を入れるか…」
それにしても……穂乃佳のやつ、本当にどうなってるんだ?
ツンツン→デレデレ→ツンツンとは…
もしかしてあれか?
デレたところを見せつけて、俺が油断したところを再び冷たくあしらい、ダメージを増幅させようとしたのか?
そうだったとしたら、俺はまんまと穂乃佳の術中にはまってしまった事になる。
あの可愛い倉稲魂と出会って心が癒される事がなかったら、今頃俺の精神は崩壊していただろう。
そんな事を考えながら、強く結んだ為になかなかほどけないビニール袋の紐と格闘しているとー
「あ、帰ってきたんだ」
リビングから穂乃佳がひょっこりと顔を出して、俺の方を見る。
ああ…処刑タイムの始まりだ。
心してかからないと確実に殺られる。
辛いなぁ悲しー
「ちょ! 冬にぃ? 何でびしょ濡れなの! 傘買ったんじゃないの?」
「……え?」
………冬にぃ?
今、穂乃佳が俺の事を冬にぃって…
「まあそんな事は後でも聞けるよね。とりあえず、冬にぃ早くシャワー浴びて! バスタオルとかアタシが用意しとくかーーきゃっ⁉」
「ほのかぁぁぁぁぁっ!」
俺は嬉しさのあまり、穂乃佳に抱きついてしまった。情けない事に若干涙目になりながら。
ああ…やっぱり「冬にぃ」って呼ばれると心が癒される。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと! 急にどうしたの冬にぃ! た、確かに冬にぃにならどんなことをされても構わないって言ったけどさ…びしょ濡れのまま抱きつかれるのは…」
「……あ」
慌てて穂乃佳から離れる俺。
もう最高潮に嬉しすぎて、自分が全身びしょ濡れだって事をすっかり忘れていた。情けない…。
「あっ、わ、悪いっ!」
「アタシは全然大丈夫。気にしないで。着替えたら済む話だからさ。それより冬にぃ、早く入ってこないと風邪ひくよ?」
「でも今上がってシャワーまで行ったら廊下がびしょびしょに…」
「そんなの気にする必要なし! アタシがちゃんと拭いておくからさ! ほら行った行った!」
「あ、ああ……」
俺は「なぜ穂乃佳が再びデレたのか」を考える暇もなく、穂乃佳に押される形で浴室へと向かうのだった。
「ふぅ~」
勢いよくシャワーを浴びる俺。
温かいお湯が冷たい体に沁みるな……。
頭をガシガシと洗いながら、俺はふとある事を考える。
「……穂乃佳、本当にどうしちゃったんだ?」
ツン→デレ→ツン→デレ
ときた。
再びデレて俺を油断させるつもりなんだろうか?
「でも…そうだと信じたくないよなぁ」
びしょ濡れだった俺の事を必死になって気にかけてくれた穂乃佳が、全部演技だなんて……俺は信じたくない。
「って、こんな事、一人でダラダラ考えても答えがわかるわけないよな。怖いけど……直接穂乃佳に後で聞いてみるか」
シャワーを止めた俺は、どのようにして穂乃佳にこの話題を話そうかを考えながら浴室を出た。
お……廊下が綺麗になってる。
穂乃佳が持ってきてくれた服に着替え、廊下に出る俺。
俺のせいでびしょ濡れになっていた廊下が綺麗になっていた。
玄関に置いてあった食材も全部なくなっている。
多分、穂乃佳が回収してくれたのだろう。
できる従妹がいると楽だなぁ。
これが素の姿である事を願うばかりである。
それを確かめる為、今から穂乃佳に話しかける訳なのだが。
穂乃佳がいるリビングに入った俺は、服を着替える間に考えた作戦を早速実行した。
「あの~……穂乃佳さん? 少しお時間を頂いてよろしいでしょうか?」
「ちょ! ど、どうしたの冬にぃ? 急に敬語になってさ」
「穂乃佳さんにお尋ねしたい事がございます」
「別にいいけどさ……ちょっといい?」
そう言って俺の額に手を当ててくる穂乃佳。
「……あれだけびしょ濡れになったとは言え、流石に熱はないね」
どうやら穂乃佳は俺の話し方が変になったのは熱のせいではないか? と疑っていたようだ。
まあ…タメ口で話していた従妹相手に急に敬語で話し始めたら、普通はそう思うよな。
穂乃佳の機嫌を損ねないように敬語で話しつつ、さり気なく聞き出そう(どうやってさり気なく聞き出そうかまでは考えてなかったが)としたんだが……
こうなったら作戦変更だ。
もう回りくどい事はせず、ストレートに聞いてやる!
「なあ穂乃佳。おやつ食べないか? 昨日作った苺大福があるんだが……」
「え? 苺大福⁈ 食べる食べる~!」
とは言っても、やっぱり真実を知るのは怖い訳で…
ちょっとでも穂乃佳の機嫌を取るべく、俺はキッチンの冷蔵庫にいる苺大福に助けを求めるのであった。
「どうだ? 苺大福。口に合ったか?」
「うん! めちゃくちゃ美味しかった! 冬にぃって本当に料理上手だよね。こんなに美味しい苺大福初めて!」
「そうか…よかった……」
苺大福を作るのはこれが初めてだからな。
いや~、上手い事いって本当によかった。
今度は去年の冬にコンビニで見たスイーツーー名前は忘れたが、苺が真ん中に丸々一個入った生クリームの塊を求肥飴で包んだものーーを作ってみたい。
カロリーが結構高いから、和や響のウケはあんまり良くないかもしれないが。
………って俺…。料理に逃げるんじゃない。
ちゃんと穂乃佳から真実を聞き出さないと。
「でさ……穂乃佳……」
「ん? どうしたの冬にぃ?」
「いや……その……聞きたい事が…」
「あ~、そーいや冬にぃ。何かアタシに聞きたい事があるって言ってたね。何?」
「えーっと……その……何であの時、急に冷たくなったのかなぁ…と思って」
「あの時?」
「そう。ほらさっき……買い物に行く為に外に出た時…」
「あー! あれか…。ごめん冬にぃ!」
「別に構わないが…結局……あれは何だったんだ?」
「いや……ちょっと恥ずかしくて……冬にぃに甘えてるのを他人に見られるのがさ。それでついつい冷たい態度を取っちゃったっていうか…」
「…………へ?」
予想の斜め上を行った穂乃佳の急に冷たくなった理由に、思わず拍子抜けしてしまう俺。
「だから……冬にぃに甘えてるのを赤の他人に見られるのが恥ずかーーって冬にぃ⁈ ど、どうして目に涙を浮かべてるの⁈」
「え?」
俺は慌てて自分の目元に手をやる。
「……ほ、本当だ…涙で濡れてる…」
「も、もしかしてアタシ何かひどい事しちゃった? 冬にぃゴメンね」
当事者である俺より慌てている穂乃佳。
そんな穂乃佳を見ていたら、さっきまでの慌て様はどこへやら。すっかり落ち着いてしまった。
自分より慌てている人を見ると落ち着くって本当なんだな。
「あー…違う違う。穂乃佳は何にも悪い事してない」
「じゃあ何で泣いてるの?」
「えーっと……それは……」
流石に言葉に詰まってしまう俺。
「急に穂乃佳がデレたのは俺を油断させる為じゃないかと疑っていた」なんて言える訳がない。
いくら従妹とはいえ、穂乃佳に失礼すぎる。
いやまあそんな事を考えている時点で十分に失礼だとは思ってるけどさ。
でも仕方ない部分もあるじゃないですか。あんなに上げられた後に下げられたら、誰だって疑心暗鬼になっちゃいますって。
「あー……そろそろ晩ご飯作らなきゃなぁー」
「ちょっ! 冬にぃ? 待ってよー」
俺はそそくさとキッチンに避難する。実際にそろそろ作り始めないと時間的にやばいし。
俺がキッチンに向かう際、穂乃佳が何か言っていた気がしないでもないが……うん。…できたぞ俺の気のせいだな。そういう事にしておこう。
「おーい穂乃佳~! 晩ご飯できたぞ~!」
料理を皿に盛り付けた俺はリビングにいる穂乃佳に声をかける。
「は~い!」
先程、穂乃佳の質問に答えずキッチンに逃走した俺であったが、穂乃佳は全く気にしていないようだった。
いや~、空気を読んでくれる子はいいよね。
これが和や美都だったら、俺が正直に答えるまで追求し続ける or 機嫌が悪くなるかのどちらかだからな。
特に和が学校に入学してきた時の美都の追求(俺と和がどういう関係かを根掘り葉掘り聞かれた)の恐ろしさと言ったら……
ああ、思い出しただけでもゾッとする。
「ねぇ冬にぃ。何作ったの~?」
「え? 知らないのか? 食材をなおしてくれていたから、すっかりメニューも分かってるものだと思ってた」
「いやいや……あれじゃあ流石に分からないよ、冬にぃ。カレールーとかが入ってたらすぐに分かるけどさ、ビニール袋に入ってたの、野菜とかお肉とかばっかりだったじゃん。加工品が全くと言っていい程になかったし」
「これでも一応料理部だからな。レトルトや冷凍食品に頼る程やわじゃないさ」
そんな事を言いながら、俺は内心ガッツポーズ。
完全に穂乃佳が今晩のメニューを知っていると思い、サプライズ失敗だと、若干テンションが下がっているところだったのだ。
いやー、よかったよかった。
あらかじめメニューを知っているのと知らないのとでは、大好物を出された時の喜びが全然違うからな。
俺はキッチンに向かい、皿に盛り付けられた穂乃佳の大好物を運ぶ。
「じゃ~ん!」
「ああっ! ハンバーグだ! アタシ、ハンバーグ大好きなんだよね」
そう。穂乃佳の大好物はハンバーグ。
昔、穂乃佳と遊んだ時に本人が言っていたのを覚えていたのだ。
もう7年も前の話だから、もしかしたら記憶が間違っているかもしれないし、大好物が変わっているかも……と心配していたのだが……
いやはや、合っててよかった。
「ねぇ冬にぃ。食べていい?」
「ああ、もちろんだ。食べてくれ」
「じゃ、いただきま~す!」
そう言ったと同時に、ハンバーグにかぶりつく穂乃佳。
この穂乃佳の食べ方を見て「食べ方がきたない!」などと不快感を露わにする人もいるだろう。
だが俺は別に構わないと思っている。
確かに行儀良く食べる事はとても大切な事かもしれない。
しかし美味しく食べる事の方がよっぽど大切な事だ。
そもそもここには俺と穂乃佳しかいない訳だから、周りの目を気にする必要なんて一切ないのだが。
それにやっぱり料理を作る側である俺としては、ちまちま食べて貰うより勢いよくがっついてくれる方が見ていて気分がいい。
その点、俺は恵まれているのかもしれないな。
和や響を始めとする周りの皆は勢いよく、それにとっても美味しそうに食べてくれる。
あの麗奈もこの前、家に呼んでカレーをご馳走した時は結構がっついていた。
まあ、流石に和達には劣っていたが。
「本当に幸せだよな……」
「ん? 何が?」
「ああ、いや何でもない。ただの独り言だから気にするな」
「そう? まあいいや。そんな事よりさ! このハンバーグ、めちゃくちゃ美味しいよ! 肉汁もたっぷりで柔らかいしさ! これっておかわりとかあったりする?」
「1枚だけならな。おかわりしてくれるのはいいが、全部食べてからだぞ?」
「うん! わかった! そーいやさ、前から気になってたんだけど、冬にぃってーー」
こうして穂乃佳との楽しい食事の時間は過ぎていくのであった。
そんな2人での楽しい食事も終わり、今は0時過ぎ。
「ふぅ~。ようやく終わった……」
GW課題がようやく全部終わり、ぐっとひと伸びする俺。
もちろん晩ご飯を食べた後、即GW課題に取り掛かった訳でもなく、食器などの片付けをし、そこからずっと穂乃佳とリビングでテレビを見ながらたべっていた。
そして11時頃にようやくお互いの部屋に戻り、今に至るという訳だ。
「……今日は疲れたし……もう寝るか」
本当は朝に作りかけていたプラモデルを完成させたかったのだが……ちょっと体力的に無理がある。
ちなみに俺の体力の半分を奪い去って行った雨(もう半分はツン穂乃佳による暴言攻撃で削り取られた)は以前として降り続いている。
雨脚は弱まりつつあるが、つい20分ぐらい前から雷が鳴り始めた。
明日の朝までには止むらしいが……この調子じゃあ明日も雨だな。
「………ふぁ~あ…」
大きなあくびをかましつつ、ベッドに寝転がろうとしたその時ーー
ドーン! と耳をつんざく様な物凄い雷鳴が部屋全体に響き渡った。
「ぬおっ⁈」
思わず変な声をあげてしまう俺。
「……段々と雷が近づいてきていたのはわかっていたが…これは相当近くに落ちたな…」
そう俺が言い終わると同時に再びドーン! と雷が落ちた。
2回目ともなると流石に変な声は出さない。
いくら「地震 雷 火事 親父」と恐れられているとはいえ、俺だって男だ。
目の前に落ちてきたりしたら話は別だが、俺がいるのは自分の部屋。
もう全く気にならない。
気を取り直してベッドに寝転がり、返信するのをすっかり忘れていた和と響へのメールを打っているとー
「……ふ……冬にぃ…」
ーと、弱々しい穂乃佳の声がドアの向こう側から聞こえてきた。
俺はベッドから立ち上がり、ドアを開けてやる。
「どうした?」
「えっと……」
言いにくそうに俯き、口ごもる穂乃佳。
暗くてよく分からないが、よく見ると左手には枕とタオルケットと思わしき物が。
……もしかして…
「穂乃佳、雷が怖いのか?」
「…………」
穂乃佳は俺の質問に黙って深く頷く。
よっぽど怖いらしく肩が小さく震えている。
まぁ確かに、中3の女の子にとってみればこの雷は相当怖いよな。
「仕方ないな……おいで」
俺は穂乃佳の右の手を取り、ベッドへと連れて行ってやる。
「狭いだろうけど……一緒に寝るか?」
当然だがやましい気持ちなんて一切ない。
「穂乃佳に安心して寝て貰いたい」という思いからとった行動だ。
こんな俺でもまだそこまでは落ちぶれちゃいないさ。
「…………」
穂乃佳は再び深く頷き、俺のベッドに寝転がった。
俺も穂乃佳に倣い、ベッドに寝転がる。
やはり2人で1人用のベッドに寝転がるとなかなか狭い訳で。
お互い引っ付いた状態になっているのだが、不思議と本能覚醒! なんて事にはならなかった。
むしろ何だか懐かしいというか何というか……
「ねぇ冬にぃ」
そんな事を考えていると、左隣にいる穂乃佳が話しかけてきた。
だいぶ落ち着いたのか、声もいつも通りだ。
「どうした?」
「冬にぃは覚えてる?」
「何を?」
「昔もこうやって2人で一緒に寝た事があるんだよ。もうずーっと昔の話だけどね」
「そうだったのか……」
もしかしたら懐かしい気分になったのはそのせいかもしれないな。
俺自身は全く覚えていないが。
「あの日もこんな感じの天気だったなぁ。アタシ、昔からずっと雷が怖くてさ、1人でずっと泣いてたの。そしたら冬にぃがアタシのとこにやって来てさ。さっきと同じ様に『いっしょにねようよ』って言ってくれたんだ。それがとっても嬉しくて嬉しくて。それに一緒に寝てみたら、さっきまで怖かった雷が嘘みたいに怖くなくなったんだよね」
「そうか……」
「うん。それとね……」
そう言って穂乃佳は俺の左手をギュッと握ってきた。
「……こうやって手を繋いで寝たんだよ。ちなみに先に繋いできたのは冬にぃの方」
「小さい頃の俺って、そんなに積極的だったのか…」
今じゃとても考えられない事である。
穂乃佳に手を握られて物凄いドキドキしてるし……今の俺は情けないったらありゃしない。
「なあ穂乃佳……」
それはいつの話なんだ? と穂乃佳に尋ねようとした俺だったが……
「………」
穂乃佳はいつの間にか、すやすやと寝ていた。
気持ち良さそうに寝息までたてて。
俺はそんな穂乃佳の寝顔をしばらく眺めた後、ゆっくりと目を閉じた。
もちろん穂乃佳の手をしっかりと握ったままで。
吾妻 深千流(以下深)「深千流と」
吾妻 弥千流(以下弥)「弥千流の」
深・弥「かみるーらじお!」
深「こんにちは。鳳凰学園高校3年、放送部部長をやらせて頂いている吾妻 深千流です」
弥「はろ~! 鳳凰学園高校2年の吾妻 弥千流だよ~。ちなみに、わたしは放送部副部長やらせて貰ってま~す」
深「“かみるーらじお!”とはもっと読者様に“神√”を知って頂きたい! という思いから生まれたラジオです」
弥「ゲストを呼んでフリートークをしたり、リスナーの皆からのお便りを読んだり、質問に答えたりしちゃうよ~」
深「さて“第37話 雷鳴轟くある夜に”いかがでしたでしょうか?」
弥「そんな事よりも、まずは読者の皆に謝らなくちゃね…」
深「そうですね。更新が大幅に遅れてしまい、誠に申し訳ありません」
弥「楽しみにしてくれてた皆、本当にゴメンね~。作者には後できつくきつ~く言っておくから!」
深「最初の予定では8月中にコラボ回も終わっている予定でしたのに…」
弥「ホント、作者にはこれから通常の10倍は頑張っ…貰わなくちゃね~」
深「それでは………質……コーナーにいき………うか」
弥「前回…………アレね……今回は………」
深「………………」
弥「………………」
?「………どう? 上手くいったかしら?」
?「一応できたけど……いいの? こんな事しちゃって?」
?「……どう考えてもよくないに決まってるだろ」
?「何言ってんのよ! アンケートでアタシに“かみるーらじお!”に出て欲しいっていう声が物凄く多くあったのよ?」
?「だったら普通に“かみるーらじお!”に出たらいいじゃん。ゲストとして」
?「それはイヤなの! ゲストとしてなんて…登場回数が少ないのが目に見えてるじゃないのよっ!」
?「……わがままはよくないぞ」
?「そうだよ。それに電波ジャックしたのがバレるのも時間の問題だからね? ずっと続けられる訳じゃないんだよ?」
?「そんな事は百も承知よ! アタシはメインパーソナリティーがやりたいの! アタシのラジオを待っている全世界のアタシのファンの為にもっ!」
?「はぁ……仕方ないね…どうなっても僕は知らないよ?」
?「……電波ジャックを楽しみながらやっていたお前が言うな」
?「うっ……それを言われると弱いな…と、とりあえずスタートっ!」
ミス アビゲイル(以下ア)「はぁ~い♡ アタシ、ミス アビゲイルと」
シャム(以下シ)「シャムと」
ケーリー(以下ケ)「……ケーリーで」
ア「これから時間の許す限り、神√のホットなニュースを伝えたりリスナーの質問に答えたりしちゃうわよ~♡ 題して……“♂〜アビラジ〜♂”よ♡」
ケ「……いくらなんでも捻りが無さ過ぎるだろ」
シ「それに僕達まであっち系に思われちゃうじゃないか……」
ア「うるさいわね! じゃあ他に何かいいタイトルがあるのかしら?」
シ・ケ「「………ないです」」
ア「それじゃあタイトルが決まったところで、今回は終わりにするわ! 次回の“♂〜アビラジ〜♂”もヨロシクね〜♡」
シ「……やあ、シャムだよ。多分、さっき“♂〜アビラジ〜♂”を聞いてくれてたリスナーのほとんどが『シャム? ケーリー? 誰それ?』って戸惑ってると思うんだよね。
悲しいけどしかたないよね。大した活躍してないからさ。
でも僕とケーリーが唯一活躍した回があってね。それが第21話と第22話なんだ。
よかったら読み直して『あー…こういう奴いたなー』って思い出して欲しいな。
僕が言いたいのはそれだけ。じゃあねー!」