番外編その1 作業に集中していると、ついつい時間を忘れてしまうものだ
中途半端ですが、第19話と第20話の間の話を更新します。
大和魂‼さんの「神帝の血を引く者」とのコラボです。
神帝の血を引く者
作者:大和魂!!
俺の名前は三神一聖 平凡な日々を過ごしていた俺はある日、家に帰ると銀髪のお姉さんがいた。びっくりしている俺にお姉さんは「やっと見つけたわ」....................やっぱ平凡はいいよね 長編は初めてなので至らないところもありますが よろしくお願いいたします。m(__)m 実際の神様やオリジナルの神様達が登場します。
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「えーと、善家…何も書いてないけど、このAmaz○nのダンボールには何が入ってるんだ? 善家がこのダンボールに入れたんだろ?」
俺はガムテープでしっかりと閉じられたAm○zonのダンボールを持ち上げ、横にいた善家に聞く。
どのダンボールに何が入ってるのかがわからないと、後で苦労するからな。
マジックか何かで、ダンボールに書いておく手はずのはずなのだが…どうやら善家が書き忘れたみたいだ。
ガムテープを剥がして、ダンボールを開けたら良い話なのかもしれないが…あれ、意外と面倒なんだよな。
ガムテープの上にガムテープ貼ってしまうと、粘着力がガクッと落ちてしまうので、綺麗に剥がさないといけない。
しかし、一度貼ってしまったガムテープは物凄く剥がしにくい訳で…周りに聞く方が手っ取り早いと判断したのだ。
「それは…えーっとな…そうあれだ、あれ」
「いや…あれだけじゃ何もわからないから」
おいおい…ぼけた老人じゃあるまいし、しっかりしてくれよ。
「だぁーっ! もう無理だ! 腹減って集中できねーよ! 何か食べないと死ぬ~。もう一歩も動けねえ~」
両手をバンザイして、バタッと仰向けに床に倒れ込む響。
「もうそんな時間か?」
時計を見てみると、確かに2時を過ぎていた。
こう言う作業してると、あっという間に時間が過ぎて行くんだよな。ついつい夢中になっちゃってさ。
むう…時間を知った途端、俺も急にお腹が減ってきた。
よく考えてみたら、今日口に入れたのって、善家の作ってくれたサンドイッチだけなんだよな。
「…確かににあのサンドイッチだけじゃキツイよな。実際、俺もお腹すいてるし。皆でどっかに食べに行こう。善家、何か食べたい物あるか?」
「マジか! そうだな…ラーメン! ラーメンが食いたいぜ!」
ガバッと起き上がる善家。目はとても生き生きとしていた。
本当に…単純と言うか何と言うか…。
「じゃあミス アビゲイルを呼んで来てくれないか? 多分、外にいるはずだからさ。俺は和を呼んで来る」
「よし、ダッシュで行ってくるぜ!」
物凄いスピードで飛び出して行く響。
…もう一歩も動けないんじゃなかったのかよ。
本当に…以下略。
俺は作業を中断し、隣の部屋にいる和の所に向かう。
「おーい、和。今から昼ご飯を食べに行こうと思うんだが、何が食べたい? ちなみに善家はラーメンを食べに行きたいんだと」
「おお、冬夢か。そうだな…私は正直、何でも構わない。とりあえず早く食べられたらそれでいい」
ダンボールに衣服を詰めながら、そんな事を言う和。
どうやら、和もお腹がすいていたみたいだ。昼ご飯の事、あらかじめちゃんと考えといたら良かったな。
「おーい、一ノ瀬。部長連れて来たぞ」
ミス アビゲイルを連れて、部屋に入って来る善家。
「ミス アビゲイル。何か食べたい物とかあります? ちなみに善家と和はラーメンがいいそうです」
ミス アビゲイルも一応歳上な訳だし、ちゃんと意見は聞いとかないとな。
「そうね…アタシは冬夢ちゃんが食べたー」
「なあ、和。ガムテープ貸してくれ。ミス アビゲイルの口を塞ぐから」
「あぁんっ♡ SMプレイが好きだなんて、冬夢ちゃんのえっち♡」
「和、やっぱりガムテープじゃなくて、何か硬い物貸してくれ。ミス アビゲイルの頭をかち割るから」
「ち、ちょっと、冬夢ちゃん? それはいくらなんでも…やりすぎよ?」
「いえいえ。大丈夫です。もし、何かの間違いでミス アビゲイルを殺めちゃったりしても、100%正当防衛が認められますから」
「アタシ何もしてないわよ⁈」
「……よーし、ラーメン食べに行くか」
「「おー」」
「ちょっと! 冬夢ちゃん! スルーしないで! 響ちゃんに和ちゃんもアタシから目を逸らさないで! 地味に傷付くわよ! それ!」
「「「……」」」
「無視しないでよおぉぉぉっ‼」
ついに泣き崩れるミス アビゲイル。
なるほど。ミス アビゲイルの扱い方が、何となくわかった気がしてきた。
それは善家と和も同じだったらしく、泣き崩れているミス アビゲイルを見て、ニヤリと笑っている。
…いや違う。あれは…Sの微笑みだな。うっすらと頬を赤く染めてるし…。ああ…和はともかく…善家まで…。
こんな2人と一緒に暮らすのか…。大丈夫か、俺?
笑っている2人を見て、1人こっそりと頭を抱える俺であった。
「おい、一ノ瀬。まだなのかよ~。オレ、もうそろそろ死ぬぞ?」
善家の何度目かわからない「死ぬ」宣言を聞き、俺は適当に答える。
「後、5分ぐらいじゃないか?」
「適当に答えるんじゃねーよ。さっきも後5分って言ってたぞ」
「じゃあ、はっきり言おうー俺にもわからない!」
「うわっ、開き直りやがった。そもそも、一ノ瀬がこの近くにウマいラーメン屋があるって言うから、ついて来たんだぜ? 到着時間ぐらい、ちゃんと把握しとけよな」
「うう…それを言われると弱いな」
でも、よくあるじゃないか。
近くにあると思ってたら、実は意外と遠かったーって言うパターン。
それに俺自身、長い事行って無いからあんまり覚えて無かったんだよな。距離感とか。
これ言ったら、善家がブチ切れるだろうから絶対に言わないけど。
「なあ、冬夢。そろそろ私も限界に近い。正気を保っていられるのも時間の問題だ」
しかし、善家にも和にも辛い思いをさせちゃってる訳だし…。
「よし、わかった。善家に和。昼ご飯代奢ってやるから、もう少し我慢してくれ。な? 頼む」
俺の記憶が正しければ、あそこのラーメン屋は安かったはずだ。
無茶苦茶なオーダーをされない限り大丈夫だろう。
「ホントか? それなら、仕方ねーな。もう少しだけ待ってやるよ」
「だが、流石に10分以上は待てないぞ? 10分以上過ぎてしまったら…私は私で無くなる」
「OK。10分経って、それでも着きそうに無かったら、近くの店に入ろう」
ちなみに、会話に全く参加してないミス アビゲイルは何をしているのかと言うと…。
「う~ん…あの子はヘアスタイルがダメね。顔は結構タイプだけに残念だわ。78点。あの子は…ああ、全然ダメ。いくらなんでも酷過ぎるわ。4点」
すれ違う男と言う男を片っ端から採点していた。
時々「あぁんっ♡」などと、聞きたくもない喘ぎ声をあげている。
控え目に言ってキモい。キモすぎる。
正直、一緒に歩きたく無いのだが…残念な事にそれは叶わぬ夢。
なぜなら、ミス アビゲイルが暴走しないように、常に見張っておかないといけないからだ。
実際に昔、物凄いタイプの子を見つけ、襲いかかったらしい。
幸い、周りにいた人が数人がかりで取り押さえてくれたおかげで、未遂に終わったらしいが。
そんなこんなで歩く事、数分。
「あ、多分あれだ、あれ」
「この信号の向こうに見える、古っぽい看板の立ってるやつか?」
「そうそう」
ようやく目的のラーメン屋が見えてきた。
何とか10分以内には着けそうだな。
少し安心しつつ、信号を待っていると後ろから
「フィチナの言っていた、ウマいラーメン屋ってのはあれか?」
「ええ、そうです。一聖様」
黒髪ロングが似合いそうな、長身のイケメンな男とスタイル抜群の銀髪美人の女(多分、カップルだろう)がやって来て、俺達の横に並ぶ。
銀髪の美人さん、あのラーメン屋を知ってるとは…中々の通だな。
って、注目するポイントはそこじゃないだろ!
あのエロい銀髪の美人さんそのものだろ!
誰もが惹きつけれる銀髪に、イタズラ心に満ち溢れた美しいつり目、薄い唇は綺麗な淡いピンク色。
そして何より胸ですね、胸。あんなに立派で大きい胸を、俺は現実で未だかつて見た事が無い。
いやはや、眼福眼福。ごちそー。
「痛だだだだだだだだっ!」
「冬夢…鼻の下が伸びているぞ。この、変態が!」
ジト目の和が、俺の横腹をぎゅっとつねってきた。
いや…和さん? 変態扱いはどうかと思いますよ?
鼻が伸びていた事は認めましょう。ついつい、邪な気持ちで見つめちゃいました。
でも、それは仕方ない事なんですよ。俺だって、健全な高2ですもん。あんなエロいお姉さん見たら、えっちぃ事考えちゃうって。
…なんて事は口が裂けても言えない訳で…。
「…ごめんなさい」
俺はただただ頭を下げる他無かった。
「な、なあ…冬夢。お前は…ああいうお姉さんみたいな人が…タイプなのか?」
顔を赤かくし、途切れ途切れにそんな事を言う和。
あれ? 何か話がズレてる気がしないでもないが…和さんは顔を赤くする程に怒ってらっしゃる。
下手に答えたら命は無い!
「いや…別にタイー」
「あぁぁぁぁぁぁあん! 物凄いタイプの子はっけ~ん♡ 冬夢ちゃんと同じぐらいタイプだわぁぁぁぁ~!」
ミス アビゲイルの絶叫が、俺の言葉を遮る。
ヤバい…どうやら、あの黒髪ロングが似合いそうなイケメンを見て、スイッチが入ってしまったようだ。
このままじゃ彼の貞操が危ない!
「和! 善家! ミス アビゲイルを止めるぞ!」
「…わかった」
「ったく…部長のヤロー」
いや2人共、やりたくない気持ちはわかるよ? でもさ、仕方ないじゃん。上層部がミス アビゲイルを部長にしてしまったんだから。
「もうだめー♡」
ほら見ろ! 2人がぼさっと突っ立って、ミス アビゲイルを止めようとしないから(そう言う俺も、ぼさっと突っ立っているだけだが)彼に襲いかかったじゃないか!
「あぁーん♡ ペロペロしたーふにゅう」
もう少しで、彼に触れそうになった時ーミス アビゲイルはいきなり倒れた。それも不気味な声をあげて、だ。
何があったんだ?
周りを見渡してみると、善家が吹矢のような物を持っているのが目に入った。
もしかして…。
「なあ、善家。それって…」
「対部長用吹矢だ。もちろん、発射される針は麻酔針だ。部長は死んで無いから安心しな。ただ寝てるだけだからよ」
「そんな物騒な物を常に持ち歩いてるのか?」
「ああ。オレ達の部署の奴らは、全員持ってるぜ。針は1本だけしか持てないけどな。いや~、でも、まさか実際に使う日が来るとはなぁ~」
楽しそうに吹矢をいじる善家。
言いたい事は色々あるが…まずは…。
「すいませんでした!」
迷惑をかけた2人に謝らないとな。2人共、未だに目を丸くして固まってるし。
くそっ…ミス アビゲイルめ。余計な事をしやがって…。
「い、いや、別に構いませんよ。なあ、フィ、フィチナ」
「え、ええ、そうですね。少し驚きましたけど、大丈夫です」
「いえいえ! お2人はあのラーメン屋に行こうとしてたんですよね?」
「ええ、まあ…。フィチナがあそこのラーメン屋が美味しいって言うんでね」
「でしたら! これに奢らせてやってくれませんか? いや、奢ってやらせて下さい! お願いします!」
そう言って、俺は寝ているミス アビゲイルを指差す。
もちろん、俺達もミス アビゲイルに奢って貰うつもりだ。そのぐらいしてもらわないと釣り合わない。
「わ、わかりました。じゃあ…お言葉に甘えて奢られます」
「ありがとうございます! じゃあ、早速行きましょうか」
そう言って、俺達がラーメン屋に向かおうとすると
「あの、この人…まだ倒れていますよ?」
銀髪の美人さんが、ミス アビゲイルを指差して言った。
うーん…見た目も良ければ性格もいい! 完璧だなぁ…イケメンが羨ましいや。
「いえ、構いません。そのうち起きるはずですから。な? 善家」
「ああ、麻酔っても弱いから、すぐ起きるぜ」
「と言うわけですから。行きましょう」
「はあ…」
銀髪の美人さんは、わかったようなわからなかったような曖昧な顔で頷く。
こうして俺達5人は、ウマいラーメン屋に向かった。
え? ミス アビゲイルの扱いがひどいって?
…そう思った奴は、今すぐ俺と交代しよう。
そうすれば、この俺の気持ちもわかるはずだからさ。
この話はもう1話続きます。
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