1/10
【序章】世界が震えた日。それは救済か、それとも破滅の始まりか
一人の天才の提案により、米国籍には700万ドル(約11億円)の価格がつけられた。
2025年7月。
アメリカ合衆国は、建国以来の最大にして最後となる「債務超過」という名の死刑宣告に対し、ついに禁断の処方箋を提示した。
それは増税でも、歳出削減でもない。 ただ「国籍という名の株式」を市場に開放することだった。
施行された法律名は『戦略的市民権資産化法』―― 通称、インフィニティ・パス。
これにより、合衆国は天文学的な累積債務をわずか数年で消し去る「世界最大のキャッシュリッチ企業」へと変貌を遂げる。
しかし「プラチナパスポート」の真の目的が、財政赤字対策だけではなかったことを、まだ世界は誰も知らなかった。




