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59話保育園お遊戯会本番

第59話 保育園お遊戯会本番


朝日が窓から優しく差し込むと、いつもより少し早く目が覚めた。今日は待ちに待ったお遊戯会の本番だ。緊張感と期待が入り混じった空気に包まれながら、祐介は静かに布団から抜け出した。隣でまだ眠っているハルナの寝顔を見つめ、そっと髪を撫でる。


「ハルナ、今日は楽しもうな。ぱぱも応援してるよ。」


目を覚ましたハルナは眠そうに目をこすりながらも、ニコッと笑って答えた。


「ぱぱ、がんばってね!」


その言葉に祐介は心の中で小さく力をもらい、朝の準備を始めた。いつもより入念に髪を整え、夏服の襟元を正す。ハルナは昨日姉貴さやかが買ってくれた夏服に身を包み、嬉しそうに鏡の前で回ってみせる。


「かわいいよ、ハルナ。今日はみんなのヒーローだな。」


そう声をかけると、ハルナははにかんだ笑顔を返した。さやかも朝早くから手伝いに来てくれ、ハルナの衣装の最終チェックや小道具の確認をしていた。


「おはよう、祐介。ハルナ、今日はいよいよね。緊張してる?」


「おはよう、姉貴。少しはあるけど、みんながいるから大丈夫そうだよ。」


「そうそう、楽しまなきゃ損だよ!」


さやかの言葉に祐介も心強さを感じて、みんなで保育園へ向かった。


保育園はお遊戯会のために華やかに飾り付けられていた。親たちはカメラやスマホを手に、子どもたちの晴れ姿を撮影しようと席を確保している。園庭には色とりどりの風船や飾りが揺れ、子どもたちの期待感であふれていた。


「ハルナ、準備はいいか?」


「うん、ぱぱ!がんばるよ!」


ハルナはぴょんと飛び跳ねて返事をし、祐介の手をぎゅっと握った。その手の温かさが彼に大きな勇気を与えた。


開演の合図とともに、子どもたちの演技が始まった。ハルナは星の役で、小さな手を一生懸命動かしながら歌い踊っている。途中で少しリズムを外したり、間違えたりする瞬間もあったが、先生や友だちの助けで笑顔を絶やさなかった。


「ぱぱ、みて!ここだよ!」


ハルナがこちらを見て手を振ると、祐介はカメラを構えて声援を送る。


「すごいよ、ハルナ!その調子!」


あいりちゃんも舞台で元気に踊っていて、岡本さん夫妻は誇らしげに見守っていた。観客席の親たちも笑顔で拍手を送り、温かな雰囲気が会場を包んでいた。


プログラムは次々に進み、最後のフィナーレ。ハルナは照れくさそうに手を振りながら、みんなと一緒にステージ中央に並んだ。先生たちが準備した花束や賞状が子どもたちに渡され、歓声と拍手が響き渡った。


終演後、保護者席から拍手喝采が起こり、祐介も誇らしさで胸がいっぱいになった。ハルナは疲れた顔をしつつも、達成感に満ちた笑顔を見せてくれた。


「お疲れ様、ハルナ。最高だったよ。」


「ありがとう、ぱぱ。たのしかった!」


帰り道、姉貴が笑いながらハルナの頭を撫でる。


「よく頑張ったね。来年も楽しみだ。」


「姉貴、ありがとう。ハルナのためにいつもありがとう。」


三人は手をつなぎながら、夕暮れの街をゆっくり歩いて帰った。これからも続く日々の成長と幸せを願いながら。


家に着くと、ハルナは疲れてすぐに眠ってしまった。祐介はその寝顔を見つめ、心からの感謝を呟いた。


「ありがとう、ハルナ。君の成長をずっと見守るよ。」


こうして、初めての大きなお遊戯会は大成功で幕を閉じた。



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