57話保育園お遊戯会準備2
第57話 保育園お遊戯会準備2
日曜日の朝は晴れていた。
俺、祐介は昨日の保育園お遊戯会準備の余韻を感じながら、朝食の準備に取り掛かっていた。ハルナはまだ寝ている。さやか、姉貴も朝早くから家事を手伝ってくれていた。
「祐介、今日はちゃんと起こしてあげてな。お遊戯会の練習は、みんなで参加する最後の大切な日だろう?」
姉貴が笑いながら言う。
俺は深く頷いた。
「わかってるよ、姉貴。でもハルナ、ここ数日ほんとに楽しみすぎてるから、夜更かししすぎなんだよな。心配でさ」
「子どもは元気が一番だ。ハルナは女の子だけど、元気すぎて男勝りかもな」
「うん、ハルナはおてんばだし、でもそれが可愛いんだ」
朝食のテーブルで、姉貴が手際よく淹れてくれたコーヒーを飲みながら、俺はハルナが起きてくるのを待った。10分もしないうちに、部屋から小さな足音と一緒に「ぱぱー、おはよう!」という声が響いた。
「おはよう、ハルナ。よく寝れた?」
「うん、たのしかったよ、ゆうすけ。きょうもいっぱいおどるの」
「そうだな。今日はお遊戯会本番前の最後の練習だ。がんばろうな」
ハルナは嬉しそうにリュックを背負い、準備を始める。俺はそれを見て笑みを浮かべる。
「じゃあ、準備できたら出発しようか」
「うん!」
そうして俺たちは保育園へと向かった。途中、姉貴から電話がかかってくる。
「祐介、ハルナちゃん元気にしてる?」
「うん、今から行くところだよ。今日は俺もいるから、心配ないさ」
「そうか。動画撮って送ってね。仕事の合間に癒されたいから」
「了解。姉貴、後で迎えにも来るって言ってた?」
「そう。お遊戯会終わったら、私が連れて帰るから。仕事片付けるわ」
「助かるよ」
電話を切り、保育園に到着すると、すでに園児と保護者たちが集まっていた。
先生たちの指示で、子どもたちは衣装を身にまとい、踊りの最終練習を始めた。
「ハルナ、準備はいい?」
「うん、できた!」
ハルナの目はキラキラしていて、まるで本物のおほしさまのようだった。
先生の掛け声に合わせて、一斉に踊り出す園児たち。
ハルナは一生懸命手足を動かし、少しぎこちなさはあるけれど、みんなと一緒に楽しんでいる。
俺はそんな姿を見ながら、スマホで動画を撮り続けた。
その隣ではあいりちゃんも元気に踊っていた。岡本さんは妻と一緒に、あいりちゃんの応援に来ている。
「ハルナ、すごいな。おほしさま役、ぴったりだよ」
俺は声をかけると、ハルナは満面の笑みを見せた。
「ぱぱ、ありがとう!」
練習の合間に、姉貴も来園し、ハルナに声をかける。
「ハルナ、お疲れ様。よく頑張ってるね」
「さやかおねいちゃん!」
ハルナは姉貴に抱きつき、嬉しそうに笑う。
「姉貴も今日の本番、楽しみにしてるよ」
「うん、わたしもがんばる!」
午後になると、練習は無事に終了し、みんなでおやつの時間に。
俺はハルナに好きなお菓子を聞き、買ってきたクッキーを渡した。
「ぱぱ、これすき!」
「よかったな」
その時、姉貴が静かに言った。
「祐介、ハルナは本当に成長してるね」
俺はうなずき、姉貴の言葉の意味を感じ取った。
「そうだな。俺たちの大事な娘だ」
「うん、私もそう思う」
そして、姉貴は少しだけ笑顔を見せ、俺たちの頬を優しく撫でた。
お遊戯会はもうすぐだ。
準備は万端。
あとは本番を待つだけ。