30話 高知帰省最終日(姉付き)
第30話:高知帰省最終日(姉付き)
朝、穏やかな陽射しの中、祐介たちは荷物をまとめて家を出た。
母も父も祖父母も、そして姉のさやかも、みんなが玄関先に集まり、温かい笑顔で見送ってくれている。
「気をつけてな、東京でも元気にやれよ」
「ハルナちゃん、また遊びにおいでね!」
ハルナは少し名残惜しそうに手を振りながらも、みんなの温かい気持ちに包まれていることを感じていた。
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駅に着くと、東京への新幹線の時間が迫っていた。
切符を手にホームへ向かう途中、さやかがふと声をかけた。
「祐介、帰ったらまたちゃんと仕事も家事も頑張れよ」
祐介は苦笑いしつつも、
「おう、任せとけ」
改札を抜け、プラットフォームへ。新幹線がホームに滑り込む音が響く。
「わあ、これが新幹線か!」とハルナは目を輝かせる。
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車内に乗り込み、席に座ると、すぐに駅弁が並べられた。
箱を開けると、色とりどりの料理が顔を出す。
「おいしそう!」ハルナが声を上げると、
祐介も笑顔で、
「はい、ハルナのだよ。いっぱい食べてな」
新幹線の窓から流れる景色を眺めながら、家族は和やかに食事を楽しんだ。
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列車の振動と駅弁の美味しさに、ハルナはますます元気に。
「また来たいね!」と無邪気に言うハルナに、
祐介は心の中で、
「次はもっともっと楽しい時間を作ろう」と誓った。
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東京の駅に到着。改札を出ると、忙しい日常が待っている。
だが、今は温かい帰省の思い出が心に残っている。
「さあ、また新しい日常が始まるぞ」
そう言って、祐介は娘と姉とともに家路を急いだ。