28話 高知帰省3日目(姉付き)
第28話:高知帰省3日目(姉付き)
朝の光が障子越しに柔らかく差し込み、祐介はゆっくりと目を覚ました。
今日も高知の実家でのんびり過ごす日。だが、少しだけ胸の奥に緊張があった。
「茜さんが来るんだっけ……」
台所では、母が朝ごはんの準備をしている。姉・さやかはまだ寝室で寝ているらしい。
祐介は軽くストレッチをしながら、ハルナを起こしに部屋へ向かった。
「ハルナ、朝だよー。今日はお客さんが来るよ」
「おきるおきる!」
三歳のハルナはぱちっと目を開けて嬉しそうに笑った。
今日は祐介の幼なじみ、茜が久々に訪ねてくる。茜は祐介のことが密かに好きだったという話を、以前姉から聞いていた。
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午前中。庭で花を眺めていると、玄関のチャイムが鳴った。
母がドアを開けると、そこには小柄で明るい笑顔の女性が立っていた。
「茜ちゃん!」
「おお、祐介! お久しぶり!」
思わず駆け寄るように抱き合う二人。茜はそのまま玄関に入ってきた。
「ずっと会いたかったよ。祐介も、ハルナちゃんにも会えて嬉しい」
ハルナは初対面の茜に少し警戒しながらも、好奇心いっぱいの瞳を向ける。
「はじめまして、ハルナちゃん。茜です。よろしくね」
ハルナは恥ずかしそうに小さく手を振った。
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昼食後。
縁側で懐かしい話に花が咲いた。
「そういえば、茜、俺たち小学校の時、よく一緒に遊んだよな」
「うん、ずっとあなたのこと好きだったのに、なかなか言えなくて」
祐介は軽く苦笑しながらも、どこか嬉しそうだった。
「知らなかったよ……昔の話はなかなか聞けなかったから」
「今更だよね。でも、会えてよかった」
その会話の様子を見ていたさやかは、少し複雑な表情を浮かべていた。
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夕方、みんなで近所の小川へ散歩に出かけた。
ハルナは茜に手を引かれながら、小川の石をぴょんぴょんと飛び越えていく。
「ほら、ここは昔よく遊んだ場所なんだよ」
「楽しいね!」
祐介は、ふと昔の自分を思い出していた。
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夜。
寝る前に、ハルナが祐介の膝の上で眠りにつく。
「パパ、茜おねえちゃん、すき?」
「うん、いい人だよ。ハルナのことも大事にしてくれてる」
「よかった……」
祐介はそっとハルナの頭を撫で、静かに目を閉じた。