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鮮血の祭壇②

 レキたちの接近に気がついた様子のスケルトンたちは、入口を離れてこちらに向かってくる。

 そうして遺跡の前で三対二十五の乱戦が始まった。

 数的にはレキたちが絶対的に不利であった。しかしスケルトンは戦力としてはオークと同等程度であり、さほど強力なモンスターではない。


「スケルトン! なんて! 相手にならないヨ!」


 両手に短剣を持ったカモリは、素早い動きでスケルトンを次々と討ち倒していく。

 さらにルキアも杖を構えながら魔法を唱える。


「――<浄化の光(ホーリー・レイ)>!」


 杖から発せられた光を受けたスケルトンは、頭から崩れて灰になってしまった。どうやらアンデッドに特効性のある魔法らしい。


(――これは私も負けていられないね!)


 二人の活躍を見て、レキも気合いを入れ直す。


「はあっ!」


 剣の魔法付与に上乗せでルキアの支援魔法が重なっていることで、レキの身体は羽のように軽くなっていた。その剣速は一呼吸のうちに三体のスケルトンを両断してしまうほどだ。


 そうしてスケルトンたちは次々とその数を減らしていき、結局のところ戦いはレキたち三人のワンサイドゲームに終わった。



 入口付近の敵を殲滅し終えたところで、レキたちはいったん呼吸を整える。


「それにしてもレキはすごいネ! ワタシも速さに自信あるケド、とてもあんな動きできないヨ!」

「だから言ったでしょ? 頼りになるってぇ」


 そう言って、ルキアはカモリに得意げな表情を見せる。


「いえ、ルキアさんの支援魔法もありましたし……。それにやっぱりこの剣、すごい力です」

「ミスリル製の剣ネ。羨ましいヨ。ワタシももっとお金貯まったら――」


 ルキアがカモリの言葉を手振りで遮る。


「敵反応ありよ。前方に十体」

「休憩は終わりネ。さっさと突っ込むヨ」



 そうしてレキたちは遺跡の中へと進んでいく。

 遺跡内部はそれなりに入り組んだ造りにはなっていたが、ルキアの探知のおかげで不意打ちを受けることもない。加えて道中で現れた敵がスケルトンばかりであったこともあり、レキたちはすんなりと遺跡の奥まで到達することができた。


「この先にモンスターが一体。そのさらに先には人間の反応が合わせて十一。おそらくだけど、一箇所に固まっている四つが子どもたちの反応だと思うわ」


 ルキアの推測が正しいならば、子どもたちはまだ生きている。確かにそれは朗報であるのだが、やはりそれよりも気になることといえば――。


「モンスターが一体だけ、ですか……」

「スケルトンが突っ立ってるだけなら笑えるけどネ」


 カモリがそんなことを言って茶化してみせる。しかしそれは犯人たちを守る最後の砦ともいえるモンスターだ。普通に考えれば、並大抵の強さではないことは確かだろう。


「――警戒して進みましょう。敵はすぐ近くよ」



 そこから少し進んだ先には、大きな広間のようなスペースがあった。

 そしてその奥にはさらに先へ向かう通路があるのが見える。位置的に考えても、子どもたちが囚われているのはおそらくそこを進んだ先だろう。

 しかしその通路の手前には、通るものを拒むかのように一体のモンスターが立ちふさがっていた。


「――冗談じゃないヨ。ミノタウロスじゃないカ……!」


 カモリが怯えた表情で呟く。

 目の前にいるモンスターの姿は、まさにレキの知る神話に登場するミノタウロスそのものだ。

 身の丈三メートルはあろうかという、筋骨隆々の男の身体。しかしその首から上は人間のものではなく、大きな角を持つ雄牛の頭部となっている。右手に構えているのは、人間であれば両手でも持て余すだろうほどの巨大な斧だ。

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