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4話 出発


 早朝はまだ寒く、御者台で手綱を捌くセツナの吐く息は白い。


「で、話してくれるか?」


「ああ、実は…… 」


 幌を被っている荷台ではガロードが御者台にも届く声でドモンにうながされ、理由を話し始めた。


「ヒイロから相談を受け、三人のための魔道具を作るって聞いた。そのために協力したが俺にはもう一つの目的があったんだ。ヒイロには話してなかったが、俺はこれでも元貴族の子息でな。今は放逐された身だが小さい頃はメイドや執事達に囲まれて暮らしていたんだ」


「………… 」


「こやつの柄じゃないし、信じられんじゃろ?」


「こら、チャチャ入れないの」


「ふふふ」


ガロードが元貴族と聞いて呆けてしまうヒイロ。茶化すドモンとそれを注意するレイン。そんなやり取りが聴こえ思わず笑ってしまうセツナ。


「でな、幼い頃俺が領地の森へと一人抜け出して遊びにいった時、たまたま風魔狼ウインドウルフの群れに襲われた。その時はまだヒイロよりも年下だった。もうだめだと観念した時、いつもついていてくれた世話係の執事が俺を探しに来ていて助けてくれたんだ。でもその時、俺を庇って片腕を…… 」


「その執事さんの義手を作ればいいんですね?頑張ります。任せてください」


「ああ、ヒイロ頼めるか?家を出た身だが、償いはしておきたいんだ。今更かもしれないがな…… 俺を長年仕えてくれた忠誠心と助けた功績とで執事長兼教育係として仕えているはずだ」


「なんじゃ?はっきりしとらんのう?」


「家を出てからは帰ってないからな…… 」


「なら、ガロードの里帰りも兼ねて行きましょうよ。流石に上級冒険者になった息子を無視することは無いわよ」


「ふっ……だといいがな…… 」



「そうそう、上手よ」


「でも曲がる時のタイミングが難しいなぁ」


「慣れよ。毎日少しの時間でも御者の練習は続けましょう」


「わかりました、レインさん」


 王都の冒険者ギルドを出発して一週間。最初の数日は距離を稼ぐため町や村にも寄らず、大人達が休みなく交代で御者をつとめていたが、昨日からはヒイロにも教えることにした。

 監督者も四人で交代だが、今はレインが教えている。男性陣三人は荷台でそれぞれ自由に過ごしていた。


「次の村には寄るとするかのう」


「そうですね。丁度教会もあります。もうそろそろ兄から連絡があるかもしれません」


 ドモンの案にセツナが賛同する。


「しかしドモン兄、狙われてるってのに緊張感が無さすぎじゃないのか?」


 この余りにものんびりとした空気に、護衛の任務を忘れそうになるガロード。出発してからは特に襲撃や魔物との戦闘も無く、皆に緩む気持ちを指摘する。


「そうじゃのう、しかしガロード、平和が一番じゃ」


「たしかに、それはそうなんだろうけどよ……」


 それでもドモンが言うならと寝転びながら空の雲を数えていた。しばらくすると御者台のレインが振り返って皆に伝える。


「みんな、村が見えてきたわよ」


「ドモンさん、今回は村に寄るんですよね?」


 ヒイロの期待に満ちた質問にセツナが答えた。


「ええ、私が教会に寄ってる間に、買物や可能なら狩りもして食料の補充をしたいですからね」


 起き上がり背を伸しながら首を鳴らすガロードが我先にと役割に立候補した。


「う~ん、なら俺は狩りで。身体が鈍ってしょうがない」

 

「なら、セツナは教会へ。わしとガロードで狩り。ヒイロとレインで買い出しかのう?」


「わかったわ、いきましょうヒイロ」


「はい、レインさん」


 村の入口には一人だけの見張りが座っていた。見るからにかなりのお歳らしい。槍を杖代わりに立ち上がると、御者台のレインに話しかけてきた。


「商人かのう?」


「いえ、旅の冒険者です」


「珍しいのう。最近はこの村にくる者は少ないからのう」


「それで食料、特に野菜を買い足したくて寄らせてもらったわ」


「ほうほう、野菜なら売るほどある。ゆっくりしていくといい。宿は教会の隣じゃ」


「ありがとう、おじいさん」


「ありがとうございます」


「賢そうな息子さんじゃのう」


「え、ええ…… それじゃ」


 馬車が村に入ると、老人はまたゆっくりと腰を下ろした。


「えへへ」


「ヒイロ、どうしたの?」


「息子って言われちゃいました♪」


「そ、そうね、息子かぁ」


「あっ、レインさんはまだ若いですよね。僕みたいな大きな子供がいるなんて、失礼だったのかも……」


「いいえ、ヒイロがうれしいのなら、私も嬉しいわよ♪」


「僕は凄く嬉しいですよ」


「そう、良かったわ」


 村に入り、真っ直ぐ宿屋に向かう。到着すると直ぐに部屋を取り馬車を預けて、それぞれ目的の場所へ向かった。



 先ずセツナは、教会を尋ねた。


「失礼します。王都から旅をしております神官のセツナと申します。こちらの責任者はいらっしゃいますか?」


「おお、セツナ様!司教様から、近隣各国の各教会に御連絡が回っております。お伝えしますのでどうぞ奥の部屋に」


「それは丁度良かったです。是非教えてください」


 村の神官からセツナが聞いた話を単に説明すると、


 ヒイロという少年が、不幸な人々を救う画期的な魔道具を発明した。その技術は教会で管理運営することで、心正しき者達の救いとなる。この案件を聖教議会にかけて皆の考えを聞きたい。その間は欲に目が眩んだ者達から少年一行を守る事に協力せよ。


という、内容だった。


「なるほど、まだ時間がかかりますか……」


「ええ、恐らく聖教議会での決定後になるかと」


 聖教議会

 王都にいる教主の元へ司教以上の立場の者が集まり開かれる教会の最重要会議会議だ。

 内容は教義や活動方針などを話し合い、意見統一するために行われる会議である。


「ならば近隣諸国から主だった方々が集まりますね」


「はい、なのでその正教議会が終わるまでは御辛抱を……」


「恐らくこの議題は通るでしょう。しかし思っていたより時間がかかりそうですね」


「それで、聖人となったヒイロ様はどちらに?」


「その呼び方は止めてください。彼は嫌がるでしょうから」


 村の助祭の発言を律するセツナ。その目つきは鋭く迫力に助祭は怯えてしまう。


「わ、わかりました……」


「すみません。ただ、決して彼を祭り上げるような発言はしないようお願いします。そのことは教会の連絡網に流しておいてください」


「はい、直ぐに伝えます」


(ふぅ~悪気は無いのでしょうが、教会勢力に取り込まれ過ぎてもいけませんからね)



 セツナがそんなやり取りをしている時、ヒイロとレインは市に出て、買う野菜を吟味していた。


「レインさん、王都に無い野菜が沢山ありますね」


「そうね、この村は王都より標高が高いからかしら。久しぶりに目にする野菜も多いわね」


「でも……」


「仕方ないわ。高齢者が多いから狩りも弓が主体なんでしょう」


 見張りの老人が言った通り沢山の種類と量が並んでいるが、肉屋は一軒しか出店していない。それも鳥肉のみだった。


「葉野菜が多くて助かるわ。それはなんていうのかしら?」


「お嬢さん、それはホワイトキャベッジって野菜だよ」


 お嬢さんと言われご機嫌なレイン。尻尾が嬉しそうに揺れている。


「大きいわね。五玉貰おうかしら。おいくら?」


「すまないね~ここじゃ物々交換なんだ」


「どうしましょう、困ったわね……」


 高齢者ばかりの辺境の村。通貨は意味がないらしい。


「なら、豚肉ならどうですか?」


 ヒイロは魔法袋に大量にある超巨大猪の切り分けた肉のブロックを取り出した。すると、


「おお、久しぶりの豚肉!しかも上等そうじゃ。それなら野菜はいくらでも持っていっておくれ」


「え、そんなに?」


「ああ、野菜は腐るほどあるからな」


 とても喜んで店先の野菜を大量に渡してくる老婆。その光景を見ていた他の店の老人達も二人に売り込んでくる。


「うちの野菜も交換しておくれ」


「この果物も豚肉と」


「すまんが、この鳥肉と交換してもらえんかね」


 まだまだ大量にあった豚肉は大人気で鶏肉と、大量の野菜へと変わっていった。


「これならしばらく何処にも寄らないで、ガロードの実家までいけそうね」


「もう、僕の魔法袋じゃ入り切らないです。レインさん手伝ってください」


「はいはい」


 ヒイロとレインが大量の野菜を魔法袋に詰め込んでいる時、ドモンとガロードは村の奥にある畑を突っ切り森の中へと足を踏み入れていた。


「あまり、獲物がいないのう」


「ドモン兄、もう少し奥に行ってみようぜ」


「ガロードは張り切っておるのう」


「護衛なのここまでは戦闘しなかったのは久々だったぜ。こんな旅じゃ感も鈍るし身体は訛るし。早く身体を動かしたい」


「そういや最近だと、どんな魔物を狩ってたんじゃ?」


「そうだなぁ、珍しいのだと骸骨将軍(スカルジェネラル)とかレッドオーガかな。どちらも食えない魔物だったが金にはなったぜ」


「やっとガロードも一人前かのう」


「そりゃないぜドモン兄。とっくに一人前だ!いつの話してるんだ?解散してからも冒険者を続けて、次回の昇級試験でやっと超級を受けるつもりなんだからよ」


「なんじゃ、まだ超級になっとらんかったのか?」


「あのな~俺は人間種だし、三人みたいに化け物じみた力なんて持ってないんだよ。実績をコツコツと積み上げて、やっとここまではきたんだって。一緒にされちゃこまるぜ」


「鍛え方が甘かったかのう?」


「あれ以上鍛えられてたら死んでるわ!」


 久しぶりの一緒の狩りに饒舌になるドモンとガロード。パーティーの解散後は、余りガロードはドモン達に会いには来なかった。いや、意図的に避けていた。それでもヒイロの話を聞いて少しは顔を出すようになり、ある日ヒイロから相談を受け、三人には黙って協力していたガロード。


「しかし、ガロードがヒイロに頼まれていたとはのう」


「恩返しの内容を聞いた時は驚いたぞ。しかしヒイロは天才だな」


「そうじゃのう。しかしここまでは大事になるとはのう」


「顔には出してないが責任は感じてるだろうな」


「う~ん、どうしたもんかのう」


「ヒイロが悪くないことを、しっかりと皆で伝えるしかないだろう?」


「う~ん………そうじゃのう」


「なぁに、司教様が上手いことやってくれるさ」


 ここまでの道中、時折顔を曇らせるヒイロに気づいている保護者の面々。勿論レインもセツナも気づいている。


「おっ、あれはオークか?話はここまでじゃ」


「だな、そこそこ数がいるから、ここは一つ競争といかないか?」


「その勝負受けてやる。こいつのお陰でまだまだ若い者には負けんわい」


 ドモンは義足を擦りながらガロードからの競争を楽しそうに受けることにした。


「豚共、こっちだ」


「「「ブォ!ブヒ~~~」」」


 背中に担いでいた大剣と大盾を装備し、大声でオーク達を挑発するガロード。


「そうだ、そのままこっちにこい」


 ガロードに群がるオーク達。しかし最後尾のオークが一頭、また一頭と減っていく。


「ドモン兄、ずりぃぞ」


ガロードは眼の前に迫るオークの攻撃を大盾で受け、大剣をカウンターで叩き込む。斬るというより叩き切るに近い攻撃に、吹っ飛ぶオークは一撃で動かなくなる。


「相変わらず、バカ正直な戦い方じゃのう」


 ドモンは気配を消しガロードに列を成したオーク達の最後尾に回り込み、大斧で一匹づつ首を跳ねていく。二動作のガロードと一動作で仕留めるドモン。競争の結果は言うまでもなかった。



 日も暮れ宿にはヒイロとレインとセツナの三人が既に帰ってきており、ヒイロとレインは夕食を、セツナは風呂の準備していた。

 今日の夕食は、超巨大猪の肉を薄切りにして、村で手に入れた野菜と一緒に煮込んだ鍋らしい。

 風呂はセツナが水魔法を貯め、義眼で温度を測り火魔法で適温まで沸かす。

 宿と言っても空き家の一棟貸であり、食事はついていない。その分料金は格安だ。外的に襲われる心配もなく、雨風をしのげて寝床があるだけでも、旅人にはありがたい。なにより風呂があったことに皆が喜んだ。一番はレインだが。

 

「う~ん、いい匂いだわ」


「早く食べたいなぁ」


「お風呂の準備も終わりました。もうそろそろ二人も帰ってくるから待ちましょう」


 そんな会話をしながら二人の帰りを待っていると、扉が開き二人が帰ってきた。


「今帰ったぞい。さて飲むかのう」


「ただいま、腹減ったぁ~」


 しかし、かなり汚れていて汗の匂いが酷い。


「ほら、二人共、先にお風呂に入ってきてよ。夕飯はそれからよ」


 レインが風呂へ行くように言うが、彼女の話を聞こうとしないドモンとガロード。


「全然獲物が見当たらなくて奥まで行っていたからのう」


「まぁ、その分村は安全ってことだろう」


「二人共、狩りの成果はどうでした?」


 そしてセツナが話に加わる。


「オークの群れを見つけたから全部狩り尽くしてきたわい」


「みんな、聞いてくれよ。ドモン兄が酷いんだぜ」


「まだ言うかガロード」


「何があったんです?」


(レインさん、もうそろそろ限界だろうなぁ……)


 どんどんと話が盛り上がり、言い争うドモンとガロード。それを煽るセツナ。

 しかしヒイロだけはレインの顔色に怯えていた。そして予想通りの事態になる。


「さっさとお風呂に行きなさい!夕食抜きにするわよ!」


「「はい!行ってきます」」


 いつまでも言うことを聞かない二人に、レインの雷が落ちた。

 


 この大陸に住む人々は主に二つに分けられる。

 無神論者か信者の違いと、住む土地での違いだ。

 大陸中央を龍山連峰に隔たれ、西にある種族史上の現実主義たる大帝国と、東にある教会の教えを信じ大小ある各国家の集合体である連合国。


 その連合国側の最も東に位置するサンライズ王国の王城の前には大聖堂があり、教会の総本山で教主が住まう場所でもある。


 教会が信仰する宗教とは女神教。又の名を聖女教とも呼ばれる一神教である。


 その昔、この世界を作りし創造の女神により召喚されし若者が、害とされる魔物や魔獣、悪魔や邪神を打倒し大陸に平和をもたらした。

 彼は勇者と呼ばれ、その後も様々な問題を解決、多くの物を発明したと言われている。

 その勇者から伝えられた教えを、時の仲間であった聖女が広めたのが女神教であり、聖女の教えである。

 長い年月が経っても、その教義や教えは廃れることはなかった。

 


 ヒイロ一行が農村にたどり着いた頃、大聖堂の一室でセツナの兄が教主との面会を待っていた。もちろんヒイロの発明の件である。


「ティエリア司教、教主様がお呼びございます」


「ずいぶんと早いですね」


「教主様曰く緊急の案件により速やかに司教様を通すよう言われておりますので」


「そうですか…… 」


 一人の若い聖騎士が来て、教主の下へと案内されるティエリア。書状で伝えておいたのが功を奏したらしい。王城よりは小さくも巨大な大聖堂。中も広く階数も多い。その最上階へ魔道具の昇降機に乗り教主の執務室にたどり着く。


「教主様、ティエリア司教をお連れしました」


「入りなさい。緊急時以外、しばらく誰も部屋には通さないように」


「はっ、かしこまりました」


 涼やかな女性の声で指示が出る。聖騎士は扉の前に見張りに立つが、ティエリアは執務室へと入っていく。


「お久しぶりです教主様」


 両膝をつき頭を下げて手を組み祈りのポーズをとって挨拶するティエリア。


「ええ、久しぶりねティエリア。さぁ、お立ちなさい」


「はい、ありがとうございます」


 教主である女性は、机の上の書類を今だ必死に書きなぐるように作業していた。


「相変わらずお忙しそうですね」


「本当よ!何でこんなに仕事が多いのよ。やってもやっても無くならないわ」


「そんな中、今回の件を持ち込み申し訳ございません」


「ええ、本当にね……ごめんなさい、半分冗談よ。あなたの判断は間違ってないわ」


「恐れ入ります」


「ふう~~~ お茶を入れてくれる?」


「よろしければ新鮮なミックスジュースをお持ちしておりますが?」


「やはり貴方は気が利くわね♪もう次の選挙で大司教になって私の側に使えなさい」


「ははは…… 御冗談を」


「でも、今回の件で大司教になっておいて損はないわよ」


「……………… 」


「これ美味しい♪ティエリア、それじゃ経緯を詳しく話してくれる?」


「はい、先ずは私の弟が…… 」


 魔法袋からジュースを渡すとうれしそうに飲む教主。しかしティエリアの話が進むに連れ、ご機嫌だった表情が徐々に険しく変わっていった。ティエリアの話が終わると、執務室は大きなため息が…… 


「はあ~~~~~ その子おそらくあの方と同じ召喚者か転生者でしょうね」


「それはわかりかねます…… 」


「懐かしいわね。あの方も突然いろんな物を作って周りを驚かせていたわ。そして周りの仲間は巻き込まれて大変だったのよ」


「さようでございますか」


「しかし、また自由に動く義手義足の魔道具かぁ。確かに今じゃ欠損部位を修復するほどの回復魔法の使い手は私を含め三人しかいないし、それが誰かなんてトラブルを回避するために秘匿しているけど、彼のことも秘密にするべきね」


「いえ、彼については公表すべきかと」


「えっ!なんで?」


「一つ目は、もう既に多くの人々に知られている事。二つ目は、この技術は職人に伝えれば再現できる事。三つ目は、今後もなにか作った時に備えて。以上三点の理由から公表はしておくべきかと」


「なるほどね。ならいっそ教会の名のもとに彼を守れるか…… それにどんどんと作れる者を増やせば、彼にむらがる虫も散ると。でも今後は何を作るっていうの? 」


「あくまでも私の想像ですが、義眼まで開発したとなると次は耳や声の補助器具かと…… 」


「えっ!そこまで作っちゃうの? 」


「もしかしたら」


「そっかぁ~ 確かにあり得るわね」


「それとは別に、なにかしらまた世界を変えるほどの発明をした時にも、彼の秘匿は難しくなります。かと言って作るなと言っても無駄かと」


「そうね、駄目って言っても、どうせこっそり作ったりするでしょうから無駄よね」


「なので、はじめから聖人として教会が認めて保護下に置いてしまえば」


「後は王国との話し合いかぁ」


「多少、他国より優遇すれば問題ないかと」


「でも向こうも彼に貴族位を与えて囲おうとするでしょうね」


「そこは既に手を打ってあります」


「えっ、そうなの? 」


「はい、なので問題ありません」


「そっかぁ、なら早急に国王との会談をセッティングしてくれる? 」


「かしこまりました」


「あっ、後、貴方は大司教に決定ね」


「………… 」


「返事は? 」


「しょうがないですね。慎んでお受けいたします聖女様」


「その呼び名は好きじゃない! あっ、おかわりちょうだい♪ 」


「かしこまりました。教主様」



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