うだうだうだうだ
リルは強く目を瞑り、パッと顔を上げると共に目を開いて、強い視線をハルに向けた。
「ハル」
「ああ、何だろうか?」
「私の気持ち、分かってる?」
「・・・気持ちと言うのが、リルが誰を好きなのかに付いてなら、推測はしている」
「分かってるのね?」
「かなり、私の願望が入ってしまってはいるが」
「それなのに、私と結婚したいって言うのね?」
「え?・・・申し訳ない」
「え?申し訳ない?」
「ああ。恥ずかしい事に、リルが好きな相手と言うのが、実は、だな。私なのかと私は思っていたのだ」
「・・・え?」
「いや、だが、私は諦めない」
「え?諦めない?」
「ああ。ここまでの話を元にすると、リルはその相手との結婚は考えてはいないのだろう?」
「あ、うん」
「その相手はリルに好意を持ってるのか?」
「え?うん、って言うか、なんで?」
「何故かと言えば、私はどうしても、リルと結婚したいからだ」
「ううん、ちょっと待って、ハル」
「ああ、どうしたのだ?リル?」
「ハルは私の好きな人が、ハルだと思ってたのよね?」
「ああ。先程までは」
「それがどうして、私が他の人を好きな事になってるの?」
「好きな事になっている?」
「うん」
「いや、しかしリルは、私がリルと結婚したい理由を尋ねたではないか?」
「うん?そうだっけ?」
「いや、そうだろう?リルには好きな人物がいるのに、リルに結婚したいと言うのは何故だと、尋ねたのではないのか?」
「え~と、ハルは私の好きな人、誰だと思ってるの?」
「誰?いや、私が名を知っている人物なのか?」
「待って待って?あれ?勘違い?」
「どうしたのだ?」
「ハル?」
「ああ」
「ハルは私の好きな人が、ハルだと思ってたんじゃないの?」
「ああ。恥ずかしい事に、途中からそう思っていたのだ」
「だよね?あれ?それならどこで、自分とは別の人だと思ったの?」
「それはリルが、リルには好きな人がいると知っているのに、私がリルに結婚したいと言うのは何故だと尋ねたから」
「・・・ごめん。あの・・・合ってるから」
「うん?・・・何が合っているのだ?」
「その・・・私の好きな人」
「・・・私が知っている人物なのだな?」
「違くて」
「違う?」
「ハルが考えていた通りだから」
「私が考えていたと言うのは?」
「その・・・ハルの願望通りだから」
「それは、つまり、リルの好きな人物は、私で合っていると言う事なのか?」
「・・・うん」
「いや、待ってくれ。それなら、リルが私を好きであるなら、リルに結婚して欲しいと私が伝えても問題はないのではないか?」
「だから、私は、その、ハルが、あの、ちょっと待って」
リルは片手のひらをハルに向け、もう一方を自分の胸に当てると、目を瞑って一つ大きく息を吸った。




