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働き過ぎは、聖女になりますので、ご注意下さい  作者: 茶樺ん


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184/189

閉会と延長

 国王が会場にいる人々に向けて宣言をする。


「さて。この場にいる者達に、口止めをしても無駄であろう。却ってある事ない事、噂が広がる筈だ。それなので口止めはしない。しかし、この場で見聞きした事以外を憶測を交えて、さも真実の様に語る事は固く禁ずる。その様な話が流れたら、その発端となった者は必ず捜し出し、厳しい罰を与える。誰かに事実を伝える時は、この事も一緒に忘れずに伝えよ。

 その代わりに、未だ調査中の事柄が明らかになれば、その都度公表する事を約束する。

 また元王妃と宰相に付いては、その罪を明らかにし、それに応じた罰を与える。そしてその罪は2人だけではない。もちろん2人に加担した者達も厳罰に処すが、余にも罪がある。あるいは王家にもだ。一連の犯罪を明らかにした上で、余も罪を償う事を約束する」


 そして国王は兵士に命じた。


「この場で元王妃と宰相に与した者達を拘束せよ。王太子とオフリーの領主父娘もだ。それに先程証言した者達もだ。ただし未だ目覚めぬ元王妃は宰相が運ぶ。宰相。それで良いな?」

「はい。御配慮頂き、ありがとうございます。それで結構です」

「うむ。では、罪ある者達を連れて行け!」


 拘束された人達が次々と連れて行かれる。その中にはハルにナイフを投げた男はもちろん、大切な人を亡くしてリルを人殺しと呼んだ者達も含まれた。



「余を含め、一部の者は退席するが、用意した料理が手付かずだ。この場は夜まで使える様にするので、好きなだけ食べて飲んで帰るが良い」


 そう言って国王が退室する後ろに、リルとハルとズーリナの聖女とイザンの薬師が従った。リルと後で話をする事になった面々だ。

 その一同に、宰相の娘が近寄り、気付いた国王が振り向く。


「ミリン、どうした?そなたは拘束対象ではないが、父親に付き添っても良いぞ?」

「ありがとうございます、国王陛下。少し、リル殿と話をさせて下さい」

「え?私?」

「はい。こちらへ。何もしませんから、こちらにいらして下さい。大丈夫です。ほんの少し、確認させて頂くだけですので」


 宰相の娘に誘われて、リルは列を離れた。国王とズーリナの聖女とイザンの薬師は部屋を出て行くが、ハルはその場に残る。

 リルと二言三言囁き合うと、宰相の娘は頭を下げた。そして宰相の娘は、兵士に囲まれて出て行く宰相の後を追う。

 リルがハルを向いたので、ハルはリルに近付きながら手を差し出す。リルもハルに近付きながら手を差し出した。ハルはリルの手をそっと握ると、自分の腕にリルの手を掴まらせる。


「もう良いのか?」

「うん。もう大丈夫」


 宰相の娘が何をリルに言ったのか、ハルはとても気になった。なにせ相手はハルを婚約者だと思っていたし、それがなくても幼馴染みではあるのだ。けれど、下手な事を言うとヤブヘビになるかも知れない。


「では、父達の後を追おう」

「うん。でも」


 リルは後ろを振り返った。リルが宰相の娘の姿を目で追ったのかと思い、ハルは少しドキリとする。


「どうしたのだ?」

「料理、ちょっと楽しみだったから」

「ふっ、大丈夫だ。父も食べていないから、行き先にも食事が用意されるだろう」

「そうなのね。良かった」

「この場に用意されているのはパーティー用の様なので、料理は違うかも知れないが、我々はもう少しこの国にいる事になりそうだよな?」

「え?うん。そうだけど、それが?」

「その間にパーティーなど、何度でも出席出来るだろう。それこそ、飽きて困るくらいに」

「そうなの?それってハルと一緒よね?」

「もちろんだとも」

「それならきっと飽きないんじゃないかな?」

「ふっ。そうか。そうだな。これまでのパーティーはリルと一緒ではなかったから、私には退屈だったのだな」

「そうかもね」

「そうだな」


 リルとハルが退室する後ろ姿を見ていた会場の人々は、話までは聞こえなかったけれどその仲睦まじい様子に付いて、今日の出来事の話題の1つに加えた。

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