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王都の魔獣情報【傍話】

 国王達の前に騎士が走り寄り片膝を突く。


「魔獣を討ち取りました!」

(まこと)か?!」


 国王が立ち上がり、王妃は渋い顔をした。


「やっとなの?」

「国王陛下。国王たる者、軽々しく玉座から腰を上げてはなりませんな」


 宰相が鼻で笑う。国王は宰相をチラリと見て、立ったまま騎士に視線を戻した。


「被害はどうなのだ?!」

「それは、まだ、確認中でございます」

「どこに墜ちた?城内なのか?」

「それも確認中でございます」

「墜ちたのは確かなのか?」

「そうであるかと」

「本当なの?」

「目撃した者がおりますので、討ち取ったのは確かかと」

「しっかり確認してから報告せねばならないのに、お前はどんな積もりで御前を騒がせたのだ?」

「申し訳」

「いや、良い。どこに墜ちたのか、建物に被害はあるのか、怪我人はいるのか、治療は始まっているのか、どれか一つでも分かったら報告せよ」

「畏まりました」

「それと他の魔獣はどうなったのか、そちら報告もする様に」

「それでしたらわたくしから」


 宰相が国王の前に立つ。


「分かった。そなたはもう下がれ」

「はっ!」


 騎士が一礼をしてその場を下がる。

 宰相は軽く咳払いをしてから語り始めた。


「第2城壁の外に現れた魔獣は10匹以下でした」

「以下?正確な数は?」

「動き回りますので、正確な数など無意味ですな」

「何頭倒したのだ」

「倒した報告は入っておりません」

「何だと?」

「冒険者は飛来した1匹に掛かり切りだった様ですな」

「それで?」

「以上です」

「その魔獣達はどこから第2城壁まで来たのだ?」

「分かりません」

「調べておらんのか?」

「魔獣がいるのですぞ?調べるなど、兵士を死にに行かせる様なものではないですか」

「第2の上から第3や第4の様子が見えるだろう?」

「各城壁の異常は報告されておりませんな」

「冒険者協会からはなんの情報もないのか」

「言ったではありませんか。ヤツ等は飛来した1匹に掛かり切りだったのでしょうな」

「その1頭も何だかまだ分からんと」

「クワイバンだかヒワイバンだかの様だとの報告があったではありませんか。忘れたのですか?」

「クワイバーンとビワイバーンだ。宰相は他の情報を持たんのだな?」

「国王陛下の前で報告すべきは以上ですな」


 王太子が立ち上がる。


「私は戻ります」


 王太子はそう一言だけ告げ、足早にその場を去った。

 王妃がパチンと扇を鳴らす。


「飛んでるのが墜ちたんならもう良いわ。私も戻ります」

「ご一緒いたしましょう、聖女様」


 宰相が王妃に手を差し出すと、王妃は宰相に指先を預けた。


「ありがとう」

「いいえ、どういたしまして」


 宰相が王妃を立ち上がらせると、宰相のエスコートで王妃はその場を後にする。


 国王は玉座に座り直し、体を背凭れに預けると、片手で顔を覆った。

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