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詩[思索]

たとえばぐちゃぐちゃに絡まった毛糸の玉を解いてはぐちゃぐちゃにするような

作者: 日浦海里

繰り返す


たとえば

ぐちゃぐちゃに絡まった毛糸の玉を

綺麗に一本の毛糸になるまで解いて

そしてまたぐちゃぐちゃの玉にする


繰り返す


たとえば

文字の数に制限がつけられた文章に

景色や心を織り込んだ一つの言葉を

書いては消して組み替えては消して


繰り返す


たとえば

店の素材を予算内で購入する想定で

在庫と合わせた七日のレシピを考え

それらを除いて更に七日分を考える


繰り返す


たとえば

足を一歩前に腰を落として拳を突く

肘を腰まで足の位置を戻し直立する

踏み込み突き出し戻す戻し突き出す


繰り返す


たとえば

鼻から空気を吸い込み肺に取り込む

膨らんだ肺を収縮させて空気を出す

必要なものを取り込み不要なら出す


漫然と繰り返してはいけない

完成された形があるのなら

そこにどれだけ近づけるのか

形が再現できるとするなら

それをどれだけ早められるか


そうすれば理想は手繰り寄せられる

理想は現実と重なって望むよう適う


解法はロジックで

すべてはパズルだ




そう言えれば楽だろう


完成された形のないもの

完成された形の見えないもの

辿り着く道筋がないもの

辿り着く道筋を実現できないもの


理想だけがそこにあり

それが夢想か現実かを

追い求めるものもいる


道なき道のその果てに

理想は無いと知る旅路

その可能性を否定して

道を拓き歩み繰り返す


理想を求めて足掻くものもまた

繰り返すことは変わらない


朝日を浴び

目を覚まし

何かを成し

何も為せず

疲れて果て

夜に包まれ

瞳を閉じる


繰り返す


生きているというこの日々を


繰り返す


何を為せるか確信はなくても


繰り返す


そこに意味を見出すかなんて

そこに意味があるか関係ない


繰り返す

ために

繰り返す


ぐちゃぐちゃに絡まった毛糸の玉を

綺麗に一本の毛糸になるまで解いて

誰かを包み込む何かを編みたいのか

自分を包み込む何かを編みたいのか

それすら分からぬままかもしれない


けれど


昨日と何かが違う今日を

今日とは何か違う明日を

どこかで夢見て繰り返す


生きているというこの日々を



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― 新着の感想 ―
[一言]  本当に関心がないのなら、同じだろうがどうでもいいのでしょうから。  同じだと思っている限りは、何か、その先に続く言葉があるのでしょうね。  自分が何を望むのか。  わからないまま繰り…
[良い点]  傷つかずに繰り返せるのは平和の上に成り立つ話。絡まる糸は人生とラストのフレーズが生きる道筋を物語る。
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