表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

試験開始!②

いよいよ実技試験が始まる。

受験者が集まる中、舞台上に先生のような人が上がった。

「えー、これより実技試験の内容を説明します。皆さんには、魔物と闘ってもらいます。魔物は全部で10体おり、強さレベルが1から10まであります。倒せた魔物のレベルによって、合否とクラス分けを決定します。では、1番の人から始め!」

レベル1は確か魔力があれば誰でも倒せる程の強さだよね。レベル10ってどのくらいなんだろう。

「ねえ、ニール。」

「ん?どうした?」

「レベル10の魔物って、どのくらいの強さなの?」

最大レベルって確か100だったよね…?

「あー、そうだな…俺らくらいの年齢なら30人でやればギリギリ倒せるくらい、かな。」

なるほど。そんなに強くないのか。

「よくそんなこと知ってるね。魔物の強さはレベルで表してはいるけど、冒険者や魔術師として仕事をしていない限り魔物と実際に関わることはないのに。」

国の周りを塀で囲んでいるものね。

…まあ、魔物はニールが作ったものだし。

「他国の田舎暮らしだったからな!塀なんてなかったし、魔物に襲われることなんか日常茶飯事だったし…」

ニール…嘘下手だなあ。塀のない国なんてないよ。

「ふーん…そうだったんだね。2人とも随分苦労してきたんだ。みんなが安心して暮らせるように各国の王家で協力して頑張らないとだね!」

確実に疑ってるよね…聞かないでくれて、本当にありがたい。

これ以上、疑われないように注意しなきゃ…


『アルフォール・ビア・リンドン!』

「あ、僕の番だ。」

「頑張ってね!」「ファイト!」

アルが試験官の元に向かう。

他の人より魔力を持ってるように感じたし、どんな魔法を見せてくれるんだろう!

その時…

firewallファイアウォール!」


ゴォォ!!


「!!」

大きな炎が魔物たちを覆う。

一気にレベル7までの魔物が焼き消えた…

「っ…これは、想像以上だったな。」

「うん…」

王家の人間は生まれながらに強い魔力を持つけど、歴代でも相当な実力者じゃないかな。

「ただいま!」

「「おかえり!」」

「レベル8以上はやっぱり無理だったなあ。」

そう言いながら、アルは頭をかく。

「それでもすげーよ!レベル7まで倒せる奴なかなかいねーよ!」

「そうだよ!この歳であんな大きな炎を出せるなんてすごい!」

興奮した私たちはアルを褒めまくる。それぞれ見ているところが違うらしい。私は魔法、ニールは魔物…

「ありがとう。2人がそんなに褒めてくれて嬉しいな。」

アルが嬉しそうに微笑む。

うん、良い笑顔。眼福…


『リエート・テオス!』

あ!次は私の番だ。ちなみにテオスは人間界での偽装の名前。神って意味なんだって。安直。

「行ってくるね!」

「いってらっしゃい!」「頑張れー!」

さあ、久しぶりの魔法だ!って言ってもあんまり目立たないようにしないとだよね。平民らしく。

この魔物は火に弱いから、火属性の魔法だと簡単にやられちゃう。だから他属性の魔法を使おう。

…うーん、何がいいかな。レベル10の魔物を倒せて、他のものが破壊されない程度の魔法だから…

よし、ちょっと強めのウィンドアローにしよう!

調整、調整…

windarrowウィンドアロー!」


その場にいたものは自分の目が信じられなかっただろう。火に弱い魔物に対し、風属性の魔法を使った挙句、レベル10までの全ての魔物が一瞬にしてやられたのだから。


「…は?」「まじかよ…」「ありえないでしょ…」

受験者たちは驚いて、立ちつくす。

しかし、1番驚いていたのはリエートであった。

「嘘でしょ…ものすっごく手加減したのに…」

そんなリエに試験官が問いかける。

「君は一体…」

どうしよう。なんて言えば誤魔化せる?考えろ私ぃ!!

えっと、えっと…

「魔物10体とも、レベルが1になってたのではないでしょうか!」

ぶはっ!くくっ…

どこかから馬鹿にしたような笑いが聞こえる…

ニールめ、あんただって嘘下手でしょうが。

「そうか…?」

「そうに決まってます!平民の私が風属性の魔法で、この魔物をレベル10まで倒せるわけないじゃないですか!」

「確かに、そうだな…分かった。では、もう一度試験をやり直そう。」

「はい!」

良かった…今度はもっと抑えて。

…やった!成功!レベル5まで倒して止まれた。

他の人たちも私言ったことを信じてくれたっぽい。

「ただいまあ…」

「おかえり…くくっ…」

ニール、いい加減笑うのやめようか。

「おかえり。最初レベル10まで倒したと思った時は驚いたけど、試験官のミスだったみたいだね。でもレベル5まででも凄いよ!」

アルはまだ少し疑ってそうだけど、大丈夫、かな。

「ありがとう!私も全部が倒されるなんて思ってなかったから本当に驚いたよ…」

まさか、ここまでの弱さとは思わなかった…


その後、ニールも程々に調整したため、レベル5までを倒すという結果になった。今回は上手く誤魔化せたけど、ちゃんと『普通』を知っておかなきゃ…

神の子だと、バレないように…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ