全くの、大外れですわよ!!
「ヴェインの野郎、あんたと愛し合ってるんだろ……? 王子の婚約者を寝取るなんて、許せなくてよ……」
「……は? 私と、ヴェインが?」
全くの「寝耳に水」情報に、アンナは目をパチクリさせる。――スタン王子一筋の私が、ヴェインと愛し合っているわけがありませんわよ!
「ちょっと、どんなガセネタを掴まされているんですの? 私がヴェインと愛し合っているなんて情報、全くの嘘でしてよ!」
「えっ……? はっ……?」
青年が放心していると、ヴェインも彼の近くにやって来て、アンナの言葉を力強く肯定した。
「ええ、アンナ様の言う通りですよ。私が王子の婚約者を寝取るなど、決してありえません」
そう言うと、彼はカヌーレの方を向いて、大胆な愛の告白をした。
「……なぜなら私は、カヌーレ・ベル様を愛しているからです!」
「えっ!? ちょっ!?」
縦ロールを揺らして、顔を真っ赤にするカヌーレ。嘘つきで有名な彼女だが、この感情は嘘ではなさそうだった。
――あのお方、カヌーレのことが好きでしたのね……。
色々と思うことがあったアンナだが、聖女のような優しい笑みを浮かべ、カヌーレの下へ近づいた。
「おめでとう、カヌーレ。今日はあなたにとって、素晴らしい日になりますわね」
「あ、あんた……! 何で、そんなこと……!」
「あら。幸せな男女を祝福するのは、当然のことでしてよ。おーっほっほっ!」
カヌーレは驚きやら恥ずかしさやらで、何度も口をパクパクさせる。やがてプイッとそっぽを向くと、ボソボソッと呟いた。
「何なのよ、もう……! 調子狂うわね……!」