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別離宣言

「たっだいま〜」


激動の一日を終えて家に帰ってきた優希。


あの後も部長交代による作業は続き、動画配信部の現状や今後の話し合いが行われた。


幸いな事に部の予算は自らが出している配信で間に合っている……というよりも、他の部活に支援が行える程に稼ぎだしているので問題はなかった。


そこで今後の目的となったのだが、やはり元部長である動画配信により知名度を上げつつ、他の部活動への資金援助を行うという部活動活性化作戦に感動して入部したので、それを続けていくという方向で決定した。


全ての話し合いが終わった頃には既に日が暮れていた。


そしてその後は新体制の動画配信部決起会という事で、仕事代として貰った5万円を使って配信部メンバーでファミレスへとやってきた。


勿論、そのお金を全て使うことなどなく一部のみで支払いを終えたのだが、ファミレスを出る頃には辺りは真っ暗という有様であった。


こうして遅くに帰ってきた優希を迎える者は誰といなかった。


優希は気にすることなく自分の部屋に戻る。


「あ〜シャワーは……明日でいっかな。

結城が嫌がるなら入ろう」


そう呟きながら寝間着に着替えてベッドに潜り込む。


その時に気付いたのだが、ベッドで眠っているから誰も反応しないと思っていたのだが、ベッドには誰も入っていなかった。


「トイレにでも行ってるのかな?

まぁ、いいや〜おやすみ」


疲れも相まって頭が全く働かずに直ぐに眠りに落ちる。


そのまま途中で目を覚ますことなく、優希は朝までぐっすりと眠りこけた。


朝が来て目覚ましの音が鳴り響く。


「うーん……うるさいから止めてよ」


寝惚けながらいつも目覚ましを止める係についていた、いるであろうもう一人の人物にお願いする。


いつもならそこでゴソゴソと音がした後に音が止まるのだが、今日は何の音沙汰もない。


仕方なく優希は眠たい目を擦りながら自分で起きて目覚ましを止めた。


「あれ?結城は?」


目が覚めて気付いたのは結城の不在であった。


寝ぼけ眼のままリビングに行くと既に身支度を終えた結城の姿を見つけた。


「あれ?結城いたんだね。

昨日は何処に行ってたの?」


「ああ……悪いんだけど僕はあの部屋から出て別の部屋を使わせてもらう事にしたんだ。

元の自室は優希が自由に使って良いよ」


突然結城から告げられた別離宣言に寝起きの優希の頭は全くついていけなかった。


「え?急にどうしたの?

別に困ってなかったんだから一緒でいいじゃない」


「いや、良く無かったんだよ。

僕と優希はもう同一の存在じゃなくて別人だったんだ。

いい歳した男女が同じ部屋にいるなんて普通の話じゃない……だから、これで良いんだ。

それじゃ、僕は先に行くから」


そう言って置いてあった鞄を掴んだ結城はそのまま玄関から出て行ってしまった。


「結城……どうしちゃったの?」


今までは全く同じ存在だと思って考えている事まで分かっている気がした。


しかし、今の結城は何を考えているのかさっぱり分からない。


優希は初めての感覚を不安に思いながら朝の支度をするのだった。




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