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優希の成長

「これで最後の部活紹介ね」


「ボクシングって見るまでは怖いって思ってたけど、見てみるとしっかりとしたスポーツなんだって勉強になったなぁ。

亜実ちゃんがサンドバッグ叩いているのも格好良かったよ」


部長の目的を聞いてから様々な部活を取材して行き、ボクシング部で運動部は最後となった。


取材に行く前は野蛮で怖いと言っていた優希だが、取材が終わる頃にはすっかりボクシングのファンになってしまったようだ。


優希のようなイメージを持っている人は多い筈なので、彼女の心の変化をそのまま流すだけでも彼らの正しい姿を伝えるのには十分かもしれない。


「実にお疲れ様だったね。

まさかこのペースで全ての運動部を回れるとは思わなかったよ」


「部長の目的を聞いたからには頑張りますよ!

それで、次は文化部ですか?」


「うーむ、文化部はそこまでお金が必要というわけでも無いのでな。

数が多い上に変な部活動もあるので全て……という訳にはいかないと思っている。

変な部活という点では私達も人のことは言えないがね」


「あ、文化部に行くなら私行ってみたいところがあるんですけど」


何かを思い出した様な顔で部長を見上げる優希。


「うん、何かね?」


画堂部長はそんな優希を可愛い妹分を見るような目で続きの言葉を促した。


「私の片割れと幼馴染がアナ研っていう所にお世話になっているらしいんです。

取材してみたいんですけどダメですか?」


「アナ研……ふむふむ。

文化部は最初は王道の部活のスケジュールを押さえておいたので少し時間がかかっても良いかね?」


「勿論です!

やった〜楽しみだな」


「ふふふ、優希君が元気に取材してくれるなら出来る限りの事はやるさ」


「えへへ〜ありがとうございます!」


そう言って和やかな顔で優希の頭を撫でる部長であったが、私にはアナ研と聞いた時に一瞬ピクリと反応したように見えた。


その日の帰り、私は優希にその事を伝えてみた。


「部長さんの様子が変だったの?」


「うーん、何か反応しそうになったのを強引に制御したように見えたんだけど。

ひょっとしたらアナ研に良い感情持ってないのかも?」


「そうなのかなぁ……でも、そんな時こそしっかり取材すればいいんだよ!

アナ研で頑張ってる涼と結城の取材をしてその成果を見ているリスナーに説明しよう。

それが魅力的に説明できれば部長が持ってるかもしれない悪いイメージも払拭出来るよ」


「優希……動画配信部の活動で強くなったね」


そうやって拳を突き上げてやる気を出す優希を見て何だか感慨深い気持ちになってしまった。


最初は私の影に隠れてオドオドしていたのだが、今は自分から積極的に皆んなに話しかけてより良い動画を作ろうとしている。


最近はお互いの部活が忙しくて放課後に会えていないが、もう1人の結城もこうやって頑張って成長しているのだろうか?


その事を考えると不安だったアナ研の取材が楽しみになってきた。

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