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第八十三話『必然』

「あれ!何これ?」

「前の客の忘れ物じゃない?」


 空曇る煙の街、ランテルの宿屋でとある姉妹はくつろいでいた。

 その宿屋の借りた一部屋で、薄い青紫の外ハネ髪の女の子が前の客の忘れ物か新聞紙を見つけたらしい。

 きちんと掃除しているのか、新聞紙よりそっちの方が気になってしまう姉。


「どう?いつの新聞紙なの?」


 薄白茶色のミディアムヘアと、一部だけ伸びた長い前髪の、額に航空眼鏡こうくうがんきょうを付けている女の子が自身の妹にそう聞いた。

 しかし視線は机に置いたメモ帳から離さず、万年筆を握って潰れそうな小さな文字を書きなぐっている。


「んっとね、お、最近のだ!」


 妹は新聞紙を広げて、折って、鶴を作り始めた。

 その様子を見兼ねて、手帳をポケットになおした姉は背伸びをしながら妹にツッコミを入れた。


「テト、新聞は読むものだと思うんだけれど」

「紙を折るから折り紙っていうんだから、それに元々折り目入ってるし」


 前の客は、新聞紙を折り鶴にしたらしい。

 新聞は読むものだと知らない人が多いのかもしれないと、少し頭が痛くなった。


「ちょっと読ませてね」

「ああ!ヒバリがテトの紙飛行機壊した!」

「ごめんてば」


 ベッドに飛び込んで、いじけはじめた妹を撫でながら新聞紙を開いた。

 知ったようなことばかりが書かれていて、こんなもんかと肩を落とす。


「ふーん、ん」


 ふと、ひとつの記事に目が止まった。

 記事とともに写真が載っている、しかしその写真と記事の内容が明らかに食い違っているのに気づいてしまった。

 知識のない人間からしたら、違和感はないだろうが。これを見た時、有識者なら違和感を抱くはずだ。


「灰魔法、じゃないよ、これ」

「どうしたの?」

「この仕事の次、やること決まったよ、テト」

「やったにぃぜ!」




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