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おいでませ下界5

ようやく・・・・・


更新:段落の先頭字下げ処理・・・

 鬱蒼とした森の中、道なき道を怪しげな一団がぞろぞろと歩いていた。

 ならず者らしき一団は、ボコボコと歪に膨らんだ赤い染みが着いた袋を肩に担いでいた。


 そんなならず者たちの中に、華奢な少年が一人混ざっていた。


 異様な光景はそれだけではない。

 ならず者たちは、少年にどこかじっとりとした視線を向け、少年を逃すまいと言わんばかりに囲うように歩き、しかし少年はそんな視線を感じ取りながらも怯える様子を一切見せず、毅然とした態度で歩を進めていた。


 少年は縄に繋がれるでもなく、剣を向けられるでもなく、ひたすらにならず者たちの後を歩く。

 少年は、時折ならず者たちに声をかけては、返って来る答えに軽く頷く様子を見せる。


 元給の神は、まるで親切な人に街の観光場所を聞くような朗らかさでその話を聞いていた。




 ――――――――――――


「ここから道が見えるだろ?あの道に出れば向こうに街の外壁が見える」

「そうか、助かる」


 やたらと五月蠅かった熊の解体が終わり、毛皮と肉と魔石なるものを渡されたので、解体の礼にと肉の半分を渡すと伝えた所、何故か全員の動きが止まり、壊れた機械化していたが、声をかけると再起動したので特に突っ込む気も無く荷物をまとめ、街への道のりを歩いた。

 道中やたらとちらちら視線を向けていたので、やはり構って欲しかったのだろう。こじれると面倒なので適当に声をかけて適度に発散させてやっている所で街道近くに出たらしい。


「…お前の荷物はここに置いておく。じゃぁな」

「ん?あぁ、気を付けて帰るんだぞ」

「・・・・・」


 何やら微妙な目で見られたな。

 あれか、あっさり別れたのが嫌だったのか?

 別れを惜しめとでも言いたいのだろうか。


 …面倒だから気付かなかったことにしておこう。


 どれだけ構って欲しかったのか知らないが、どこか背中に影を負ったような彼らの後姿を見送る。

 そしてこのかさばる荷物をどうしたものかと考え、何かいいものは無いかと探してみると4つ出てきた。


 魔法▽

<収納><空間収納><亜空間収納><倉庫>

 捨てる▽

 不法投棄は条例により禁止されています。各-文字数を超過しました。-


 …さっきから文字数ってなんだ。

 試しに<収納>を選択してみると、付与魔法か魔法の2択が出てきた。


「・・・・・」


 微妙に融通の利かない検索に、検索結果を検索するという地味な作業を経てようやく理解した。


 魔法は魔力依存で、魔力を込める量により影響範囲や効果が変わる。

 付与魔法の場合、特定の物質に魔法を付与することができ、付与した魔法の機能を持たせることができる。ただし付与する魔法や付与を施す物質によっては付与できない場合もある。らしい。

 俺の場合は問題なさそうだな。多分。


 収納の場合は、収納量や収納した物質の状態が魔力量に比例する。とのことなので、とりあえず魔力を込め過ぎても周囲に影響は無さそうだ。

 巷では収納が付与された大小様々な種類のマジックバックというマジックアイテムが存在するので目立ちたくないなら付与魔法がおすすめ。と。


 空間収納は、空間になんやかんや収納することができる。割と起床。生き物はダメ、ゼッタイ。

 は?


 亜空間魔法は、亜空間になんやかんや収納することができる。使える人間は紙として崇められる気がする。生き物もいける。なんせ紙だし。

 紙?とりあえず使えるのを知られると崇められる、と。


 流れから見てさっきの”起床”は”希少”で紙は神だろう。

 というか編纂したの誰だ。さっきから後半の説明が腹立つ。


 クレームを入れる相手が居ないので、とりあえずおすすめとされた今持っている袋に適当に付与魔法を施し、肉の入った袋をまとめる。

 余裕で全部入ったので、袋を担いで道へ出た。


 左を見ると、確かに壁のようなものが見えた。

 やっと街へ行ける、と一つ息を吐き外壁に向かって歩みを進めた。


 近くで見るとかなかなかに良い門構えだった。

 防衛に特化したであろうそびえ立つ武骨な外壁にしばし圧倒されつつ、人がまばらに入っていく様子を眺める。

 入る人間と何やらやり取りをしている門番に声をかけるべく最後尾につくとすぐに順番が来た。


「次」

「すまない、質問しても良いだろうか?」

「ん?いいぞ。どうかしたのか?」

「街に入りたいんだが、冒険者登録もしてない上にお金が無くて。熊…マーダーベアの素材を換金できないだろうか」

「は…?マーダーベア?」

「あぁ、マーダーベアだ。半身だが」

「半身…?なぁ坊主、今は暇だから良いが、変な冗談言って人をからかうんじゃないぞ?」

「冗談ではない。そもそも何をもって冗談だと判断したんだ?まさか見た目で判断してる訳じゃないだろうな?」

「あ~…いや…」


 大丈夫か、この門番。

 まさかどんな奴かよく調べもしないで街を出入りさせてるのか?

 もしそうなら門番の意味が無いだろう。

 この男、実は門番じゃないのか?


「坊主…どっからどう見ても、マーダーベアの素材なんか無いだろ?仮に魔石だけ持ってるにしたってなぁ…?下手したら盗んだとか言われる可能性もあるんだぞ?」

「…はぁ…知らんのか、世の中にはマジックバックというものがあるんだ」

「なぁ!?坊主お前…っ」

「なんだ?」


 急に大声を出したかと思えば、身体を近づけてひそひそ声で話す門番に若干距離を取りつつ話を聞くと、どうもマジックバックとやらは貴重なものだったらしい。

 盗まれることもあるため下手に吹聴するな、と。

 おすすめはどうした。


 分かりづらいが、門番なりに心配しているようで、本当にこれがマジックバックなら危ないからと、別の門番に声をかけて詰所へと連れていかれた。

 机と椅子だけが置かれた簡素な部屋に入り、着席を促されたので椅子に座る。


「さて、ここなら人目もつかないだろう。で、本当に何が入ってるんだ?」

「マーダーベアの肉の半身と毛皮と魔石だな」

「…なぁ、さっきから半身半身言ってるけど何なんだ?」

「倒したのは俺だが通りすがりのつん…親切な奴らに解体を手伝ってもらってな。肉を半分分けたんだ」

「…なるほど?」

「何か問題があるか?」

「いや?…とりあえず毛皮と魔石と肉は一部で良いから出してくれ」

「あぁ」


 言われた通り毛皮と魔石を机に置き、肉も置こうとして僅かに血がにじんでいるのを見てそのまま手で持つ。


「う~ん…確かに、魔物の魔石と、熊の毛皮だなぁ…肉はわからんが、まぁ違ってもこれなら通行料と宿代にはなるだろう」

「宿…?」

「お前…」


 そういえば寝る場所を考えて無かったな。

 門番に不審者を見る目をされたが突然下界に降りる羽目になったのだから仕方ない。


「大丈夫だ。最悪森で寝泊まりすれば良い」

「良いわけあるか!夜の森は危ないんだぞ?!魔物だけじゃなくて、下手したら盗賊に襲われることだってあるんだ。おすすめを教えてやるから、ちゃんと宿に泊まれ。仮にマーダーベアを倒せる実力があるにしても、無謀な真似はするんじゃない」

「…あぁ、わかった」


 何やら必死に言われたので素直に頷く。

 門番の男は満足げな顔で一つ頷き更に口を開いた。


「よし、しょうがないから一通り道案内してやる」

「…良いのか?」

「あぁ、坊主みたいな世間知らずを放っとくのも怖いしな。見てて危なっかしいしなぁ…」

「?!」


 危なっかしい…?


 危険人物認定されたのは業腹だが道案内は欲しかったので黙っておく。

 どうも人の世話を焼くのが好きらしいが、腹立たしい感じもしないので問題無いだろう。


「ちょっと待ってろ。引継ぎしてくる」

「…あぁ」


 そういって部屋を出ていく彼を見送りながら、今後について考える。

 冒険者ギルドに行き、宿屋を取り、あぁそうだ、教会があるか聞いておこう。

 転の神に色々と聞きたいことがあったんだ。


 あとは力加減を覚えないとまずいな。

 今座ってる椅子の背が握っただけで若干曲がってしまった。指の跡がついてたらさすがにばれるだろう。今のうちに直しておこう。

 何か有用なものがあると良いが…。






え?背景の描写が少ない?

主人公の興味が無いからでしょうね。


お読みいただきありがとうございました。

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