プロローグ・・・完
多分プロローグ終了。
プロローグ言い過ぎてゲシュタルト崩壊。
ゲシュタルト崩壊の使い方って合ってます?
更新:段落の先頭字下げ処理・・・
「はぁいどーもー、これからあなたは異世界に…え…?今度は何されたのあなた?」
ようやく目が慣れたと思えば、転を司る神が目の前に居た。
淡々と流れるような言葉が、自分と目が合った瞬間に途切れた。
同情と怪訝と真顔が入り混じった複雑な顔をされつつも被害状況を聞かれた。
悪戯とか疑われない当たりが日ごろの行いなんだろうな。
「…俺が聞きたい。陣の神に聞いてくれ」
「あぁ…今度はどんな思い付きを…」
うわぁって顔やめろ。
「…最初に召喚陣を巻き付けられたあと、別の陣を巻き付けられた」
「…へぇ…」
だからうわぁって顔やめろ。
「ん?なんでそれであなたがここに来るのよ?」
「知るか。…いや、何か言ってたな?異界の魂用だとか権限を……あ゛?」
「ちょっと?」
半目で見られるがそれ所じゃない。
「…"異界の魂用だったけど"…?"権限を持った私たち用の方がダメ"…。権限は奴が来る前に念のためにと他の神々に……っくそが………っ!」
この短時間の出来事を改めて口に出して思い返す。
思わず天を仰いだ。
「…まさかわざわざ委譲してたの…?」
「アホどもが来ると仕事が滞るだろう」
「………そうね………」
だからうわぁって顔を…違うなこれ、ドン引きしてる顔だ。
やめろ俺のせいじゃない。
「…とりあえず送り返してくれ」
「無理」
「は…?」
「正規の…いえ、どうもあなた自身を"異界の魂"と認識して引き上げちゃったみたいなのよねぇ…」
「…つまり?」
「下界でお役目を終えるまでは戻れないわね」
「…あ゛?」
おいふざけるな。
「気持ちはわかるけど落ち着いてちょうだい」
「あぁ…悪い…」
「あの子たちに好かれるのも困ったものねぇ…」
「は?」
「え?」
お互いに顔を見て固まった。
「いやいやいや。あの嫌がらせがどうしてそうなる」
「あぁ…まぁ…普通は嫌がらせだと思うわよねぇ…普通は…」
「当然だ。…普通…は…・・ふつう?」
「えぇ、普通は。あの子達はほら、普通じゃ無いっていうか。なんていうか…構ってくれるのがあなたしかいないっていうか…」
「……つまり?」
「あなた以外の他の神々は、あの子たちに何かされても無反応を徹底してたのよ。結構しんどいんだけど、乗り切れば絡まれなくなったわよ?」
「…嘘だろおい」
「…お疲れ様」
「慈愛に満ちた顔やめろ」
衝撃の事実を受け入れられ無いままに、更に続きがあった。
他の神々に無視されて拗ねた奴らがこっちに来ていたと。
おまけにいかに楽しかったかを報告して来たらしい。当然無視したが、と。
ふざけるな。
「強く生きて」
「うるさい」
とりあえず現状は把握した。
八つ当たりもおかしいし、いつまでもぐじぐじしてるのも鬱陶しいのでさっさと本題に入ろう。
「はぁ…それで、役目は教えてもらえるのか?」
「えぇ、一応ね」
「待て、なんで離れた?」
「一応ね、一応」
「さすがに八つ当たりはしない」
「まぁそうなんだけど、一応ね?」
「…あぁ…」
どんなアホな内容かはわからないが俺がキレそうな内容なのはわかった。
「良く言えば、ゆっくり下界を見て回る観光ね」
「…悪く言えば?」
「下界で人間一人探す旅」
「…あんの…っ」
声にならなかった。
「ま、まぁお休みを取ったと思ってゆっくりしてらっしゃいよ。休みたかったんでしょ?主神様も視察と休暇を兼ねて下界を1周してるんだから。似たようなものでしょ?まぁ規模が違うけど。息抜きと思えば丁度良いんじゃないかしら?そりゃ心配だとは思うけど」
「…まぁ、そう捉える方が、まだ気が楽だな…」
慰められた。
これ以上彼女相手にうじうじしても仕方ないので切り替えよう。
「ちなみにどういった状態で降りることになってるんだ?」
「え」
「おいあからさまに目を逸らすな」
「着いてからのお楽しみとか…」
「それ楽しめないやつだろ。奴らの管理下ならどこも似たような場所だろ。いっそ一思いに言ってくれ」
「…。うん、まぁ、でもそうよね。どこも同じよね。ちょっと若返った状態なのと、あなたが落とした問題児が多めに居る位だし」
「…多めに?」
「多めに」
不自然なほどの早口を聞き流していたがさすがに最後のは聞き流せない。
そもそも言った本人が急に視線を合わせない。
「……強制労働にしとけば良かった…っ」
「ドンマイ☆」
明らかに慰めより面白がってる口調に若干イラっとした。
まさか、罰則を強制労働にした所で、口は自由なのでうざったいと思い視界に入らないように下界に叩き落としたのが仇になるとは…
過去に戻ってやり直したい。
「……代理の神々に伝言を頼む」
「良いけど何て?」
「罰則は下界に落とすんじゃなくて強制労働に変更しておいてくれ」
「…………まぁ、伝えておくくらいなら」
完全に渋々感が出てる。
「大丈夫だ。静の神も居るから。上手く調整すれば口封じは出来る」
「あぁ!良かった。それなら大丈夫そうね」
おいあからさま過ぎるだろ。
「…はぁ……頼んだ」
「えぇ」
何とも言えない空気が流れる。
「あぁそうだ、本来なら能力を1つ授けるんだけど…」
「俺にもか?リソースが不足しないか?」
「全く問題無いのよね。私が使うリソースの大半って、魂の器を広げる為に使ってるだけで送る分には問題無いのよ。あなたがここに来ること自体異常ではあるけど、器がそもそも大きいからそっちの心配は無いわね」
「他に心配が?」
「あなたに与える能力の方が器に見合わなくなるってだけね」
「…あぁ…」
基本的に神の遣いの能力は高い。
主神より性能は低いとはいえ、全知全能があるし、引き上げた魂が望むような力はだいたい持ってる。
今更何を増やすというのか…
いや、一番欲しいものがあった。
「なら阿保どもに関わらなくて済むような加護をくれ」
「…その阿保の基準は?」
「…その情報必要か?」
分かり切ってるくせになぜ聞く。
「基準によっては下手したらリソース足りなくなるかも…」
「噓だろおい」
「残念ながら…」
「憐憫の目を向けるのはやめろ」
しかし困った。
全員と関わらずに済む方法は無いものか…
いや、そもそもさっさと役目を終わらせればいいのか。
「探し人を速攻で見つけるようなものは?」
「…悪いけど、役目を簡単に終えられるような能力は与えられないのよ」
「は?」
「私が決めた訳じゃ無いわよ?…んんっ…」
「何だ急に咳払いなん…」
「"異世界転生といえば、世界中の大冒険だよな!"って」
「…あんの…っ」
声にならなかった。
「おまけに情報もあげられないのよね。せいぜい種族は人間ですって位ね」
「っ…!!」
「…今の私にできるのは、あなたが下界で過ごしやすく生きられる助言くらいかしら?まぁ、そういう訳だから地道に頑張ってもらうしか無いわ」
「あぁあぁっ……くそ…っ」
とりあえず奴らをぼこぼこにしてやりたい衝動が湧き上がる。
「…よし、阿保共をぼこぼこにしても問題にならないような加護をくれ」
「…だからその阿保の基準を決めなさいって言ってるの」
振出しに戻った。
「…記憶の残ってる奴はもうスルーで良い。記憶の無い奴に絞るとどうだ?」
「あぁ…それなら大丈夫そうね。逆だったらちょっと無理そうだったわ。腐っても神の記憶を持ってられるだけの地力がある訳ね…」
「ならそれで良い。下界でこちらの話は大っぴらにはしないだろうが、突然ボコっても問題無い」
「…せめて人目は気を付けなさいね」
「あぁ、ありがとう。うまくやるから問題無い」
気遣いに感謝したが微妙な目を向けられた。
「なんだ、なんか言いたげだな?」
「…いえ、健闘を祈るわ。そろそろ送って良いかしら?」
「あぁ。世話をかけたな」
「良いのよ。あなたにはあの子たちの面倒を見てもらった恩もあるし」
「人が好きで面倒見てたような言い方はやめろ」
「わかったから汚物を見る目を私に向けないでよ」
「…あぁ、すまん。気を付ける」
「…………」
何故睨まれたかはわからないが、こちらに向かって手をかざされた。
ふわりと身体が光り始める。
下界に送られるようだ。
「そうそう、ちゃんとした神様を祀ってる教会なら、私たちと話せると思うから、愚痴ぐらいなら聞くわよ」
「それは助かる」
「いってらっしゃい」
「あぁ、行ってくる」
お互いに同情じみた微笑みを交わす。
多分お互いに苦労することを理解しているからだろう。
視界が白一色に塗りつぶされる。
やたらと派手な演出なのは、奴らの趣味を押し付けられたのだと信じたい所だ。
お読みいただきありがとうございました。
この先は未知の世界。(訳:話が何も決まってない)