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プロローグ的なこれ

ちょっとプロローグの概念が分からなくなってきた。

更新:段落の先頭字下げ処理・・・

 真っ白な空間にぽつりと、1人の青年が居た。

 居た、というか仰向けで寝転んでいた。


 20代半ばほどに見える青年は、目を閉じたまま微動だにしていない。


 整いすぎたその顔は、彫像のように人間離れしており、白い肌も相まって、その姿はまるで……


 眉間にがっつりと深く刻まれた皺のせいで、般若のようだった。



「…ああくそ…っ!」



 今日も今日とて、彼は虚空に向かって苛立ちを吐き出した。




 ―――――




「…どういうつもりだこのヤロウ。こっちに来た所で供給量増やすわけねぇだろが阿保か」


 身を起こして改めてログを見る。


 "今から行くわ♡――byジェシー"


「行くわじゃねぇ許可を取れ。せめて要件を入れろ、毎度微妙に名前を変えるな…っ!」


 奴らに注意したところで治らないせいか、いつの間にか一人突っ込みの癖がついてしまった。


 陣の神は「じんってなんか語感が可愛くないから」と毎度微妙に名前を変えて来るがこいつもこいつで厄介だ。

 連絡を入れるだけマシだが持ってる権能のせいで非常に厄介だ。

 突然やってくる阿保とどちらがマシか正直微妙だ。


 突然やって来る奴らのせいでこの場所もパッと見は何もない殺風景な場所だが、そいつら用の落とし穴や罠を多数設置しているので迂闊に踏み込めば侵入者をガッチガチに拘束してくれる。


 おかげで最近は突然来られても時間を稼ぐ余裕はある。

 初期のころは酷かったな…


 わざと罠にかかったり突破を試みたりと楽しみを見出した阿保どもが毎日のように湧いたのは不覚だった。

 最終的に、絶対自力では抜け出せないよう縄でぐるぐる巻きに拘束した上で口を塞ぎ逆吊りになるような罠が完成した。

 問題行動を起こす奴らが揃って逆さ吊りだったので問題が起こるはずも無く、その時は仕事が捗った。

 仕事が追い付くまではしばらく放置していたが、さすがに永遠に拘束していては奴らの管理下の世界に影響が出るので渋々解放したが。

 見た目にも日ごろのストレスが吹き飛ぶ目に優しいオブジェクトだったのに。




 まぁ昔のことはいい。


 とりあえず嫌な予感しかしないので、万が一の場合に備えておいた緊急時用の処置を開始、する前に一応中身を見ておく。

 下手したらアホ共に中身を変えられていやしないかと。


「…よし、問題無いな」


 念の為、数体の神々に直接連絡を取り、流れで緊急時の権限を一時的に付与。

 同情された。


 万が一自分の身に何かあった場合は彼らがそのまま続投してくれるようにもしたし大丈夫だろう。

 労われた。


 彼らの連絡先を奴らは知らないし、無関係な場所をアホみたいに経由してから彼らに連絡が行くようにしておいたから逆探知も不可能なはずだ。



 なぜここまで警戒するかというと、既に叩き落としたアホが過去に「やべぇ!ハッキング?何それカッケー」とか宣いやがった上に無駄に研鑽しやがったのだ。

 危うく権限を横取りされる所だった。

 本気で質が悪い。


 奴が女神たち相手に5股掛けていたおかげで、彼女たちが積極的に協力を申し出てくれたで事なきを得た。

 その時は過去に類を見ないほどに殊勝になっていたがすぐに復活しやがった。

 どんな精神構造してるんだ。


 その時の努力のおかげでこちらも多少の知識と防御の術は身につけたが、正直心もとない。

 奴らはGばりに繁殖力が強い上に興味を持ったことに対する努力が阿保みたいに優れているからだ。

 今度はどんな下界の流行を追いかけ出すか分からない。


 石橋を叩いて壊した瓦礫で奴らをボッコボコに殴殺する位の気持ちでいないと危ない。

 後で泣きを見たくはない。

 というか本当に休みたい。


 何を考えてるか分からないが、わざわざここに来るのだ。

 また阿呆みたいな思いつきで何かしでかすに違いない。



「キューちゃ~ん待った~?♡」

「・・・・・」


 そうこうしているうちに来やがった。

 本当に来やがった。

 ゴミを見るような目を向けているのに陣の神はにこにこと笑っている。


 それにしても…主神の遣いは髪型以外、皆一様に同じ顔をしているのに、雰囲気がこうも違って見えるとは…

 やはりストレスか。


「んもう、拗ねるな拗ねるな♡」

「鬱陶しい」


 毎度神経を逆なでするような言葉しか吐き出さない奴らの相手は非常に疲れるのだ。

 暴言を吐いた所でへこたれない精神は賞賛に値するがそういう問題じゃない。


 とりあえずつついて来ようとする手を払いのける。


「で?」

「やぁん、つめたぁ~い」

「くねくねしに来たんなら帰れ」

「違うわよ~も~!久しぶりに会ったのに~!」

「・・・」


 案の定時間の無駄だった。

 まだくねくねしている奴を放置。

 アイツの眷属に蛇は居なかったはずだが?

 まぁ満足したら帰るだろう。

 仕事を再開しようとした所で後ろから突進された。


「邪魔だ」

「ね、褒めて褒めて!」

「・・・・・」


 とても意味がわからないのでスルー。


「実験が成功したのよ~♡」

「・・・・・」


 毎度ロクなことをしないのでスルー。

 とりあえず万が一を考え罠を起動させておこう。


「なんと!今回下界に送った子はリソースの生産を増大してくれるんだから!」

「それならそうと早く言え。というか連絡だけ寄越せ」

「あぁん!連絡だけじゃ信じてくれないくせにぃ~」

「調査するから問題無い」

「も~直接褒めて欲しかったの~」

「鬱陶しい」


 後ろから身体を拘束された上にぐりぐりと、顔を奴の頭でドリルのように攻撃されている。

 非常に邪魔くさい。


「んふふふふ、という訳で見せてあげるわ!」

「あ゛?…おいなんだそれ…」


 阿保が徐に大きな布をバッと広げた。

 どこかで見た不可思議な陣…

 ちょっと待て。


「おい」

「ふふふん!私たちの努力の結晶よ!」

「ざけんな!召喚陣じゃねぇか!!」

「きゃぁ~~~~♡」


 かまされたドヤ顔が非常に腹立たしかったので顔面を片手で拘束。

 締め上げてるのになんで喜んでるんだ。

 こいつら本当にどういう構造してるんだ。


 っていうか布を離せ。

 悪ふざけ集団の努力の結晶とか嫌な予感しかしない。


「えい!」

「っ!?」


 一瞬で腕ごと身体に布を巻きつけられた。

 今度はどんな技術を習得しやがったんだこの阿保は。

 とりあえず縄抜けの要領で拘束を解く。


「…あら?」

「おい、何がしたいんだ…」


 面倒なので布を燃やした。

 またすぐ作るだろうけど残しておく意味も無い。

 1枚でも減らした方が良い。


「おかしいわね?私たち用に調整したのに…」

「話を聞け」

「じゃぁこっち♡」

「てめっ!?」


 何種類用意しやがったこのヤロウ。

 こんなもん作る暇があるなら…おい光り出したぞ。


「あ!成功!異界の魂用だったけど良かったわ」

「阿保か!そんなもん持ち歩くな!!」


 阿保みたいに光り出した布がどんどん輝きだした。

 待て待て待て。


 視界が白く塗りつぶされていく。


「ん~?それにしても、どうして権限を持った私たち用の方がダメだったのかしら?ま、いっか♡」

「良くねぇ!!」


 阿保の呟きに突っ込んだ声を最後に、光で何も見えなくなった。






お読みいただきありがとうございました。

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