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孤児院の子供達に健康なものを

草薙は孤児院を訪れていた。



以前、ここの孤児院の子供達は拉致事件に巻き込まれた。大陸の命令により拉致された子供達を助けたのが草薙だった。


「あっ……」


孤児院の建物に入った草薙を出迎えたのは一人の女性だった。


「草薙さんっ!?」


口に手をあて驚く孤児院のお姉さん。

ここの子供達の面倒を見ている女性である。おっとりした母性的な雰囲気のお姉さん。優しく垂れ流れる目と母性を感じさせる大きな胸が特徴的だ。


「お久しぶりです。その節はお世話になりました」


草薙を迎えたのは孤児院のお姉さんだった。拉致された時に草薙に助けられた


「また会えるなんて……お元気でしたか」


「あぁ、そっちも元気そうでなによりだ。その後はどうだ?」


「ええ、おかげさまで。あの後は無事に過ごせています」


「そりゃなにより、良かった」


「今日はどうされたのですか」


「今、大変だろう?」


「それは……大陸からのウイルスのこと、ですか」

草薙がああと頷くと

お姉さんの顔がこわばる。


「そうですね、不安になる子も多くて……」


お姉さんとこの孤児院の子供達は以前大陸の者達によって拉致された。

大陸絡みのものには敏感になっているのだろう。


「それに……少し体調を崩す子もでてきて……まだ発症はしてないんですが」

「体調を崩す、大丈夫なのか」

「発症したわけじゃないんですが……ここも周り……あまり豊かな状況ではないので……その……」

栄養が、とお姉さんの声がか細く漏れた。


「だろうな」


そこで草薙は袋をたくさん孤児院に運び込んだ。


「栄養のあるもの、持ってきたぞ」


「これは……食料ですか!?」


「あぁ、健康にいいものばかりだ」


「こんなにたくさん……バナナにトマトに納豆、生姜……ヨーグルトもこんなに……体にいいものがいっぱいです」


「あぁ、ウイルスに負けない体づくりのために、免疫力がつく食べ物をたくさん持ってきた」


大量の体にイイ食べ物を持ってきた。


「こんなにいっぱい……これまさか私達に?」


「日本の子供だからな」


大事にしねぇと。


「まだまだあるぞ。外にもな」


「まだあるんですか?」


「あぁ、受けとれ」


「なんだか悪いですね草薙さんには子供達を助けてもらって……あんなにお世話になったのに……」


「いらないか?」


「いえ! とってもとっても助かります!!」


「おう」


「本当に、本当に助かります!!」


「喜んでもらえてなによりだ、じゃあ運ぶとすっか」


◆


「お姉ちゃんの本を読んでると眠くなると言われちゃいます」


「そりゃ、ションボリだな」


「ションボリです。お仕事って難しいですね。社会は厳しいです」


「そうだな、相手子供だけどな」


微妙に抜けた所があるお姉さんであった。


◆


食料を運ぶか。

お昼寝中にやっちゃいましょう。

ふふっ、子供達が寝ている時がチャンスです。大人の私


ふふっ、と孤児院のお姉さんが草薙を見た。

「お主も悪よのぅ」


ほっほっほと草薙は笑った。


◆


「たくさん食料を持ってきた」


「本当にたくさんですね、草薙さん」


たくさん持ってきたのは……トマト。


トマトはいいぞ。



◆


「トマトの効能、わかるか?」


「体にいいんですよね」


「うむ」


一応説明しよう。


「トマトは体にいい。免疫力向上に役立つ」


「肌にもいいしな」

「そうなのですか?」


「そうだぞ」

トマトは肌にいいのだ。


「男も女もトマトでツルツルた。若返るぞぉ」


「それはそれは」


孤児院のお姉さんが感心したようにほうほうと頷いた。


「長生きしそうですでもんね。元気に長生きそれが一番です」


ここの孤児院のお姉さんは素直だった。


「トマトは抗酸化作用がある」


「抗酸化作用? 老化を抑えるんでしたっけ?」


「そんなところだ」


草薙は続ける。


トマトを食うのにいいタイミングがある。


へぇ~~そんなのがあるんですか、いつ食べても同じだと思ってました。


朝に食べるといい。


朝にトマトを食べるとトマトの栄養素であるリコピンを吸収しやすくなる。


リコピン、本で読んだ事ありますね。


あとは、バナナだな。


そういって草薙は大量のバナナをとりだした。


あっ……!?


ポンっ、とお姉さんは手を叩いた。


「バナナ嬉しいです!

料理しなくていいから、簡単に食べられていいですよね。栄養ありますし」


「お前、楽したがるよな」


「賢いといってください」


「その割には抜けてんだよなぁ……」


草薙は濃い黄色のバナナに視線を移す。


「でもまぁ、確かにバナナはいいぞ。栄養がある」


バナナの栄養について草薙は語る。


「バナナは免疫力が高くなる食物としてもおすすめだ

ビタミン、ミネラル、整腸作用のある善玉菌の助けとなるオリゴ糖が含まれている」


「ビタミンやミネラル、栄養たくさんですね」


「バナナは総合力が高い食べ物といえるな。

手軽で食べやすいのもいい。

生でそのまま食べてよし、ヨーグルト混ぜてもいいだろう。

ヨーグルトとバナナは相性がいいしな」


「ふふ、バナナヨーグルトとかおいしいですもんね。それに」


お姉さんは草薙がもってきた食料に目を向けた


「草薙さんがヨーグルトをたくさんもってきてくれましたし」


感謝するお姉さん。

草薙はバナナの他にも子供達のヨーグルトを持ってきていた。


「ガキ共はヨーグルト好きだろう?」


「ええ、特に甘いものは」


「バナナを免疫力が上がる食べ物であるヨーグルトに混ぜて食べると食べやすいうえに、免疫力が上がりやすくていい感じです


「なんだか改めて聞くと凄いですね、バナナ」

「そっちも詳しいと思うが」

「でも勉強になりましたよ」

「そりゃよかった」

「草薙さんの知識は現実的なんですよね。地に足がついてるといいますか」

「めり込んでるぞ」

「あはは、そうかもです」



そんな事を話しながら草薙とお姉さんんはバナナやヨーグルト、たくさんの食料を運んだ。


◆


「草薙さん今日はありがとうございました。本当に助かりました」


「気にするな。今は皆苦しいしな」


「でも、本当に助かりました。草薙さんがいっぱい持ってきたくれて……これで子供達においしいものをいっぱい食べさせてあげられそうです」


ホッとした笑顔を浮かべるお姉さん。

心からの感謝が宿っていた。


ここの孤児院事情は芳しくないのもあるだろう、多めに持ってきて良かったなと草薙は思う。

「でも、少し疲れちゃいました」


ほぅっとお姉さんが息を吐いた。

大きな胸がミチっと揺れる。


「牛乳はなるべく暖かて飲むのがいい」


「えっ? あっはい。ホットミルクですね」


「ミルクはいいぞぉ」


おっぱいはいい。


◆


「寝ているな」


「はい、寝ています」


「草薙さん、物音消すのすごいうまいですね、忍者なんですか」


「似たような事は稀によくやる」


「煙にまきますね、忍者だからですか?」


「まぁそれはそれとして……」


草薙は寝ている孤児院の子供達の顔を見回した。


「ぐっすり寝ているな」


「えぇ、気持ちよさそうです」


草薙は子供達の顔を見ていた。


「………」


この子供達を助けた時の事を思い出す。拉致という非道な犯罪

危険な戦いだった。だが


(良かったな)


そう思う。改めて。


「幸せそうですね」


眠る子供達の顔。

平和な光景がそこにあった。


「あなたが助けた子供達ですよ」


孤児院のお姉さんはいった。


「不適切な事もやったがな」


「大丈夫です。子供は大人の不適切な行為でなりたってますから」


「否定はせんがどうかな~とは思うが」


不適切な行為の認識に差違がありそうだがまぁいいだろう。


「……」


草薙は寝ている子供達の顔を見る。


(良かった、な)

息を吐く。

安心したような、暖かい吐息だった。


「さてと」


草薙は子供達を起こさないように、出口に向かった。


「行くのですか?」


「ああ」


今の状況は確認できた。

特に重い病気にかかってそうな子供もいなさそうだ。

バナナやヨーグルト、トマトなど健康な食料を食べていれば十分だろう。


「なにかお礼を……」


「大丈夫だ……」

草薙はふりかえる。


「もうもらった」


視線の先には幸せそうに眠る子供達の顔があった。

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