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修学旅行 番外編

由香サイド

 

 今日は待ちに待った修学旅行。

 1週間前から楽しみで仕方なかった。

 行き先は関西。

 神戸と大阪、行った事が無い場所。


 博覧会があるので今年だけと聞いている。

 今年だけって、何か特別感があって楽しみ。

 楽しみって言えば博覧会のパンダに会える事もだ。


 生まれて初めてのパンダさん。

 東京の動物園にパンダがいて、数年前に姉さんが中等部の修学旅行でパンダを見たと自慢して私も見たかったから、とても楽しみ。


 しかし楽しみばかりでは無い。

 大親友の和歌ちゃんとは違うクラスなのだから。

 浩二君も川口君と違うクラス。

 でも私は浩二君と同じクラスだし、和歌ちゃんも川口君と同じクラスだから淋しくても我慢よ我慢。


 ママに急いで用意しなさいと叱られた。

 そうだ、今日は早く学校に行かないと、慌てて朝ごはんを食べ、髪の毛を整える。

 鏡の前でいつものチエック。


『可愛ぞ、由香』


 これは毎朝の習慣。

 お弁当をママから受け取り、荷物を担いで浩二君と合流。


 いつもながら浩二君格好いいな。


 他愛ない話をしながら学校に。

 早速和歌ちゃん達と校庭で時間一杯までお喋り。

 そして和歌ちゃん達とお別れ、淋しい。


 出発式が始まる。

 校長先生の話が長い!もう学校裏にバスが来てるのに!


 続いて生徒会長、浩二君の挨拶。

 あれ?浩二君、内容殆ど飛ばしちゃった。

 先生焦ってる、担任達笑ってる?どうなるの?

 あっ浩二君笑った!

 出発するみたい、やっぱりね。


 バスの車内で先生から最高に嬉しいプレゼントがありました、全部浩二君のお陰。

 ありがとう。

 新幹線は和歌ちゃんと川口君、それに他のお友達も加わりとっても楽しかった。


 神戸に着いて、乗り換えの後、お待ちかねの博覧会会場に到着。

 その前に公園でお弁当食べながら頭の中は(パンダ、パンダ)


 せっかくの博覧会だけど、パンダ以外他のパビリオンに余り興味が持てない。

(出展者さんご免なさい)


 ようやくパンダの行列に並ぶ。

 あれ?お尻向けてる。


『おーいパンダさーん』

 残念、振り返るの期待したけど、でも和歌ちゃんと一緒に見れたから良いや! 


 その後は中華街へ、先生が肉まんをご馳走してくれた。


『熱っ!』

 たくさんの汁が口から溢れる。

(今のところ浩二君に見られた?)

 おそるおそる浩二君を見る。

 良かった和歌ちゃんと川口君見て笑ってる。


 けど私の事もちゃんと見ててよね。


 土産物屋さんで可愛い帽子があったので浩二君に渡してみる。

 何で浩二君帽子の名前知ってるの?

 少しふざけながら帽子を被る浩二君。

 にっこり笑顔、うん最高!


 あれ?後ろから悲鳴に似た声が?

 見ちゃったんだ仕方ないよ。

 浩二君その帽子もらったね、どうするんだろ?


 そして、電車で大阪へ移動。

 どうして浩二くんは初めて乗る関西の電車にそんなに慣れてるの? 

 その後電車を乗り継ぎ、旅館がある目的地の易に。


 怖い!

 公園から動物の鳴き声するし、変な人達が一杯寝てる。

 浩二君も怯えてる、やっぱり怖い時があるんだ。


 旅館に着いて浩二君の挨拶してる姿が格好いい。


 その後お風呂と食事。

 お楽しみ会の前に浩二君に念押し。


『絶対に合宿で見せたのはしちゃダメ』

 行く前から強く強く言ったからたぶん大丈夫。


 あれ?随分あっさり引き下がったな、何か企んでるの?


 その後隠し芸が始まり、みんな大笑い。

 和歌ちゃんと川口君の手品も最後に大失敗。

 でも最後は2人笑い合いながら舞台を降りた。


 さて次は浩二君の出番だけど...


 わっ!

 急に電気が消えた!

 スポットライト浴びて...誰あの人?


 浩二君...なんで化粧してるの?

 背中の紐にくくられたあの帽子は...

 唖然としていたら周りは大興奮!


 みんな大合唱、そしてアンコール。

 危ないな、意外に浩二君お調子者な所あるから。


 やっぱりね、また歌い出した。

 更に興奮が高まる。

 これ以上は危険って止めに入った先生。


 何で先生まで一緒に踊ってるの?

 それに仲居さんまで!


『いけない、この歌手は!』

 私の中に合宿の記憶が甦る。


 更にアンコール。


『ダメ!!』

 慌てて浩二君を止める。

 すでに右手はパンツを掴み、危ない所まで下がっていた。(間一髪)


 そして隠し芸大会は終わり。 

 先生は崩れ落ちて他の先生達に運ばれて行った。


 大丈夫かな?

 仲居さんも顔が真っ赤で汗だく。

 でも凄い笑顔、私には分かる、これは浩二君成分たくさんもらった人の顔だもん。


 翌日の朝食ご飯の変化に納得。

 あの仲居さんは女将だったのね。

 旅館を出る前の挨拶、少し緊張したけど上手くできた。


 その後お城に移動。

 ちょっと浩二君、引率の先生いないのに何でそんなに慣れて動けるの?


 お城は、まあ『お城だ』

 何か周りが開発されるみたい。 

 いろいろな作業着を着た人が何人かいた。


 その後また移動。

 だから浩二君何で初めての電車しかも地下鉄だよ。

 私達の住んでる町に無いよね。

 何で?

 止めよう不思議な所も含めて大好きな浩二君だから。


 そして帰りの新幹線に。

 今回最後の作戦を私は順子さんの話から思い付いた。


 車内は帰りも楽しかった。

 浩二君も嬉しそう。

 でも昨夜の疲れと、今日の引率の疲れで最初にうとうとし始めた。


 しばらくすると目の前の和歌ちゃんと川口君もお互いの肩に頭を寄せ合うように眠り始めた。

 その他の仲間達も一人、また一人と眠っていく。


『よしっ』

 浩二君は既に私の肩に寄りかかって眠りに落ちていた。

 浩二君の頭をそっと私の太股の上に置く。


 膝枕だ。

 順子さんみたいな大きな胸は無いけど、これなら私にも出来る。

 幸せな時間が過ぎた。

 どれくらい経ったのか浩二君が目を覚ます。

 焦って謝る浩二君。


『謝らなくって良いよ』


 順子さんありがとう。


 修学旅行、最後まで良い思い出ができました。


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