表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/229

名前を覚えよう

 ようやく兄貴の友達に慣れてきた。

 我ながら上手く溶け込めて来たように思う。


 しかし最初の内は酷いものだった。


『なんだ?このチビ助』

(お前の方がチビじゃねぇか!)


『何よこのカリメロみたいな頭した子』

(俺がカリメロなら、お前の頭はおんぶおばけじゃねぇか!)


 兄貴の傍をうろつく俺を邪魔に感じていたのだろう。


 しかし3ヶ月も過ぎると、


『おーす浩二、おじゃますんぞ!』


『こんにちは浩ちゃん、今日もニコニコ笑顔可愛いね』


 みんな話掛けてくれる様になった。


 今日家に来たグループは固定メンバーの5人。

 家に来るメンバーは日替わりで、全て入れ替わる訳でなく固定メンバーが5人。

 時折数人が加わる事に気づいた。


 男の固定メンバーは前回から覚えいる。

『薬師明信』と『扇本富三』の2人。


 何で覚えてるかって?

 こいつらみんな兄貴と同じ中学高校と進んで、それぞれ違う国立大に進んだからだ。


 俺は兄貴の行っていた公立高校を落ちて、併願の私立男子校に通う嵌めになったというのに。


 ...俺の事は良いんだ。


 さて問題の女の子達、最初から顔くらいなら俺も見覚えがあった。


 そりゃそうだ、3人いて、みんな兄貴に好意を寄せていたメンバーだから。

 前回は名前すら、ろくに覚えなかったがな。


 よし、名前を間違えず、忘れてないか今日も確認するぞ!


「ねぇ順子ねぇちゃん、上のお名前のそごうって十の河で合ってたっけ?」


「あら嬉しい、しっかり覚えくれたんだ。そうよ十の河でそごう十河順子だよ」


 順子ねぇちゃんはとっても大柄で、目鼻がハッキリした女の子。

 最初はハーフかと思った程だ。


「ねぇ浩ちゃん、私の名前は言えるかしら?」


「もちろん、西村優子ねぇちゃん!」


「ふふ、ありがとう」


 優子ねぇちゃんはおっとりした感じで、大きな目が印象的。

 長い黒髪は腰まであって、いつも綺麗に手入れされていた。


「次は私よ、私。

 ねぇ浩ちゃん、私の名前言ってみて!」


「しらん あんこ!」


「ちょい、ちょっと待って、しらんじゃないよ。白石、あんこじゃない(あんず)の子と書いてきょうこ、白石杏子!」


「そうだった?」


 俺は首を傾げる。

 杏子ねぇちゃんは順子ねぇちゃんや優子ねぇちゃんとタイプが全く違う。


 ショートカットの髪は少し茶色で、切れ長な二重と高い鼻筋。

 中学に上がる頃には一部男子生徒からファンクラブが出来てたな。


「うぐ、この可愛さは反則...」


「良いんじゃね?あんこの杏子で」


「うるさい富三(とみぞう)

 浩ちゃんが餡子(あんこ)が苦手だから『こいつの名前はあんこだぞ』って教えたからじゃない!富三(とみぞう)が!」


 そう言えば、毒舌でも知られてたっけ。


「こら富三、富三言うな!」 


「ハイハイこれぐらいしましょうね」


 順子ねぇちゃんはさっさと場を収める。

 本当、大っきくて頼りになる。

 でも中学からの印象は全く無い。

 避けられてたのかな?


「そうだな皆で宿題終わらしたら人生ゲームしよう!」


「「「「賛成!!」」」」


 今日も賑やかな固定メンバーだ。 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ