薬師君と富三さん
会話メインです。
ある日の駅前。
市営の図書館で本を借りた扇本富三君。
英語塾の友人と待ち合わせ時刻までハンバーガー屋でジュースだけ飲んで時間を潰そうと考えた。
店に着くと、入口付近で危ない目付きをしながら女性を追う薬師明信君を見つけ、声を掛けた。
「よ、久し振りだな」
「誰かと思えば扇本じゃんか、お久」
「今何してたんだ?』
「別に、強いて言えば、おしゃれチェックだな」
「なんだそれ?」
「男子校にいると異性をみる目が危なくるから気を付けよって、ある方がおっしゃってな。
オシャレをチェックしながら女性を見てるのさ、
『その内にあの素敵な目付きの男の子、私と一緒にお茶したいわー』って」
「そのある人が言ったのか?」
「いや後半は俺の独自解釈だ」
「やれやれ、今暇してるんだ。
ハンバーガー屋に行こうや」
「いや俺はオシャレチェックが...」
「うるさい!目の前で知り合いが警察に捕まるのを見たくない、早く来い」
「なんだよ、なんか奢れ」
「おけらか?薬師、金遣い荒いとデートの時苦労するぞ....なんだよ。そのいやらしい顔」
「誰がいやらしいだ、その質問待ってました」
「待っていた?」
「俺がいつまでも絶望から堕ちて這い上がれない男と思ったか?」
「思った」
「そんな昔の俺とはオサラバしたのさ」
「あっそ」
「聞いて」
「はいよ」
「つまり女の子とデートの手前なのさ!」
「へー凄いな。相手は白石か?」
「何であいつなんだよ」
「白石は関係ないのか?」
「いや白石の同じ学校の子」
「あるじゃん」
「そういえばあるな。
...いやつまり、白石の紹介でね、今度二人で遊びに行こうねって連絡先をだな」
「薬師が貰ったのか?」
「いや友達が」
「お前関係ないじゃん」
「うん」
「それで?」
「でもよ、紹介者俺だぜ?
俺を無視はしねぇよな?」
「お前が友達の立場なら紹介者誘うか?
男二人に女一人、男が来て欲しいか?」
「嫌だ」
「諦めろ」
「嫌だ」
「そのお前の友達やらも、『ちゃんと連絡先貰いました、あそびのお誘い貰いました』って薬師に報告してるじゃん、偉い奴だな。
なあ薬師」
「なんだよ。笑いたいのか?」
「次があるんだろ?」
「次?」
「白石達の女の子とお前の友達の会う機会」
「うん。次は文化祭」
「なら今度こそ出来ると良いなデート」
「うん」
「落ち込むなよ。
俺普通に共学の中学生だけど出会いないぞ。
しかも小学校からのイメージで中学校の中でも地味の殻を破れない。
薬師、男子校だからこその女の子との交流、
本当に楽しそうだな」
「扇本...お前いい奴だな」
「扇本君お待たせ」
「あれ?この子誰?」
「いや俺今から英語塾でグループレッスンだから」
「グループレッスン?」
「男の子二人女の子4人でディスカッション」
「はじまして、彼凄く英語なら積極的よ。
女の子にモテモテ」
「バカ止めろよ」
「イヤだ照れてる」
「富三~!!」




