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由香と合宿 

 去年、起きた事を由香に言えないまま合宿に行く日が来た。


 そういえば2日前に祐一から家に電話があったな。


『今年も参加するよね?』

 念押しの電話だったから祐一の参加は間違いなさそうだ。


 でも祐一に電話番号教えたかな?

 言った様な気もする。


『君とは親友じゃないか!』とか言って。

 今年の年賀状も来てたけど返事書いてないや。


「忘れ物無い?

 風邪引かないようにね、後は行く途中電車や車に気をつけて、後はえ~と...」


 母さんは朝から落ち着きなく心配する。

 去年も行ったのだから心配しなくても大丈夫なんだけど。


「母さん心配し過ぎだって。

 とかろで浩、今年の合宿は由香ちゃんも参加するよね?」


「そうよ、由香ちゃんの事もしっかり見てなさい」


「なぜその事を?」


 家族には由香の参加を言ってなかったはずだ。


「順ちゃんから聞いたよ」


「順子姉さんから?」


「母さんは由香ちゃんのお母さんから聞いたわよ」


「そうだったの?」


 二人とも知っていたのか。

 隠すだけ無駄だったけど、一言くらい言ってくれても良かったのに。


「僕が言うのも変だけど、母さんは由香と一緒の合宿は平気なの?」


「由香ちゃんのお母さんに言われたわよ、

『由香をよろしくお願いいたします』って」


「なんかそのセリフ少し使う場所が違うような...」


 なんともいえない気分だ。

 信用されてると言われたらそうなんだろうけど。


「そんな事より浩、合宿は男の子の方が参加人数多いでしょ?

 由香ちゃんをしっかりフォローするんだよ」


「そういえば去年も男子の方が多かったな。

 兄さんよく気がついたね」


 そこまでは気がつかなかった。

 由香は違う塾から外部参加だ、俺以外一緒に話す相手が居ないって事になる。。


 人見知りは殆ど無くなった由香だけど、俺が見てないと危ない。

 何しろ由香は可愛いからな。

 変な()が着いたら大変だ。


「僕は飛龍学園の合宿は参加してないから詳しくは知らないけど、由香ちゃんの行ってる塾は女の子しか通えない塾だって?」


「そうだよ、よく知ってるね」


「志穂達に聞いたんだよ。

 二人共其処の塾も通っていたんだ」


 そうだったのか。

 2つの塾を掛け持ちして、おそらく家庭教師もつけていたんだろう。

 だからこそ学芸大附属中学校に合格できたんだろうな。


「由香ちゃんかわいいから、きっと男の子達に狙われちゃうよ、

 毎日、毎日、大勢の人に追いかけ回される恐怖と来たら...」


「兄さんどうしたの?」


 兄貴の瞳から光が失われた。

 一体、中学校で何があったんだ?


「有一しっかりするのよ!」


 異変に気づいた母さんが叫ぶ。

 電車の時間が迫っていたので兄貴の事は母さんに任せて出発した。


「お待たせ浩二君」


「おはよう由香」


 いつもの待ち合わせ場所で由香と合流。

 白いワンピースにリボンの着いた麦わら帽子帽子の由香。

 うん、可愛い。


「待った?」


「いや本当に今来たところ」


 いつも待ち合わせは由香が先に来てる事が多い、だから今日は珍しかった。


「浩二君、合宿の荷物これだけ?」


 俺を荷物は肩に掛けたショルダーバッグ1つだけだった。


「4日分の着替えと塾の教材筆記用具でしょ、後は洗面道具くらいだからね」


 前世で勤め人だったからな。

 出張も年に数回あったので、最低限必要な荷物は分かっていた。


「手慣れてるね、私これでも結構へらしたんだけど」


 大きな旅行鞄だ。

 俺のバッグなら6個は軽く入りそうだ。

 中身もかなり入ってるんだろう。

 それは仕方ない、


「女の人って荷物が多くなるよね」


「女の人?」


 由香の目が光る。


 不味い、前世で行った妻との旅行を思い出してしまった。


「母さんの事だよ」


「そっか」


 上手くごまかせた。

 けれど母さんは旅行の際、荷物は家族で一番少ない。

 旅先で洗濯するし、必要な物が有れば現地で購入してた。

 学生時代の貧乏旅行で染み着いた癖だそうだ。


「鞄押すよ」


 由香の鞄を押してみると、車輪が付いているので少しの力で鞄は動いた。


「ありがとう、でも浩二君大丈夫?」


「大丈夫だよ」


 フンと力こぶを見せる。

 ゴリマッチョでは無い俺だが、身体は鍛えているのだ。

 正月のお年玉で家庭で出来るトレーニング器具(ブルワーカー)も購入したし。


 駅まで20分、俺達は合宿の話をしながら歩いた。


「男の子の方が多いの?」


「そうだよ、だから由香をしっかり守れって兄さんが言ってた」


「どれくらいかしら?」


「確か去年は80人の参加で、男子は50人くらいだったかな」


「男女比3対2ってところか、危ないわ』


 やはり男子が多いのは不安だろう。

 ここは安心させないと。


「大丈夫僕が守るから」


「違うわ浩二君がよ!」


「僕が?」


 なんで?

 俺は男色の趣味は無いぞ。

 美少年を見るのは嫌いでは無いが。


「浩二君が思っている事じゃないの」


「分かるの?」


「うん」


 由香はあっさりと頷いた。


「去年浩二君は合宿に参加した」


「由香?」


「浩二君の事だから騒ぎを起こした」


 ここは黙って由香の話しを聞こう。


「注目を集めた浩二君は参加者全員の自習を手伝った...男女問わず」


「どうしてそれを...」


 まるで見ていた様な由香の推理だ。

 細かい違いはあるが、大体は合っている。



「だから今年は参加者が増えたのね。

 お目当ては浩二君の自習か...」


「そんな事無いよ、自習したのはたった3日間だし」


「3日で充分だったのよ。

 今年も夜だけで10時間30分出来る訳だし」


 去年は毎晩フルで自習してないよ?


 まさか参加者の目当ては本当に...


 そう言えば今年も合宿に参加するって言ったら事務所は大騒ぎだったな。


「さっき浩二君は去年の参加者は80人くらいっだったって言ったわね」


「うん」


「今年の募集は160人、予約で満員よ!」


「ウゲ!」



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