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兄貴への恋を実らせてあげたい!  作者: じいちゃんっ子
俺と兄貴の中学入試
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元日の風景

 年が明けた。


 1981年1月1日。

 家族全員がリビングに集まる。

 じいちゃんの年頭の挨拶をして、お節料理を食べお屠蘇を飲む。

 じいちゃんが病に倒れてから無くなった我が家の恒例行事。


 この日ばかりは家族の前でお酒が飲める数少ない日(お猪口数杯だが)なので、俺は毎年とても楽しみにしていた。


 初詣はいつも家族で参拝していた。

 しかし今年は兄貴の体調管理の為、混雑を避け夕方に行く事になった。


 いつも初詣に行ってる時間、今年は暖かい部屋で、炬燵に入りお節の数の子等をあてに酒を飲む。


 俺は酒が大好きだ。

 おっさんの時も好きだった。

 日本酒、ビール、焼酎、ウィスキー。

 とにかくアルコール飲料が大好きだった。


 前世では毎晩のように晩酌をしていた。

 さすがに今は堂々と飲む事は出来ないので、いつもはじいちゃんが晩酌する横に座り、おつまみをせがみながら、ちょっとだけ日本酒をもらったり。

 父さんが飲むビールをジーと見ていたら、たまに『飲むか?』と聞いてくれる。


 恐る恐る口を浸ける。

 本当はグイってやりたいのを堪える。

 父親が『どうだ?』と、聞く。

 ここは空気を読んで『苦ーい』と顔をしかめる演技も忘れない。


 間違っても『プハーうまーい』何て言ってはいけない。

 次貰えなくなる。


 後は梅酒。

 我が家は梅酒を漬けていた。

 わりと梅酒を飲むのは緩かった。


 しかし、こっそり飲むは駄目で、親の監視下でしか許されなかった。

 梅酒に漬かった梅を目的の振りをしながらコップに梅酒もたっぷり注ぎ込む。

 気取られ無いようコップを急いで傾け、中の梅を取る振りをしながら口に梅酒を急いで流し入れる。


 俺の酒好きは完全に血筋によるものだ。

 父方の祖父も『酒を切らしたら死ぬ』と言って毎日飲み続けて肝硬変で亡くなった。


 じいちゃんは酒量がすっかり減って日本酒を3合ぐらいしか飲まなくなったが、

 若い頃は毎日日本酒を1升空けてばあちゃんを怒らしていたらしい。


 炬燵に入りテレビを見ながら酒を飲む。

『暖かい部屋』『炬燵』『酒』当然酒の消費量が加速する。


 兄貴は酒が口に合わないので自分の部屋に帰ってしまった。

 大人になってもビール1本で真っ赤だったし。


 母さんはばあちゃんと2人で台所に行って後片付けをしながらお節の残りをつまみ母娘のんびり過ごしている。


 残された男3人衆、

 父さんの横には電気で日本酒のお燗が出来る機械がセットされている。


 1度に3合の日本酒が燗出来るこの機械は人肌、ぬる燗、熱燗と細かい温度設定も出来る優れ物。


 父さんの釣り仲間が長年の飲酒で酒を止めなくてはならなくなり、父親曰く『形見分け』と称して持って帰って来た。

 その後、友達は無事回復したそうだ。


 最初は遠慮しがちに父さんやじいちゃんの返杯を受けていたが、酔っぱらいのペースに引き込まれて、気がつくと3人で日本酒の1升瓶を2本空けていた。

 たぶん俺も2合くらいは飲んだかも知れない。

 やはり子供の体は酒の回りが早い。

 気づくと三人とも酔い潰れてしまった。


 母さんの怒る声で目を覚ます。

 俺は日本酒のコップを握りしめて寝ていた。

 慌てて炬燵で突っ伏して眠る父さんの近くにコップを隠した。


 俺も過度の飲酒も疑われたが、炬燵で逆上(のぼ)せた事にしておいた。

 バレてたかもしれないが、正月だから無礼講で良いじゃないか。


 初詣は母さんとばあちゃん、兄貴の3人で行って来たそうだ。

 もちろん合格の願掛けをしたんだろう。

 御守りを買ってきていた。 

 俺の分まで買ってきてくれた。

 ありがとう。


 兄貴の受験日は1月23日金曜日と26日の月曜日の2回。

 合格発表は29日の木曜日である。


 23日は大安、26日は友引、29日は大安とカレンダーに丸で囲ってある。


『発表日が大安なんて縁起が良い』

 そう家族は言っていたが、

 兄貴の前世の結婚式も大安を選んでいたから余り良い印象は持てない。

 因みに俺の前世の結婚式は友引だった。


 兄貴は今度も気にするのかな?

 まあどちらでも良い、大切なのは誰が兄貴と結婚するかだ。


 そんな事を考えながら1日が過ぎて行った。

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