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兄貴への恋を実らせてあげたい!  作者: じいちゃんっ子
俺と兄貴の中学入試
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燃えよ姉さん

 順子さん視点です。


 私の名前は十河順子。

 岸里小学校6年2組の女の子だ。

 私には大好きな男の子がいる。


 彼の名前は山添有一。

 私が小学1年から想い続けている。

 自分でも感心するぐらいアプローチをしてきたが全く気づいてもらえない。


 何で?


 こんなに近くに居て、誕生会も学校のイベントにもずっと一緒にいるのに。


 超絶鈍感な彼だが、有一君は非常にモテる。

 私が知るだけでも5人以上彼に入れあげてる女子がいる。


 それはいい。

 好きな男の子に思いを寄せるのは女の子にとっては当たり前な事だから。

 しかし悠長に構えていられなくなって来た。


 有一君が中学受験をするからだ。

 県内一の偏差値を誇るその学校は、どう足掻いても私の頭では手が届かない。

 きっと彼は見事合格して私と違う中学校に行く事になるのだろう。


 卒業まで後5カ月を切って私は焦っていた。

 派手な事をして、彼の勉強の邪魔をしては絶対にダメな事は分かっている。

 そんな私が公然とアプローチ出来る最後のチャンスがやって来た。


[修学旅行]


 何て素晴らしい響き。

 私は彼と同じクラスと言う最高の環境に恵まれた。

 きっと前世で親の代から良い事(善行)をしてきたのだろう。


 ご先祖様ありがとう。

 私は同じ班になれるように更に念を送った。

 同じ班なら一緒の行動も飛躍的に増えるからだ。

 しかし私は隣の班になってしまった。

 やはりそこまで欲張ってはいけないと言う事か、無念。


 しかし電車の席は通路を挟んで隣の席を引いた。

 4人掛けの席が私にとって最高のロマンスシート。

 だけど4人掛けのシートのグループは全て男子と女子に分かれているから、これはやむを得ない。


 出発1週間前から修学旅行の栞を頭の中で何度も暗唱をした私は今や何も見ないで席の場所から、到着時間まで暗記している。


 そして迎えた旅行当日、

 朝の4時に起きてしまった私は朝から2回シャワーを浴び母に、

『ガス代がもったいない』と叱られた。


 そんな小言なんて馬耳東風よ。

 しっかり髪をセットして、準備完了。

 朝ご飯をしっかり食べて学校に出発。

 すると学校の前で有一君と偶然遭遇。


 何て幸先の良い始まりだろう!

 天気は曇りだが、私の心は晴天だ。

 出発前の点呼も元気一杯に良い返事をした。


 ああ気分は最高だ。

 新幹線の駅までバス移動。

 バスの席は自由に座って良いので有一君の隣を狙うが、クラスの男子に取られてしまった。


『何て事を!』

 何の印象も無かった男子だが、いっぺんに嫌いになる。


『将来女心の解らぬ鈍感さで独身の人生を歩め!!』

 と睨んでいたら席を代わってくれた。


 何て良い人だろう、君に幸あれ。


 有一君は今日の旅行とても楽しみにしていたそうだ。

 出掛けに弟の浩二君が、

『順子姉さんが張り切り過ぎないように兄さんしっかり見てあげて』と言ってたそうだ。

 浩二君、あなたは神なの?


 バスが駅に到着した。

 これから新幹線の乗り場まで2列に並んでの移動となる。

 体が少し小柄な有一君と女にしては大きな私は列が離れてしまう。


 おかあさん、何で私を大きく成長させてしまったの?

 いくら私が牛乳好きと言っても毎日1リットルも宅配頼まなくても良いのに。

『もったいないとから』と残さず飲ました母を少し恨む。


 新幹線の車内。

 早速隣の男子グループに女子グループとの合同でトランプ大会を持ち掛ける。

 私のグループはクラスで特に可愛い子達で固めてる。


 多少のリスク(有一君との時間を取られかねない)はあるが、男子をトランプに誘いに乗らせるためだ。

 幸いにも男子はトランプに乗ってくれた。


 定番のババ抜きは最高に盛り上がって楽しかった。

 こんな楽しいババ抜きは生まれて初めてだ。

 楽しすぎて最後に、有一君に勝ってしまった。


 ごめんなさい。

 その後大貧民やポーカー、とても楽しい時間が過ぎた。

 一番の懸念を(眠る)する事もなく、目的の駅に着く。


 ここで班ごとの行動となる。

 有一君しばしの別れ、泣くものか。

 班に分かれて今日宿泊する旅館に着く。

 出来ればホテルが良かった、仕方ないけど。


 玄関前で集合写真。

 ここでも最前列の有一君と一番大きい(しまった一番ってバラしてしまった)私は離れ離れになる、悲しい。


 その後玄関のホールで学校生徒代表の挨拶。

 もちろん生徒会長の有一君が読み上げる。

 カッコいい。


 学校から派遣されてる写真館のカメラマンがシャッターを切る。

 綺麗に撮ってね後で買うから。 


 その後各部屋に案内される。

 男子と女子の部屋は離されていた。

 当たり前だけど少し悲しい。


 荷物を置いたら学習行事で原爆ドームに行く。

 広島に来ていたんだ、盛り上がり過ぎて忘れかけてた。

 平和記念公園で外国の人達にインタビューする。


 去年アメリカに引っ越した優子と練習した英会話が役に立った。

 先生に『学年で一番のリポート』と褒められた。

 なにより有一君が興奮して、

 いつもの『十河さん』じゃなく、昔みたいに『順ちゃん凄い』って何度も連呼してくれた。

 幸せすぎて気を失いそうになったわ。


 アメリカの優子ありがとう。

 順子は幸せです。


 その後は旅館に戻り夕食。

 料理は冷めてだけど、有一君を見ながらの食事は最高。

 今の私は冷めたお粥でもご馳走になる。


 その後みんなでお風呂。

 私の体を見て、みんな凄いだの羨ましいだの言うが、有一君以外に褒められても嬉しくも無い、どうでも良い。

 でも天然温泉が気持ち良くって時間一杯まで入ってしまった。


 少しのぼせた私は着替えた後、少しロビーで涼む。

 私が着ているのは何時ものジャージではない。

 先週末に由香ちゃんと買いに行ったパジャマ。

 少し大人っぽいデザインだけど、校則には違反していない。

 ちゃんと先生には確認したから大丈夫。


 そこに先生の用事でロビーにプリントを取りに行ってた有一君と出会う。

 風呂上がりの私(胸)を見て初めて顔が真っ赤になってる有一君を見た。


 ひょっとして初めて女として意識してくれたの?

 意識してくれたのが胸だけかも知れないが、それでも良い。

 母さん毎日の牛乳ありがとう。


 翌日は宮島に行った。

 厳島神社で海にある鳥居をバックに写真を撮る。


 何故か有一君が私の隣に来た。

 体の大きい人が上に並ぶと、縦一杯になり過ぎて、鳥居が上段の人の頭に隠れてしまい写真に入らないので、体の大きい人は下に降りて中腰になって欲しいそうだ。


 写真館のミスらしいが私に言わせりゃミスじゃない。

 初めて集合写真で有一君と並べたよ。

 ありがとう3枚買います。


 お土産を買わなくては。

 何が良いかな?

 幸せが続き過ぎて考えられない。

 とりあえず定番の紅葉まんじゅうを家族の人数分買った。


 楽しい修学旅行もいよいよ終わり近づく。

 帰りの新幹線に乗り込む。

 行き同様に列を挟んで座る有一君達。


 先生達は既に眠っている。

 昨夜先生だけで酒盛りをしていたのは6年生みんな知っている。


『こっそり新幹線の席を男女で交互にシャッフルしよう』

 誰かが言い出した。 


 誰?誰が言ったんだ?

 私は君に一生涯おいしいご飯が食べられるよう祈るよ。


 有一君も仕方ないな~って顔してる。

 さすが空気を読むね、女心は読めないけど。


 有一君の隣は私が取った。

 これだけは絶対に譲れなかったので他の人には遠慮して貰った。


 帰りもトランプをする。

 楽しいけど、みんな疲れも有ってか行き程盛り上がれないみたいだ。


 私は有一君の隣に座れるだけで幸せなのでどうでも良い。


『おい昨日の夜にやったウノやろうぜ!』

 誰かが言った。

 他の男子生徒が持ってきたUNOと言うカードゲームをする

 初めてでルールが分からない私に有一君が教えてくれた。


 正直ゲームはどうでも良い。

 ルールを教わるふりをしながら有一に身体を預ける。


 有一君の顔が赤い。

 ひょっとしたら...

 いかん、ヨダレが。


 しばらくすると、旅行の疲れで眠る子が出てきた。

 私も連日の夢の世界に、疲れが来てうとうとしていた。


 いつの間にか少し眠っていたらしい。

 胸に当たる何かの感触に気がつく。


 ...有一君がもたれかかって眠っていた。


 本当に心臓が出そうな事が有るって知った。


 お母様、私順子はあなた様の優しさに一生涯感謝致します。


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手のひらドリルみたいに回転してて草
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