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兄貴への恋を実らせてあげたい!  作者: じいちゃんっ子
俺と兄貴の中学入試
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兄貴は小学6年生

 優子姉さんが旅立つ日が来た。

 空港には順子姉さんだけ見送りに来ていた。


『見送りはいらない』

 学優子姉さんはそう言った。

 しかし順子姉さんだけは、


『最後に伝えないと、お互いに一生後悔が残る』

 そう言って一人だけの見送りだった。


 しばらく2人は黙っていた。

 やがて出発の時間になり、


『...託したからね順子』


『分かった、でも相手がね...』


『そうね、大変ね』


『大変な人を...』


『『好きになっちゃったね!!』』


『行ってくる』


『行ってらっしゃい』


 それだけの会話だったそうだ。


 いよいよ兄貴は6年生になった。

 俺も5年生、二度目の小学校生活が終わりに近づいているのを感じる。


 兄貴は優子姉さんの言葉に数日間動揺していたが、


『あの話って、誰だろう?』

 数日後にはそう言って笑っていた。

 腹が立ったから、よっぽど言ってやろうかと思ったが、受験が終わるまでは言っては駄目、と順子姉さん達にきつく口止めされた。


 やっぱり中学校受験ってかなりナイーブになるものらしい。

 本人だけじゃなく、家族もピリピリしている。  

 そんな訳で今年は家族旅行も外食も、果ては誕生会まで中止になった。


 家族も願掛けと称して、


 母さんは禁コーヒー。

 じいちゃんは禁煙。

 ばあちゃんは禁餡菓子。

 父さんは禁酒したが、3日で断念して結局は禁魚釣りになった。


 俺は来年受験だから、しなくてもいいと言われた。

 願掛けとか、ちょっと徹底すぎない?っ聞いたら、家庭によっては遠足だけでなく、修学旅行や運動会、更にインフルエンザが流行る1月から試験日まで学校を休んで体調管理に努めると聞かされて絶句した。


 兄貴の受験が終わると引き続き、

『浩の試験が終わるまで』と言って来そうだけど、兄貴の試験が終わると俺の為の願掛けは辞退させて貰うつもりだ。


 息が詰まり、逆に実力が出せない気がする。

 でも、じいちゃんの禁煙は続けて貰おう。


 俺の試験勉強も順調に進んでいる。

 ようやく勘が戻って来たんだろう。


『浩がここまで出来るって知らなかった。

 仁政第一厳しいなんて言ってごめんね、今からでも学芸大学付属狙わない?』兄貴から言われた。


 けど、これ今だけなの。

 このまま兄貴と一緒の道を行くと、学年上がる度に化けの皮がボロボロに剥がれる恐怖に怯えながらの学生生活になるから嫌です。


 由香は相変わらずハイペースで受験勉強をこなしている。

 模試の結果を見せ合いっこしたら、由香は全国で100番以内に入っていた。


 俺みたいに前世の記憶も無いから、これが由香の本当の実力なんだろう。


『由香...凄いね』

 由香の模試結果に俺は絶句した。


『浩二君の方が凄い!!』って、由香は自分の成績以上に喜んでいた。


『由香も凄いよ』


 確かに俺の方が上だけど、ズルをしている気がして素直に喜べない。

 でも由香は、


『私は精一杯頑張ったよ。

 成績が落ちないで合格圏内に留まる事が一番大事なの。

 でも浩二君は私のもっと上に行ってる、その事が誇らしいの。

 パパやママ達に胸を張って浩二君の報告出来るもん』って。


 由香、俺の結果まで報告しないで。

 成績が下がった時を考えたらプレッシャーになるから。


 順子姉さんは6年のクラス分けで兄貴と同じ組になった。

『天は我を見放さなかった!

 これで修学旅行は燃えるわ!』だって。


 何に燃えるんだろう?


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