兄貴の小学校生活改善計画
これから俺がすべき事を紙にまとめよう。
今年兄貴の小学校入学祝いの際、一緒に買ってもらったピンポンパンデスクに向かい電気スタンドのスイッチを押す。
机の背面に浮かんだカータンの表情に思わずギョッとしながら引き出しから鉛筆とクーピーペンシルを出す。
これらも兄貴の入学時に一緒買ってもらった物だ。
一番最初にする事は兄貴の最高モテ期だった小学校6年間で、兄貴の事を好きな女の子が沢山いた事実を分からせなくては。
兄貴は昔から頭が良くテストはいつも満点。
社交的で分け隔ての無い性格から常にクラスのまとめ役だった。
6年の時には生徒会長まで務めたんだ。
俺は脇役、つまりモブキャラだな。
テストは悪くは無いが、満点はたまにしか取れない。
生徒会にも縁が無く、精々クラスの書記止まり。
モテ期?
勿論無かったよ。
男の友人は沢山いたけど、女の子には人気無かった。
あの頃、男の子と女の子は対立してたから兄貴みたいに上手く立ち回れ無かったんだ。
俺の事はいい、兄貴の事だ。
落書き帳の表紙に鉛筆で
[兄貴の小学校生活改善計画]と書いて下に赤線を引く。
兄貴が1年生の時、クラスメートがしょっちゅう家に遊びに来ていた。
あの中に確か3人程兄貴の事が好きで、高学年になっても家に遊びに来ていた女の子がいたはずだ。
まだ好きな人だって感覚は無いだろう。
[何か気になる男の子]と言った感覚位か。
まずはこの子達に兄貴の良さを教えて恋して貰い、そして兄貴に気持ちを伝えて貰えるように俺がアシストするのだ。
いくら鈍感兄貴でも、これなら意識するだろう。
よし決まりだ。
今度兄貴のクラスメートが家に来た時に俺も隅っこで参加しよう。
そして兄貴の事を意識する女の子をチェックするのだ!!