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兄貴への恋を実らせてあげたい!  作者: じいちゃんっ子
番外編みんなのプロポーズ。
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祐一のプロポーズ? 後編

「それは災難だったね」


翌日僕とりっちゃんは由香ちゃんの自宅を訊ねた。

今日は日曜日で由香ちゃんの医院も休みだ。

でも浩二君は町内会で留守だった、残念。


「そうなのよ、由香さん。どうしょうかしら?」


「そうね、でも律子さん、祐ちゃんを恋人に仕立てるのは少し無理があるわよ」


「まあ...いきなり過ぎたわ」


失礼な!僕だって男だよ。頼りになるんだからね多分...


「警察は?」


「行ったわ、でも事件じゃないって取り合ってくれなかったの」


「酷いよね由香ちゃん」


「本当、何かあったらどうする気かしら?」


「まだ社会問題に成ってないのよ」


りっちゃんは吐き捨てる様に呟いた。

まだって事は将来は社会問題になるのかな?

それより問題は今だよね。


「律子さん引っ越さない?」


「え?」


「引っ越すのよ私達の家の隣に」


「いえでも...」


りっちゃんは明らかに困惑している。

分かるよ、いくら何でも『前世の旦那さんの隣に越してくれば』って現世の奥さんが言うなんて...


「りっちゃん。引っ越しなよ」


僕はりっちゃんの背中を押してあげる。


「ゆ、祐ちゃん」


「だって由香ちゃんの傍ならあの男も近づけないよ。

だって由香ちゃんの旦那様は...」


「でも浩二さんは貸さないわよ」


「あら残念」


僕の言葉に2人は冗談を言い合って笑った。

信頼関係が出来てるな。

浩二君の奥さん2人。

ああ僕も中に入りたい。


「祐ちゃんも一緒においでよ」


「は?」


由香ちゃんの言葉に僕は絶句する。


「だから祐ちゃんも律子さんと一緒に暮らすの。最初からあらかじめ周りに言っておけば恋人って言っても疑われないしね」


「そっか、いいアイデアね」


「でしょ」


由香ちゃん達は僕をそっちのけで笑うが良いんだろうか?


「祐ちゃん何か不都合が?」


「いや不都合は無いけど、調度仕事は地元で開業する予定だったし」


「なら決まりね」


「ええ決まり!」


こんなにあっさり決めて良いんだろうか?

僕はいきなりの展開についていけない。


「祐ちゃんも大好きな人の近くに住めて嬉しいよね」


「ぎゃ!」


由香ちゃんの爆弾が炸裂した!


「な、な、何の事かな...」


「さあね」


由香ちゃんはイタズラっぽく笑った。

そんな...20年近く隠してるのに...バレてる?


「ただいま、予定より早く終わったよ」


その時リビングの扉が開いた。

それは僕達3人の最愛の人だ。


「「「おかえり!」」」


「わ!律子と祐一来てたのか」


「来てたよ」


「お久し振りです、あなた」


「あなた律子さんがこの近くに引っ越してくるの」


「は?」


「宜しくお願いします。あなた」


「祐ちゃんも一緒に」


「へ?」


「ダメ?」


「いやじゃないが何があったんだ?」


「実はね....」


僕達は事情を説明した。


「許せないな」


浩二君は怒りを滲ませた。


「僕は何をしたら良いかな?手荒な事は出来ないけど」


「大丈夫よあなた、律子さんが持参した情報があればね」


由香ちゃんはりっちゃんが持ってきた冊子を開いて笑った。


「そうなのか?」


「ええ、後はお祖父様に任せます」


「は?」


「大丈夫よ、少しお灸を据えて貰うの」


由香ちゃんはそれ以上言わなかった。


(しばら)くしてりっちゃんの騒動は幕を閉じた。

由香ちゃんの言った通り。あれ以来あの男は全く姿を見せなくなった。

何でもあの男は転勤になったそうだ。


「解決したなら別に引っ越さなくても良かったんじゃないか?」


僕とりっちゃんの新居で浩二君は運び終えた荷物を解きながら呟いた。


「お父さん!」


「はい!」


怒りの声の主は山添知香ちゃん、浩二君と由香ちゃんの長女。

分かるよ知香ちゃんは浩一君が大好きなんだ。

嬉しいよね、大好きな人が近くに住んでいるなんて夢みたいだよ。

2人で荷物を運ぶ姿は輝いてるもん。


「お父さん諦めなよ」


落ち込む浩二君を慰めてるのは二女の藍香ちゃん。姉思いの良い()だ。


「藍香、お前は父さんの味方か?」


「敵も味方も無いよ。ただ幸せを願ってるの」


「幸せを願う?」


「うん私はお父さん達と一緒、みんなの幸せを願ってる!」


「藍香!」


浩二君が感動してる。


「で浩一君と知香姉の幸せ2つ、父さんの哀しみは1つ。だから姉さんを応援な訳。

後は祐一さん、引っ越しの御挨拶お願いします」


「あ、藍香...」


素晴らしいよ藍香ちゃん。

出来たら『祐一さん』じゃなく『祐ちゃん』と言って欲しかったけど。


「そんな訳です浩二君、これから末長くお願いします」


僕は浩二君に頭を下げた。


「誤解を招く言い方は止め...ま、いいか、祐一これからも宜しく頼む」


「え?」


笑顔の浩二君は僕に右手を差し出した。


「う、うんこれからも宜しく」


僕は涙を堪えて握手をした。


「良かったね祐ちゃん」


「おめでとう祐ちゃん」


由香ちゃんやりっちゃんに祝福されて僕の目からとうとう涙が決壊してしまい止まらなくなった。


『ありがとう浩二君、これからも宜しく!!』




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