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兄貴への恋を実らせてあげたい!  作者: じいちゃんっ子
番外編みんなのプロポーズ。
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祐一のプロポーズ? 前編

僕(清水祐一29歳)は親友のりっちゃん(伊藤律子)に相談があると呼ばれて久し振りに浩二君達の住む町に帰って来た。


「ごめんね祐ちゃん」


「大丈夫だよ、何か困った事でもあったの?」


りっちゃんの住んでいるマンションの部屋でオレンジジュースを飲みながら尋ねた。

りっちゃんは16歳の時に長男である浩一君を産んだ。

子供の父親である吉田久は責任を取るどころか俺の子か?とまで言って逃げてしまった。

僕は小学生の時に2人の仲を応援していたので凄く責任を感じていた。


...もっともりっちゃんの秘密が僕を離れられなくさせている。


「うん少しね」


りっちゃんはそう言って困り顔を浮かべた。

(意外に深刻だぞ?)


「話してごらんよ」


「うんあのね...」


りっちゃんは地元で幼稚園の先生をしている。

凄く優しくて何より子供が大好きなりっちゃんには天職だ。

保護者の信頼も厚くとても頼りにされている。


だが中には親切を好意と勘違いする奴もいる。

5年前には引っ越しまで余儀無くされた。

りっちゃんは凄く綺麗で独身、恋人も居ない。

だからといってりっちゃんに好きな人がいないと言う訳では無いのだ。


「また?」


「うん、今回の人も凄くしつこいの」


「いつもの様に最後は奥さんに言うのは?」


「それが今回は奥さんに逃げられてるの」


「シングルファーザーかそれは面倒だね」


「本当、私がシングルマザーだからって親切を装って来るけど下心がバレバレよ」


「うわ、嫌なタイプ!」


「本当、あの人の一番嫌いなタイプよね」


「うん」


『あの人』僕とりっちゃんの頭に浮かぶのはただ1人。

りっちゃん、律子さんの前世での旦那様で今も大好きなんだよね。

そして僕が小学生の時から大好きな人、男同士だから絶対に秘密にしているこの想い。

    [山添浩二君]


「それで祐ちゃんにお願いがあるの」


「お願い?」


「うん私の恋人の振りをして」


「うえ?」


思わず変な声が出た。


「こ、恋人?」


「ええ」


「む、無理だよ。だってりっちゃんは浩二君の前世での奥さんで...」


「だから振りだけよ、私もあの人が大好きな祐ちゃんにお願いするのは心苦しいんだから」


「な、何で僕の秘密を...」


絶対に秘密にしていた事を言われ唖然とする。


「分からない方がどうかしてるわ」


「そうなの?」


知らなかった、まあ浩二君が気づいてないならいっか!

その時玄関のチャイムが鳴った。


「浩一君かな?」


僕は玄関に向かおうとする。


「待って、浩一は由香ちゃんのお家に御呼ばれしてるから今日は帰って来ないはずよ」


由香ちゃんとは浩二君の奥さんで僕とも大親友だ。

凄く綺麗で優しくて、何より浩二君を愛している。だから僕が女の子でも勝てる気がしない。

今2人の娘のお母さんでりっちゃんの秘密を知っていながらも2人は大親友なんだ。

何て懐が深いんだろう。


「伊藤さん居ますか~?電気が点いてますよ?」


外から男の人の声がした。


「あの人よ...」


「あの人?」


「私につき纏ってる奴よ!」


りっちゃんの顔に少し恐怖が滲む。

本当に困っているんだな、僕も大学時代から社会人の今まで幾度か男女問わずつき纏われて迷惑してきた。

だけど僕は男だし多少(空手)に自信があったから怖くは無かった。

けどりっちゃんはか弱い女の子だ。

(30前だけど)


「分かった恋人の振りをするよ」


僕は玄関の扉を開けた。


「どなたかな?」


仕事の時しか出さない声のトーンと男口調で尋ねた。


「だ、誰だ君は?」


男は僕を見て焦っているな、よしよし。


「お、俺は伊藤律子の恋人だ、君か?律子につきまとっている男は?」


「つ、つきまとう?」


「違うのか?」


「ち、違う、僕は律子さんが1人で心細くないか心配で...」


「なら心配いらない、ぼ、俺がいるからな」


「り、律子さんは居るのか?僕は律子さんに用があるんだ」


「北村さん私の家にまで押し掛けて何のつもりですか?どうやって家を調べたの?」


「あ、律子さん。良かった無事だったんですね、心配で心配で慌てて来たんです」


一体何だこいつ?僕の質問には答えずりっちゃんを心配している振りをしながら近づくって。


「だから聞いてよ!律子さんには僕が居るから帰れって!」


僕は思わず地声を出していた。


「ん?君は女の子?何だ。いけないな僕を騙すなんて...」


僕の地声を聞いた男は急に態度を変えてきた。


「失礼だな僕は男だぞ!」


「騙されるもんか、よく見れば君華奢で可愛い顔してるね」


「ひゃ!」


男の余りの気持ち悪さに体がすくむ。


「帰りなさい!警察を呼ぶわよ!」


後ろでりっちゃんは怒りの声を上げながら電話の子機を見せつけた。


「そ、そんな律子さん」


「気安く呼ばないで下さい!」


「そうだそうだ!」


僕はりっちゃんの陰に隠れた。

だってりっちゃんの方が背が高いんだもん。


「分かりましたよ...でも諦めませんよ。また来ます」


男はニヤリと嫌な笑いを浮かべ帰って行った。


「どうしよう?」


僕はりっちゃんに聞いた。

情けないけど僕から手を上げたら警察沙汰になっちゃう。

お祖父ちゃんいくら何でも(三段)えすぎだよ。


「由香ちゃんに相談しましょう...」


「そうだね...」


僕達は由香ちゃんを頼る事にした。



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