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誕生会に呼ばれた!後編

 由香ちゃんの後に続いて洋館の中を歩く。

 誕生会の会場は二階にある様だ。

 廊下に置かれている調度品はどれも高級そうで、埃1つ着いていない。

 緊張しながら由香ちゃんに話掛ける。


「綺麗なお家だね、

 このお家に由香さん住んでるの?」


「ううん、ここのお屋敷全体にはお祖父様夫婦と伯父様家族が住んでいるの。

 私達家族はこのお隣に橋本医院ってあるでしょ、そこの2階に住んでるの」


「由香さんの自宅で誕生会じゃないんだ」


「家族の催しはここの洋館でやるのがお祖父様の決めたルールなの」


「へーそうなんだ。

 今日の誕生会って由香さん家族以外にも集まってたりするの?」


 何気に聞いた。


「あの、パパとママに、お姉ちゃん。

 そしてお祖父様とお婆様、...後は従姉妹達ね」


 最後の従兄弟達って所で少し由香ちゃんの元気が無くなる。


「あのね浩君、こんな直前で言うのもおかしいと思うけど、私の姉妹達が変な事言っても気にしないでね」


 何か確執があるのかな、由香ちゃんの様子が...


「わかったよ、由香さん!」


 ニッコリ笑顔で元気づける。


「あゥ、ありがとう」


 何故か恥ずかしそうな由香ちゃん。

 少し元気になった様だ。

 やがて目的の会場があると思われる部屋のドアを開けた。


「由香、何処に行ったのかと思ったよ。

 この子かな?学校のお友達は」


「ええ、パパ紹介するね、私のクラスメートの山添浩二君よ」


「初めまして、山添浩二です。

 今日は由香さんの誕生会に呼んで頂き、ありがとうございます」


 さすがに大人達の注目を受ける中での挨拶は緊張する。

 何とか噛まずに挨拶を終える事が出来た。


「ははは、丁寧な自己紹介ありがとう。

 由香から浩二君の事は聞いてるよ。

 私は由香の父、橋本隆二だよ。

 横にいるのは由香の母芳香で、その横にいるのが由香の姉の梨香だ」


 由香ちゃんの父親はお髭のダンディなナイスミドルと予想していたが、見事に外れた。

 丸顔で気さくそうな紳士だった。


 由香ちゃんのお父さんが家族の自己紹介をしてくれて助かる。

 それにしても由香ちゃんお母さんは背も高く、とても綺麗で、若々しく2人の子供が居る母親に見えない。


 全体的に由香ちゃんはお母さん似。

 お姉さんもどちらかといえばお母さん似だ、でも2人の優しい目許はお父さん似か。


 そんな事を考える俺に、初老の夫婦がやって来た。


「よく来てくれた。

 由香の祖父、橋本喜兵衛じゃ!

 そしてこれが喜兵衛の嫁、静枝じゃ!」


 いきなりのテンション。

 きっと定番の掴みの挨拶なんだろう。

 そんな笑顔と裏腹に喜兵衛さんの目は笑っていない。

 前世で見た歴戦の経営者、いやそれ以上の風格を感じさせた。

 困った時は笑顔と言われた兄貴の言葉を思い出す。


「ご丁寧なご紹介ありがとうございます!」


 ニッコリ笑顔で返した。


「うーん、こりゃ、なんと、なんと」


「あら、まぁ、まぁ」


 何故か喜兵衛さん達は目を見開いて固まってしまった。

 更に2人共顔に赤みがさした。


「ね、凄いでしょ。浩君の笑顔!」


 由香ちゃんが興奮して喜兵衛さん達とお話を始めた。


「ちょっと良いかしら?」


 肩を優しく叩かれて振り返ると由香ちゃんのお姉さんの梨香さんがいた。 


「はい、良いですよ」


 しっかり返事。


「由香の事色々見てくれてるみたいね、ありがとう。

 由香は引っ込み思案で、幼稚園の時にからかわれて泣いてばかりだったの。

 私は由香と4才離れてるから幼稚園の事には手が出せなくて。

 だから由香の小学校は附属小学校じゃなくて地元の小学校にしたんだけど、私も知らない小学校に由香一人きりだから凄く不安だった。

 でも由香は入学式の日とても嬉しそうに帰って来たの。

『友達ができたー!』って、それってあなたの事よね。

 他にも良い友達が次々出来たみたいで由香はすっかり元気になったわ。

 本当にありがとう」


 深々とお辞儀をされてびっくりする。


「そんな止めて下さい。

 僕の方が頭が良くって、優しく人気者の由香さんの友達になれて感謝してるんですから」


「ありがとう。

 浩二君って由香の言った通りの子ね。

 そうそう従姉妹達が来るって聞いてたでしょ?

 2人とも幼稚園で由香をいつもからかってたの。

 いつもあの子達由香の誕生会に来ないのに、何か企んでなきゃ良いけど。

 何を言われても気にしないでね」


「梨香さん分かりました。

 ありがとうございます」


 梨香さんにも笑顔でお礼を言った。


「あ...あ、あ、どういたしまして。

 聞いてた通りのスマイルフラッシュね」


 梨香さんはおでこに手を当てて両親の座ってる方に行った。


 さて、そろそろ俺もテーブルに着こうかな、そう思っていた時、入り口のドアが勢い良く開いた。


「お祖父様、お祖母様お待たせいたしました。

 叔父様達もお久しぶりです。

 由香、誕生日おめでとう」


「ありがとうございます。志穂様、美穂様」


「なにか雰囲気が少し変わったみたいね。

 まあどうでも良いわ。

 で、あなたが山添浩二君ね」


「は、はい山添浩二です」


 いきなり入って来た2人の女の子に自分の名前を言われた。

 驚くべきは2人の容姿。

 背丈こそ由香ちゃんと変わらないが、綺麗に編み込まれた長い髪、気品を漂わせるお嬢さま言葉、お顔も由香ちゃんと代わらぬ位に可愛い...それが2人並んでる。


 従姉妹達って聞いてだけど双子だったのか、一卵性かな?

 本当にそっくりだ。


「あの志穂様、何故浩二君の上の名前を知ってらっしゃるのですか?

 今日私のクラスメートの浩二君がが来るとしか言ってなかったと思いますが...」


 志穂さん達は由香ちゃんの質問に答えず俺の顔をじろじろ見る。


「なるほど兄弟だけに良く似てらっしゃいますわ」


「そうね、でも有様の方が私好みです」


 何か地味に否定されてるな。


「あの兄のお知り合いでしょうか?」


 こちらも話し方が丁寧になりましたわ。


「あら、自己紹介がまだでしたわね。

 橋本志穂、皇蘭学園2年生よ宜しくね」


「同じく橋本美穂、皇蘭学園2年生、宜しく」


 一つ上でしたか。

 皇蘭学園って県内一のお嬢様学園じゃないですか?

 何でそんな方々が兄貴の知り合いなの?


「どこで兄と知り合われたのでしょう?」


「あら失礼、小杉塾ご存知よね?」


「ええ、兄が行ってる塾です」


「私達も同じ塾ですの」


「そうなんですか。知りませんでした」


「いいえ気になさらず。

 有様は4年生クラス、私達は3年生クラス。

 私達の間には大きな川が流れているのよ!」


「お姉様!!」


 面白いな、この2人。


「でも小杉塾って小さな塾なのに一緒だなんて偶然ですね」


「何を言ってるの?

 小杉塾は少数精鋭、生半可なおつむじゃ入塾すらかなわないのよ」


「そうそう、毎年有名中学に合格実績を上げてるのよ。

 ご存知なくって?」


 そうだったのか。

 前回の時間軸で俺も入塾のテストはパスしてたから俺も結構出来た頭だったのか、知らなかった。


「でも有様は4年クラス、私達とは違うクラス。

 一緒に勉強出来るのは自習の時だけ...」


「そうよ!あの女は同じクラスにいて、いつも有様の隣に座って、なによあの女!」


 たぶんあの女って坂倉さんだな。


「失礼、少し取り乱しました。

 有様から浩二君の事を聞いておりましたの。

 今日浩二君が来ると由香から聞いて、もしかと思い、参上したのです」


「そうでしたか、兄がお世話になり、ありがとうございます。

 今後とも兄を宜しくお願いします」


 俺はニッコリ笑って頭を下げる。


「あぅ!こ、こ..こちらこそ宜しくですわ」


「そ、そ、そ、そうですね、宜しくですわ」


 後退りながら2人は俺から離れた。



「何あのエンジェルスマイル」


「信じられませんわ 後光が射してましたわ」


 二人とも小さな声で呟き、真っ赤な顔をしてよろめきながらテーブルに着いた。


 その後和やかに誕生会は始まり、楽しい時間を過ごしたのでした。


 由香ちゃんは、みんなから豪華なプレゼントを沢山もらっていたが、俺のプレゼントも凄く喜んでくれてホッとした。


 しかし兄貴のモテぶりは俺の想像を越えてるな。

 兄貴のハイスペックに今さらながら驚くのだった。



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