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由香の決意。

由香サイド

あの日以来3日間浩二君は学校を休んでいる。

私は浩二君に大変な事を言ってしまった。


「由香、浩二は今日も来てないの?」


いつもの学食で過ごす昼休み。

和歌ちゃんも浩二君が休んでる事が気になってるみたい。


川口君は私に浩二君が休んでいる理由を聞いて来ない。

ただ浩二君がいつも座っていた椅子を見てる。

青木君や瑠璃ちゃん祐ちゃんも私を不安そうに見ている。


「浩二君の家には行ってないの?」


瑠璃ちゃんが聞いた。


「うん」


(行ってないんじゃなくて行けないんだ。)

私は心の中で呟く。

あんなに酷く動揺した浩二君を見るのは初めてだった。

ひょっとしたら浩二君の中で何かが弾けたのかも知れない。

そう考えると怖かった。


「電話はしたんだろ?」


今度は青木君が私に聞いた。


「ううん」


私は静かに頭を振るとみんなの空気が凍った。


「なあ橋本。」


「何?」


「何があったかは分からないけどお前はそれでいいのか?」


「え?」


「浩二を支えてやれるのは...あいつを愛しているお前だけだろ?」


川口君の言葉に私は何と言っていいのか分からない。

浩二君の秘密を話す訳にはいかない。

でもみんな心配してくれている。

このままではいけない。

私は勇気を振り絞り浩二君に会いに行く事を決めた。


そして1日が終わり私は帰る支度をした。

青木君や瑠璃ちゃんは先に帰ってもらい私はひとり鞄に荷物を詰めて教室を出る。


「由香ちゃん...」


廊下にいた祐ちゃんが私に話しかけてきた。


「ごめん。僕のせいでこんな事になっちゃって」


祐ちゃんが私に頭を下げる。

酷い顔色だ、きっと私も同じような顔色をしているんだろう。


「違うよ、祐ちゃんのせいじゃない」


「じゃあ何で浩二君は?」


「それは言えないよ...」


「由香ちゃん内緒は止めよう、僕も一緒に聞いたじゃないか」


祐ちゃんの言ってる事が分からない。


「聞いたって?」


「小学校6年の合宿の時に浩二君の秘密を...」


そうだったあの時に私は初めて浩二君の秘密を聞いたんだ。あの時に祐ちゃんも一緒にいたんだっけ。


「りっちゃん...伊藤律子って未来の浩二君のお嫁さんだったんでしょ?」


祐ちゃんの言葉に私は何も言えない。


「だから浩二君はショックで学校に来れなくなったんだよね?」


祐ちゃんは知っていたんだ。

私は意を決して祐ちゃんに話す事にした。


「そうだよ」


「やっぱり...」


「でも少し違うんだ」


「え?」


「浩二君は今回の人生は律子さんと結ばれる事はもうないんだ。ずっと前に浩二君は私と一緒に人生を歩む事を決めてくれたんだよ」


「由香ちゃん...」


祐ちゃんは涙を流して私を見ていた。

私の目からも涙が溢れている。


「だから今回の事で祐ちゃんが責任を感じなくていいんだよ。

これは私と浩二君の問題なんだ」


私は祐ちゃんに言いながら自分にも言い聞かせた。

(これは私の問題なんだ、逃げちゃダメなんだ!)


「分かった。浩二君の事は由香ちゃんに任せるよ。

お願い浩二君を助けてあげて」


祐ちゃんは私の手を握って頭を下げた。


「もちろんだよ絶対に助けてみせる!」


そう言って祐ちゃんと別れた。

電車に乗って改めて決意する。


(私は絶対に浩二君と一緒にいる!離れてなるものか!)

そう何度も心の中で繰り返し浩二君の家に向かった。



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