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みんなの習い事事情

 あっという間に夏休み。

 兄貴は朝から塾に行った。

 2年生になると近所の学習塾に通い始めたのだ。


 この塾は近所に住む大学教授のじいさんが大学を辞めた後、始めた小さな塾だった。

 入塾の際、子供の実力を見るテストがある。

 兄貴もテストを受けた訳だが、国語算数理科社会、4教科全て95点以上の高得点を出した。


 塾のじいさん驚いて兄貴を2年生クラスじゃなく4年生クラスに入れた。

 最初は戸惑ってた兄貴だか、みるみる成績を上げて今は4年生クラスでも上位に食い込んでるそうだ。


 俺も『浩二も同じ塾に入ってみる?』と母親に聞かれたが、『他の習い物がしたいから』と断った。


 ここの塾は前回の時間軸で通った事がある。

 入塾テストで兄貴のような点数が出せる訳も無く、普通の1年生クラスに通い始めた俺だった。

 しかし塾長じいさんの、

『お兄さんとはレベルに差がありますかな?』みたいな事を言われて嫌になり、すぐ辞めちゃったのが前回の話。

 ちなみにそろばん教室も前回は通ったが、上記と似たような理由で今回はパスさせてもらった。


 兄貴の友人達は、

 薬師兄ちゃんは家庭教師がついた。 

 薬師兄ちゃんには6歳上の姉さんがいて、今年高校受験なんだって。


 それで家庭教師を付ける話になったんだけど、『ついでにお前にも先生をつけてやる』ってなったそうな。

『嫌だー、そんな事で勉強なんて誰がするもんか!』そう言ってた薬師兄ちゃんだけど、来たのが大学生のお姉さんだとわかるとコロっと態度が変わって勉強に力をいれて成績が凄い勢いで伸びてるらしい。


 手のひら返しが凄い。


(扇本)富三兄ちゃんは別に習い事もせず、一人の時は図書館で本を読んでる。 

 騒ぐ時は騒いで、本を読む時は集中。

 勉強も同じだよって。

 学年では兄貴の次の成績だからこれも凄い。


 次に兄貴の周りの女の子達だ。

 一緒の塾に通うと言っていたのは坂倉さん。

 同じように入塾のテストを受けた結果は平均90点。

 1つ飛び級で3年生クラスに決まった。


 かなりショックを受けた坂倉さん。

 そろばん教室をあっさり辞めて勉強に集中し始めた。


『有に並び、有を越えるためには一つの事は諦める。しかたない』


 そう呟きながら、そろばん教室を去る姿は少し怖かったと美樹姉さんの言葉。

 そうして2ヶ月後の塾の実力テスト、3年生クラスの坂倉さん見事総合1位。

 晴れて兄貴と同じ4年生クラスになりましたとさ。


 順子ねぇちゃんも最初兄貴と同じ塾を行こうしたのだが、入塾のテストがあり兄貴は4年生クラスと聞くと、


『同じクラスじゃなければ意味無いし』


 入塾を諦めてしまった。


 そんな順子ねぇちゃんが通い始めたのは水泳教室。

 10級から始まり、2ヶ月に1度昇級試験がある。

 そこで順子ねぇちゃんは今までに3回あった試験に3回連続でパスしている。


『なんで水泳なの?』って聞いてみたら、


『私水泳苦手なんだ、体も鍛えられるし、それに水泳選手ってみんなスタイル良くっって綺麗でしょ。私もそうなったら有君もきっと.へへへ』


 うん最後の方は聞こえませんでした。

 何にも聞こえませんです。


 優子ねぇちゃんは2年生になると同時に剣道教室に通い始めた。


 花谷さんの道場が営む教室だ。

 花谷さんが言うには、

『中々筋が良い、このまま上達すれば名の知れた剣士に彼女はなれるかもよ』と評価は高い。


『なんで剣道なの?』って聞いてみたら。


『悩んでる時発散する何かが欲しくて探したら、たどり着いたって感じかな?

 早素振りとか練習は苦しくて大変だけど、自分の実力が上がって行くの分かるのよ。

 それに面を外した時に見る先輩達の汗に輝く凛とした顔、あんな顔を私も出来るようになった時には私も、素直に有君に....』


 あれ?優子ねぇちゃん固まっちゃった。


 杏子ねぇちゃんは、

 杏子ねぇちゃんの家の裏にあるピアノ教室に行き始めた。

 わりと真面目に練習して、凄く上手くなってるそうだ。


『なんでピアノ教室なの?』って聞いてみたら、


『うん母さんが、裏の家の娘さんが自宅を改装してピアノ教室始めたけど生徒がまだ一人も集まんないから生徒第1号になってくれたら月謝半分に負けるから、って頼まれらしいのよ。

 で初めてみたら意外と楽しいのよ、練習の後先生の出してくれるお菓子も美味しいし...』


 安定の杏子ねぇちゃんだ。

 でも杏子ねぇちゃんが教わってるピアノ教室、杏子ねぇちゃんの上達が評判で今教室の予約が一杯らしい。


 俺はまだ習い事はいいや。3年生以降だな。


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