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入学式!

 春、桜舞う4月

 ついに来ました小学校の入学の日。


 俺は真新しい小学校の制服に袖を通す。

 新しく初まる小学校生活に期待と不安で胸を膨らましながら。

 って、俺からすれば2回目の入学式なんだよね。

 当然家族は分からないから緊張して大人しくしてると見えてるみたい。


 前回の小学校入学式は少しだけど覚えてる。

 勿論全部じゃないよ、印象的な事だけ。


 朝から家族はとても盛り上がってた。


 爺ちゃん、婆ちゃんは嬉しそうに制服姿の俺の写真を撮りまくり。

 和装に身を包んだ母親は俺の制服とランドセル姿に涙まで浮かべてた。

 父親は余り記憶ないスーツ姿だ。

 でっかいネクタイの結び目に時代を感じる。


 兄貴は新2年生。

 6年生までの在校生はまだ春休み。

[一部生徒会の6年生だけは入学式のをお手伝いするため入学式当日は登校日]と兄貴が持って帰って来た学校通信のプリントに書いてあった。


「浩、制服姿似合ってるね」


 兄貴がいつの間にか笑顔で俺の後ろに立っていた。


「ありがとう兄ちゃん」


 いつもの兄貴の笑顔に心からほっとする。

 兄貴がいつもの部屋着じゃなくお出かけする時の服装である事に気付く。


「僕も学校の前まで一緒に行くよ」


「え、何か外に用事あるの?」


「そうじゃないよ。

 写真を学校の正門前で撮るけど撮影している本人は写らないでしょ、だから父さんと母さんそして浩二の3人並んだ写真を僕が撮ろうと思って」


 なんと良く出来た兄貴だ。


「じゃあ兄ちゃんも僕と並んで写真撮って貰おうよ」


「喜んで!」


 兄貴は笑って答えてくれた。


 小学校は家からとても近く、1年生の足でも歩いて5分程の距離しかない。

 兄貴と話しをしていると、すぐに小学校に到着した。


 校門には墨痕鮮やかに

[昭和51年度岸里小学校入学式]

 と書いた立て看板がある。

 ここで兄貴の撮影で俺は両親と並んで写真を撮り、俺と兄貴の2人でも写真を撮って貰った。


「それじゃ僕は帰るね。浩、余り緊張し過ぎないでね」


「ありがとう兄ちゃん」


 笑顔で兄貴は帰って行った。


 学校に入ると両親は講堂に案内されて子供達は校庭に案内される。

 小学校の校庭の壁にはクラス別に各生徒の名前が書いてある。

 俺のクラスは...うん、前回の時と同じ1組か。


 じゃあ担任も...


「ハイ皆集まって下さいね!

 1年1組は此処よ!早く集まって!」


 そこには前回と同じカチカチの化粧で顔を白塗り固めた赤木先生がいた。


 子供達は興奮して先生の言う事なんか殆どの子が聞いてない。

 他のクラスに離れ離れてしまった子は話し込んで戻って来ないし、校庭脇に並べてるボールでサッカー始める奴までいる。

 さながら動物園の猿山みたいだ。


「みんな並んで!

 そうね、同じ保育園同じ幼稚園の子たちで集まってから並んで!」


 相変わらず大きな声だ。

 この声苦手だったな、そんな事を考えていると


「そこの2人!並んでって言ったよね?

 どうして並ばないの!」


 いきなり赤木先生の怒声が響いた。

 既に青筋が化粧越しに浮かんでいる。


「すみません、僕の保育園から来たのは僕一人です」


「わ、私も...一人です」


 同じくぼっちだった女の子も小声で返す。


「それなら先生の前に直ぐ並びなさいって言ったでしょ!!

 なんで先生の言う事が聞けないの!!」


 言ってないぞ、それよりなんでそんなに怒る?こっちは1年生、6歳だぞ。

 中身は先生と変わらん年齢だと思うが。

 これ以上絡んではいかんと思った俺は立ち尽くす女の子の袖を軽く取り先生の前に立った。


「ごめんなさい先生、緊張して良く聞こえませんでした」


 俺は頭を下げて不安気な顔で先生を見た。


「そ、そう。

 これからは先生の言う事をちゃんと聞いてね。

 他のみんなもよ!」


 いつの間にか俺達の後ろには1年1組が整列してた。

 先程の先生の剣幕にびびって言う事を聞いたんだろう。

 俺の隣でさっきの女の子がまだ少し怯えながら

 先生に聞こえないように耳元で、


「一人で並べなんて言って無いよね、同じ保育園の子達で集まってから並べって言ってたよね」


 恐々と小さな声で話す女の子。

 きっと不安で仕方無いのだろう。

 俺も小声で、


「そうだね、それに一人ぼっちは並べないよね」


 そう笑顔で返すと女の子はやっと笑顔を浮かべてくれた。


 その後クラス毎に集まった俺達新1年生は整列して講堂に入場して着席して、入学式は始まり、つつが無く終わった。


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