ある夏休み 浩二と由香編。
いよいよ終わりに迫った夏休み、
今日は浩二と由香の1日を見てみよう。
「おはよう浩二君」
「おはよう由香」
「さ、上がって」
今日は映画に行く予定だったが、
由香が行く前に2人だけで聞きたい事があると言うことなので家にお邪魔する事になった。
「あら浩二君?」
由香の部屋に向かう途中で久し振りの人にあう。
由香のお姉さんで、梨香さん。
姉妹だけあってよく似てる。
(由香も大きくなるとこう成長するのかな?)
そんな事を考えていた。
「梨香さんお久し振りです」
「本当、浩二君また大きくなったね」
梨香さんは俺の体をペチペチ叩く。
「いえいえ、梨香さんこそ」
「ちょっと浩二君どういう意味かな?」
8月にもかかわらず由香の底冷えのする声がした。
「いや子供の成長は早いなーって」
「私あなた達より4つ上なんだけど」
そう言いながら梨香さんは更に俺の身体中を触りまくる。
「ちょっと姉さん、浩二君に気安く触らないで」
由香は梨香さんの腕を掴んで怒った。
「少しくらいいいじゃない。
私幼稚園から高校3年の今までずっと女子校よ?
お父さん以外の男の人なんか見るだけなんだから」
「それが姉さんの選択した道でしょ?
それに来年から皇蘭大学よね」
「うっ!」
由香の言葉に梨香さんは胸を押さえながら後ずさる。
「皇蘭大学って?」
皇蘭高校までは知ってる。県内一のお嬢様学校だ。
しかし皇蘭大学は聞いた事の無い大学。
前回の進路を考えた時に調べなかったのかな?
「姉さんの行く予定の女子大よ」
そりゃ知らないはずだ。
「姉さんもあっちに行って!」
由香は梨香さんを階段の方に押していく。
「あ、もう少しだけ....」
「ダメ!」
梨香さんは名残惜しそうに下に消えていった。俺達は由香の部屋に入る。
「浩二君そこに座りなさい」
由香の命令で俺はクッションの上に胡座をかいて座った。
「正座!」
「はい!」
素早くクッションを除けて床に正座をする。
由香も俺の前にクッションを置いて正座をした。
すると目線が調度俺と同じ高さだ。
「浩二君」
「はい」
「やっぱり気になるの?」
「何が?」
「...胸に」
由香は自分の体にコンプレックスを持ってるから怒ったのか。
さすがに鈍感な俺でも分かる。
「昔言ったと思うが僕は胸の大きい小さいにはこだわらない」
はっきり言い切る。
これは本当の事だ。さあ由香、どこからでも俺を見るがいい!
由香はじっと俺の顔を見る。
やがて納得した様でほっとした顔をした。
「そうだよね、浩二君は嘘はつかないもんね」
「うん」
「でも浩二君は女の子のどこが好きなの?」
「え?」
終わったと思ったらまだ続きがあった!
「浩二君の好きなのは肩までかかるサラサラ髪のヘアースタイルかな?」
「あの由香さん?」
「浩二君は全て『イイエ』と答えながら私の顔を見てなさい」
「はい」
「ハイじゃない。イイエと答えて」
「はいじゃないイイエ」
ややこしいな。
「浩二君の好きなのは少し下がった眉にぱっちりした目かな?」
それって由香の目じゃないか。
(俺、由香の目と眉も好きなんだ)
心の中そう思いながらじっと由香の顔を見る。
「イイエ」
ふっと由香は笑う。
どうやら由香に通じたらしい。これで終わるかな?
「少し小さなお鼻にプクっとした唇かな?」
「え?まだ続くの?」
「もちろん!」
どうやら今日は俺が由香の好きな体の部分をはっきりさせたいみたいだ。
更に腕、手首、指と細かい部分の指定が続く。
「浩二君が好きなのは少しぷにぷになお腹かな?」
由香が顔を真っ赤にしながら聞くので、俺もつられて真っ赤にになる。
確かに俺は女性の引き締まったお腹より、女性らしい丸みを帯びたお腹の方が良いとは言ったがそれが大好きと言う意味では無い。
ましてやプヨプヨの3段腹まで行くとちょっと怖い。
「イイエ」
由香は少し首を傾げる。
どうやらお腹もクリアしたみたいだ。
しかし問題は次なんだよな。
「浩二君が好きなのは少し大きめのお尻かな?」
由香はまた顔を真っ赤にして聞く。
さっきと同じように俺は答えた。
「イイエ」
じっと俺の顔を見る由香。
もう一度聞いて来る。
「浩二君の好きなのは私のお尻?」
(とうとう由香も私って言っちゃった!)
俺は口をモゴモゴさせる。
しばらく沈黙が続き、やがて由香が呟いた。
「そっか浩二君はお尻好きか」
止めてお尻好きなんて言わないで!
「あの由香さん?」
「何?」
「僕が好きなのは由香のお尻で、誰彼のお尻というわけではありませんので」
俺は覚悟を決めてお尻が好きな事を認める。
「知ってるよ。浩二君が道行く女の人のお尻ばっかり見てたら私だって気づくもん」
そりゃそうだ、どうやら由香の尋問も終わりかな。
「ひょっとして私の太股も好き?」
由香の不意討ち質問が来た。
「ハイ、じゃないイイエ!」
「太股も好きなんだ」
「...もうどうにでもしてください」
俺は正座のまま由香に頭を下げた。
こうして俺は由香に好きな女性の部位を全て知られてしまった。
由香にひかれるかなと思ったら意外な事に機嫌は良かった。
「それじゃ映画に行こっか!」
由香は元気に立ち上がる。
俺も立ち上がるが長い時間床に直接正座をしていたので、足が痺れて思わず由香の腰からお尻にしがみついてしまった。
「きゃ!」
「ご、ごめん!」
由香には怒られなかったが
由香は俺の手の感触が残って。
俺は手に由香の腰からお尻の感触が残って。
その日1日顔が真っ赤のままだった。
そうして夏休みが終わった。