表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/229

水疱瘡の思い出

年が変わり1976年の1月のある日、俺は身体のだるさを感じた。


最初は『風邪でも引いたかな?』

位に感じていたのだが、なかなか熱が下がらない。


肌着を替える時に背中から脇にかけて赤いブツブツが出来ていた。


『こりゃきっと水疱瘡だぞ』 


父さんが一目みて母に言った。

それから直ぐ掛かり付けの病院に連絡して父さんの車に乗って行った。

伝染病だから、いつもの受付からでなく裏口から診察室に入った事がとても印象に残った。


注射をされて何やら薬を処方されて帰宅。

兄貴は3歳の時既に水疱瘡にかかっていたのだが、念のため為俺1人リビングに蒲団を敷いて寝かされた。


母親が仕事を夜に回して俺に寄り沿って看病してくれた。

兄貴や爺ちゃんと婆ちゃんも心配して1日に何度も顔を出して励ましてくれ、ありがたかった。(たまに父さんも顔を出してくれた)


病院に行ったその夜から身体だけでなく、首かから顔中にまで水疱が拡がって来たのだが、

これが痒い!全身の痒みで頭がおかしくなりそうだ。


「そうだ!」


俺は思い出した。

前回の時間軸の水疱瘡の時、痒みに耐えかねた俺は母親の目を盗み鼻やおでこを掻きむしってしまい、俺の顔には一生消えない痕が幾つか残ってしまったのだ。


今回はそんな馬鹿な事はしない!!

俺は母親に頼み手を布でぐるぐるに巻いて貰い腕も体に紐で巻きつけてもらった。


『そこまでするの?』


と母親は驚いていたが、


『頼むから』


と必死でお願いして了解してもらった。


トイレが非常に恥ずかしかったが、一生残る痕は本当に勘弁だ。

思い返せば小さい時、我ながらなかなか可愛い顔をしていた。

(兄貴にはかなわなかったが)

しかしこの痘痕で俺は顔に全くの自身を無くしてしまい、笑顔を見せるのが減ってしまった。



...俺は耐えた。


2日経ち、4日経ち、水疱が乾いても一切触らず、1週間以上経って全てのカサブタが自然に落ちるまで耐えきった。


『やっと終わった!』


これからも顔を上げて生きて行ける。

鏡の前でアバタの痕一つない顔を見て俺は高笑いするのだった。

家族からは、

(熱と痒みの辛さから性格が少し変わったのかも?)と心配された。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ