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第1章[表]・クラス発表



まだ日も出ていなくて薄暗い時刻

1人で街の中をランニングしている勇斗

そんな勇斗はいつもの日課というだけではなく楽しみのあまりによく寝付けなかったために普段の倍の量を走っていたりする

もちろん毎日トレーニングとしてある程度走ってはいるのだが今日は特別距離が長いだけだ

理由としては単純にこれからの事を想像することでドキがムネムネしていてもたってもいられなかったという子供っぽいもの

そんな勇斗の毎朝のトレーニング内容はランニングからはじまり腕立て・腹筋といった基礎的な筋肉トレーニング、そして八坂流のほぼ全ての型の基礎なる動きの練習である

こんな感じのトレーニングを勇斗は小学生の頃から無理なく続けてきている

いや思い返せばもはや大分無理してた気もしなくもない

ちなみに合格発表の当日のこんな感じで朝早くからトレーニングにいそしみ、そのまま学校へと向かっていたりもする

その際着替えて身嗜みを整えてなかったことで優奈や夏菜から説教されてたりされてなかったり


(クラス発表、楽しみだけど緊張するなぁ)

そんな勇斗が走りながら考えていることはずっと今日発表されるクラス分けについて

昨日のアグニスからの話を聞いてだいぶ安心したはずなのだが結局気になって気になって仕方ないのだ


そうしてトレーニングを続けているうちに待ち合わせの時間まで丁度良い頃合いとなったために勇斗は帰宅して準備を整える

勇斗の自宅は八坂流を教えている道場

そのためかは知らないが勇斗含め家族全員が朝早く起きている


「おかえり勇斗、そこに朝ごはん出来てるからさっさと食べちゃいなさい」

帰宅した勇斗にそう声をかける勇斗の母親

ちなみに名前は八坂華蓮やさかかれん、勇斗の母親にして現在の八坂流の当主だ

ぶっちゃけ現時点では勇斗よりも遥かに強い

そのためか勇斗は今の今まで思春期や反抗期であろうとも華蓮に逆らうような行動をとったことはほとんどなく、それは小さい頃から圧倒的な力を見せつけられていたからだと思われる

今となっては本能的に逆らえない存在ということである

もっともそれはこれからの勇斗の頑張り次第で覆りうることでもあろうがそもそも勇斗が華蓮に逆らうようなことはないだろう


そんな母親に促され朝食をとるためにダイニングに向かうとそこには既に勇斗の妹・佳奈かなが座っており、どうやら既に朝食を食べ終えた様子だ

ちなみに佳奈は現在中学3年であり家の近くの中学に通っている

もちろん志望している高校は日蓮魔法戦闘高校

佳奈も勇斗と同じように小さいころから八坂流を学んでおりそれなりに腕が立つ

それに学力の方も勇斗と同じくらいには優れているのであとは魔精力のランクが平均より高いか低いか次第で志望校に受かることが出来ると思われる


「おはよう兄さん。朝だいぶ早くから外に出てたみたいだけど眠れなかったの?」


「おはよう佳奈。今日のクラス発表が待ち遠しくて眠れなかったんだ」


「兄さんはほんとイベント事があるたびに当日の朝早くからそわそわしているわね。そんなんじゃ免許皆伝の為の試練は乗り越えられないわよ?」


「うっ…それを言われると辛いところだね。まぁこれからなんとかなるよ、多分。なんせあの日蓮魔法戦闘高校に通えるんだから!」


「はぁ〜、本当にそんなんでちゃんとやれるのかしら。私も来年その学校に入るつもりなんだからちゃんとしてよね、兄さん」


「うん!任せておいて。しっかりやっていくつもりさ」

そんな風に兄弟で何気ない会話を交わす2人

この2人は普通に兄妹仲は良いほうだろう

勇斗の方はいい兄であろうとしているところがあるし、佳奈の方もそんな兄のことを尊敬してたりする

ちなみにどちらかといえば佳奈の方がしっかり者だったりする


その後朝食を食べ終わったあと軽く汗を流してから制服に着替えて支度をする勇斗だが時間が近づくにつれ緊張が増していく

するとそんな勇斗の右手が紅く光ったかと思えば昨日聞いたばかりの声が聞こえてくる


『緊張し過ぎだろ小僧。昨日も言ったが小僧の精神状態の上下は俺様にも伝わってきているんだ。だからなるべく平静を保て、鬱陶しい。それに昨日言った通りこの俺様と契約出来たんだ、その時点で現時点ではお前は他の奴らより1歩リードしてるさ。いや1歩どころじゃないだろうな』

不機嫌そうにそれだけ言うと光を消して反応しなくなるアグニス

そう言えば昨日も同じように最初怒られたなぁと思いながらアグニスの言葉を思い出す勇斗

だからといって胸の高鳴りは収まらないのだけど


「よしっ!行くか」

優奈との待ち合わせの時間になったので立ち上がり家を出る勇斗

結局アグニスから怒られたにも関わらず、学校に着くまでの間もずっと緊張したままで過ごす勇斗であった










そして少し時は経ち午前7時になるわずか5分前

ここ、日蓮魔法戦闘高等学校にある掲示板の前にはクラス発表がなされるのを待機している新入生達が少なからず集まっていた

もちろんその中には勇斗達の姿もある


「やっぱりみんな気になるんだね。見た感じもう新入生の7割ぐらいは集まってるんじゃないの?」


「それぐらいはいるかもね。それにやっぱり気になるよ、僕だってそうだし。といっても1番上のクラスになってる自身もあるけどね」


「わたしだって1番上…のクラスだったらいいなぁ。ゆうちゃんと優奈ちゃんと離れたくないよ〜」

勇斗達3人がいるのは掲示板から少し離れたところ

本当ならもっと近くにいないと掲示板に掲載されるものなんて見えやしない位置なのだろうが、勇斗達がここに来たときには既に掲示板の周りに人だかりが出来ていたから仕方ない

どうせ発表してからしばらくは混雑すると思っているので特に気にしてない勇斗達


そしてその5分後

ついに時間となる


「そこの生徒達、一旦掲示板から離れて」

そう言いながら現れた教職員の大人

その手には大きめのロール紙が抱えられている

今の時代珍しい紙媒体での発表だろう

まぁこっちの方がなんか好きなので勇斗は特に思うところがあるわけではないが

そして教職員がロール紙を捲りながら掲示板へと貼り付けていく

まず見えてきた文字はFクラスの文字

どうやら下のクラスから分かっていくようだ

そしてF、Eと順々にクラスとその人名が張り出されていくと共に掲示板の周りからは人が減っていく

幸いなことにまだ勇斗達3人の名前は出ていない

そしてDクラス、Cクラスと発表が進むにつれさらに減っていく人々

次はついにBクラス

これまでに勇斗達の名前は3人ともない、よってこのBクラスに名前がなければ必然的に3人ともがAクラスであるというわけだ

Bクラスの所属名が徐々に捲られていく

1列、また1列と


(お願い!まだ名前が出ないで!)

そう願う勇斗

優奈と夏菜も同じように勇斗の隣で祈っている

そして運命のBクラスの最終列である5列目

ここまでにまだ勇斗達の名前は出されていない

つまりこの列になければAクラスなのだ

既に周りにはほとんど人はいない


そんなAクラスとBクラスの境目の列

そこに勇斗達の名前は………誰一人として無かった


(…無い、ということは!?)

そう期待しながら捲られていく紙を見ていると遂に勇斗達3人の名前が出てくる

もちろんAクラスだ


「やったわね勇斗、夏菜。私達3人ともAクラスよ!」


「2人と同じクラスでよかったぁ」

そう言い喜んで抱き合う2人

普段からは想像出来ないような後継であるが、入試の合格発表の時にも同じようなことをしていたりする

そんな抱き合って喜ぶ2人に混ざることが出来ない勇斗であるが、笑みを浮かべて2人に告げる


「これでまた3人同じクラスだね。一応この学校は進級時にクラス分けがあるらしいけど3年間同じクラスでいられるように頑張ろうっ!」

そんなことを笑顔で言う勇斗を見て顔を赤らめる2人

バッと勇斗から同時に顔を背けると勇斗に聞こえないように会話を行う


「今の見た?もうほんと勇斗はずるいんだから」


「そうだね〜。あんな笑顔見せられたら誰だってドキってしちゃうよね」


「つまり、またここでもあの天然女たらしは続いていくわけなのだけれど…分かってるわよね?」


「もちろん。なるべくフラグを立てることがないように2人でゆうちゃんの近くにいるんだよね」


「そうよ。丁度都合よく同じクラスになれたんだもの、そっちにも気合い入れていくわよ」


「おけまるだよ!」

2人がそんな内容のことを話しているなんて一切知らずに2人の内緒話を見て仲良しだなぁとしか思っていない勇斗

そんな勇斗は内心で安心しまくっていたりする

すると勇斗に話しかけてくる人物が現れる


「おはようございます勇斗さん。やはりわたくしの予想通りに同じクラスになりましたわね」

そう言いながら近づいてくるのは勇斗が昨日唯一挨拶を交わした海鳴院明日香


「おはよう海鳴院さん。ほんとだね、海鳴院さんが昨日言ってたとおりになったよ」

突然声をかけられたことに少し驚きつつもそう海鳴院に返す勇斗

ちなみに勇斗に新しい影が近づいているにも関わらずに気づかず優奈と夏菜はまだ百合百合している


「わたくしのことは明日香で構いませんわ。それで勇斗さん、そこのお2人の女性の方はお知り合いですか?」


「うん、2人とも中学の時からの友達なんだ。それに同じAクラスでもあるよ」


「まぁ!それならばまず挨拶させていただきたいものですね。わたくしから声をかけてみてもよろしいでしょうか?勇斗さん」


「大丈夫だと思うよ。あっ、でも僕が2人を呼んだ方がはやいから僕が呼ぶね」

そう言うと優奈と夏菜を呼ぶ勇斗

勇斗に声をかけられたことで百合空間を消しこちらに意識を向けた2人が見たのは勇斗の横でにこにこと笑顔を浮かべている女生徒

その時の2人の心の声は偶然にも一致した


((もう手遅れだった!?))

一方、2人がそんなことを考えていることなんていざ知らず、勇斗は明日香の紹介を普通にはじめる


「2人共、こっちの人は海鳴院明日香さん。クラス分けのテストのときのグループが一緒だったから知り合ったんだ。ちなみに僕らのグループで唯一5分間模擬戦を戦いぬいた人だよ」

そう勇斗に言われて明日香も続けて自己紹介を行う


「お初にお目にかかりますわ。わたくしの名前は勇斗さんが言ってらしたとおり海鳴院明日香と申します。これから1年間同じクラスとしてよろしくお願いしますね」

勇斗に続き明日香にまでこう言われたら無視するわけにはいかなくなり優奈と夏菜も自己紹介をする


「私の名前は立花優奈よ。勇斗とは幼なじみよ、これから1年間よろしくね海鳴院さん」


「わたしの名前は梔子夏菜だよっ!ゆうちゃんとは中学からの友達だよ。これからクラスメイトとしてよろしくね明日香ちゃん」

そうそれぞれ一見笑みを浮かべて明日香へと言っているように見えるが、その実心の中では2人共が明日香に対して警戒心を少し抱いている

出会いのフラグを折るのは既に手遅れ

ならばせめてもライバルとなりえないようにしなくてはならないために2人はアイコンタクトによってそれを決定させる


そんな2人の様子に明日香は何かを気づいた様子で


「ふふふっ、それではよろしくお願い致しますね優奈さんと夏菜さん。それとわたくしのことは気軽に明日香とお呼びくださいな」

笑みを浮かべそう言っている

そんな明日香の目はこう語っている

まだその気はありませんがもしそうなったらわたくしはかなり手強いですわよ?と

そんな挑戦的な明日香の視線を受け歯噛みする2人

はやくも勇斗を取り巻く争いの火種は投下されたようだ


そして当然の如くそんな3人の様子をみて、3人とも仲良くできそうで良かったと検討違いのことを考えている勇斗はある意味阿呆である


「それじゃそろそろ教室の方に行ってみようか。早めに行って他のクラスメイトとも何人か仲良くなっておきたいからね」

そういう勇斗に賛同して着いていく3人

これは余談であるが、案の定教室についてからクラスのほぼ全ての女生徒に声をかけられていた勇斗をみて決意を固くする2人と、逆にそんな美少女とよべる2人と仲良くしているうえに他の女生徒からも既に人気のある勇斗に対する男子達からの嫉妬の視線があったりする

その間我関せずと1人読書をしていた明日香はなかなかにマイペースな少女であった








……To be continued

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