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第1章[表]・クラス分けテスト②



迎えたクラス分けテスト2日目

今日は新入生達が学校に所属している教師達との模擬戦を行う日である

簡単にルールを説明しておくと制限時間は僅か5分

その間に意識を失うかギブアップの宣告をすれば試験終了、もしくはギブアップの意思なくとも審判である教員に戦闘続行不能の判断をなされればその時点で試験終了となる

これはもちろん教師側にも適応される

武器・防具の使用は新入生側は何を使用しても問題ないが人を死に至らせるような毒物・薬物の使用は不可、また教師側はそれぞれ模擬戦用の武器を使用し防具の使用は不可である

生徒側の制限が緩いのは単純に魔精力の扱い方すらも知らないような生徒に負ける教師はいないだろうとの考えの上である

その実現時点までで教師側を戦闘不能に陥れることの出来た生徒は存在していない

それほどまでに魔精力を使えるか使えないかの差は大きい

なのでたったの5分といえど十分生徒達の実力をみるに足りる時間であるということだろう


そしてその模擬戦の場所は第一から第三アリーナを使用

このアリーナは年2回行われる学年ごとによる序列決めのトーナメント式武闘会やその他決闘なんかなどといった戦闘をメインとしたイベントで使用される場所である

もちろん模擬戦やトレーニングを行うための場所として予約制ではあるが普段の日でも使用できる

そしてその性質上戦闘を行う正方形の舞台が中心にあり、その舞台の周辺には衝撃をよく吸収する素材を用いて万が一場外に勢いよく飛ばされた時でもそれ以上怪我をしないようにという配慮のもとだ

ちなみに今回の試験のルールでは場外負けはないがこれは恐らく場外に飛ばされた時点で戦闘続行不能になっているだろうとの予測の上だと思われる

また評価の仕方は教えられていない

つまり5分耐え切ればいいのか、それとも自分の能力を見せつけるためにあえてやられるのを覚悟した上で攻めればいいのかの判断は各個人によるといったわけである

まぁ教師側からの攻撃は無いと言われていない時点で5分間耐えることが出来るかどうかを訊ねられたならば…答えに困ると思う

それに教師によってはこの模擬戦においての新入生達の試し方もバラバラであるために一概にこうしたらいいという方法はないのだ


そしてそんな試験を当日に迎えた新入生達は各々の獲物を持ち昨日の各グループごとに予定された時間に指定されたアリーナへと足を向ける

ぱっと見ただけでも刀・槍・弓・大剣といったふうに様々な武器を持っている人がいるのが見てとれる

そして普通の人ならばここで1つ疑問が湧くだろう

何故新入生達の中に本物の武器を所持している者達が存在しているのだろうか?

世界融合前の日本であるならば余裕で銃刀法違反であるような武器を所持している生徒達

ちなみに今の日本においても銃刀法は存在しているがその内容は少し変更されておりこの学校、日連魔法戦闘高等学校に所属する者、または日本とソティシアの両国からの認定を受け序列所持者エヴァンナンバーズに選ばれた者達はある一定の規則のもと各々の獲物の所持、または魔法陣による召喚契約が許されている

つまり新入生達は既に武器を所持しこの学校へと持ち込むことを許されているのだ

勿論その分罪を犯した際の罰は大きい


だがここでの疑問はそっちではないだろう

何故新入生、齢15ぐらいの少年少女達が本物の武器を扱うことができるのか?という疑問

そんなの答えは1つしかない

この学校への入学者はそうやって己の得意武器を既に見つけ、それらを扱う訓練をおこなってきた者達がほとんどなのである

もちろん武器等を用いない武術を修めている者もいる

ちなみに勇斗、それに優奈も己の獲物を既に定めている

2人と違い夏菜は家系的にも普通であるが故に今までの経験的にも武器を取り扱ったことや武術を嗜んでいるようなことはないがこれはこの学校に合格している者のなかではレアケースである

そんな感じで要するに素の戦闘能力が他の人々より秀でている者達がこの学校へ集まるのだ

ちなみにこれは偶然ではなく入学試験時の書類審査によって家系やこれまでの経歴を踏まえ、多少は加点されてたりして合格している者も多数いたりする

そんなこと関係なく合格している者は入学試験時に既に魔精力のランクが高かかったり、筆記試験がかなり良いできである者ばかりである

それに戦闘経験のない者は基本的に武器なしの素手で模擬戦に挑むこととなる

そういった者達がどうやって今日のテストを乗り切るのかも教師達が注目している事の1つだろう




そして2日目の開始予定時刻になった

勇斗は昨日同様に優奈と夏菜とは別のグループ

更にいえば勇斗が所属するグループ含め3グループが午前中にテストが行われており優奈と夏菜が所属する3グループの方は午後に行われるということらしい

そうして第三アリーナに既に来ている勇斗

そんな勇斗は肩にかける袋の中に自身が使用している武器を家から持ってきている

そうして待つ勇斗の耳にこのグループを引率している教師の声が聞こえてくる


「それじゃあ今から2日目のテストとして教師との模擬戦を行う!配布した資料にルール等は全て書いてあったと思うが質問がある奴はいるか!?」

すると1人の男子生徒が手を挙げ教師に質問をする


「本当に僕達は本物の武器を使用してもよろしいのでしょうか?さすがに万が一があってからじゃ遅いと思いますが……」

尻すぼみになりながらもそう発言した男子生徒は腰に刀をさしているのが見える

だが引率の教師はこの質問を聞くと


「その心配は要らん!お前達のような青二才では我々教師陣に傷をおわすことすら出来んからな!」

と笑いながら答えた

その発言を聞いて生徒達の中の何名は殺気だつ者がいるが勇斗としては逆に模擬戦についての不安がつのる


(本物の武器ありの試験……この教師の自信からしても僕達が本物を使ったとしても模擬戦用の武器を使う教師達には勝てない、更にいえば傷すらつけられないというわけか。それに噂では今までに教師に勝った生徒はいないらしいし。つまり勝ちを狙うのはほぼ不可能、ということは必然的に攻めも守りもしつつ5分間耐え切れば評価が良いはず)

そんな考えを胸に抱く勇斗


「他に質問はないな?それじゃあ着いてこい!」

そう言って先導してアリーナ内部へと入っていく教師の後をついていきながらも勇斗は考え事を続ける


(とりあえず僕の順番は最後の方。つまりそれだけ教師の動きの観察ができる。それである程度対策を立てよう)

そしてアリーナに辿り着いた勇斗達はアリーナにある舞台を囲むように本来ならば場外の位置に立って待つように指示される

そして勇斗達が指示通りの位置についたのを確認した教師は1人舞台の上に立つと声を上げる


「それでは今から私との模擬戦を開始する!昨日伝えた番号順に一人づつ舞台へとあがれ!」

そう言う教師

そんな教師を見て一斉に驚く勇斗達

何故ならこの教師が模擬戦の相手であることは薄々気づいていたが…まさか素手で戦闘をするつもりだとは考えていなかったのだろう

新入生達は本物の武器、相対する教師は素手

武器を扱う者が初心者じゃない時点でどちらが勝つかなんて小学生でも分かるようなこの状況を見て勇斗達の反応は3つにわかれる

1つは単純に舐められていることに対して怒りを覚える者

2つはそれほどまでに教師の実力と自分達の実力に差があるのかと考えて恐怖を覚える者

3つはこれまでの状況を判断して自身が行うべき最適な行動を考えはじめる者だ


そうしてそんな半数ぐらいが動揺を隠せていない中、教師との模擬戦は開始される


「まずは1番の者!舞台の上へ!」

教師がそう言うと舞台を囲む人の輪から西洋剣を手に持った1人の男子生徒が舞台の上へとあがる

この男子生徒はどうやら教師の発言を聞いて怒りを覚えた側らしい

ずっと教師を睨みつけていることからもそれが分かる

そして男子生徒が舞台へあがり武器を構えたのを確認した教師は両手を広げて宣言する


「よし!では開始だ、どこからでもかかってきまえ」

そのあまりにも無防備な様子に更に怒りを増す男子生徒


「てめぇっ!後悔すんじゃねぇぞ!!」

そう言いながら素早く教師の後ろへと移動する男子生徒


(速い!…でも優奈の方がもっと速いかな)

男子生徒の速度を見てそんなことを考える勇斗

その速度は一般的な人の目にはハッキリとは見えないようなスピードだが勇斗には余裕で見えていたし、それよりも優奈の方が速いらしい

そしてそのまま教師の首に向かって剣を振るう男子生徒


「もらった!」

余りに躊躇ない攻撃に最悪の事態を想像した生徒達が目を背けるが勇斗は目を背けない

なんせ教師が右手を動かそうとしているのが感じ取れたから

そしてそのまま教師はたった2本の指で剣を受け止める


「なっ!」

男子生徒は完全に入ったと感じた一撃を容易く受け止められたことに驚きを隠せない

そしてそんな隙を見逃す教師ではない


「ほら、隙ありだ」

そう言いながら男子生徒の額へとデコピンをする教師

パコォォォン

そんなデコピンでなるような音なのか?と疑いたくなるような音を立てて吹き飛ぶ男子生徒

既に意識はないのか剣を手放しピクリとも動かない

てかマジで死んでいるようにしか見えない

そんな男子生徒を見て他の生徒達には衝撃がはしる

決してこの男子生徒が弱かったわけではない

それは移動速度や剣筋から見ても分かることだろう

だがそれにもかかわらずにたったの一撃で戦闘不能にさせられてしまった事実に驚きを隠せない

そんな生徒達を見て教師が声をかける


「ほらどうした、次だ次。それとそいつのことは気にしなくても大丈夫だぞ。ちゃんとお前らが意識を飛ばすギリギリぐらいの攻撃しかしないつもりだからな。ほっといてもすぐに目覚めるだろうさ」

そう宣う教師であるがもしこれが事実ならばもうそれは勝ちはないと断言出来るほどの実力差があることを示唆している

単純に殺すのではなく手加減して意識を奪う程度に威力を抑えることがどれだけ難しいのか分かる生徒からすればその事実は一瞬で理解出来ている

その事実からか生徒達を緊張した雰囲気が包む


そうしてそんな雰囲気の中次々と模擬戦は進んでいく

デコピン

ツッパリ

背負投げ

正拳突き

猫騙し

そんな色々な方法で次々と生徒を一撃で戦闘不能にしていく様はまさに無双状態

それにどの試合もまだ1分たりとも経つことなく終えている

そしてその状況に勇斗は少し歯噛みしていた


(これじゃまるで参考にならない。誰もこれも一瞬のうちに一撃でやられているからかどんな対応すればいいのか分からない。それに気圧されてかみんな動きが硬いし。これはどうしたもんか…)

勇斗がそう考えるように今までの試合がどれもこれも瞬殺で終わっているがためになんの参考にもならない

でもそれも仕方ないことだろう

なんせどの攻撃でもまともに受けたら戦闘不能なのだ

何それクソゲー?と言いたくなるような難易度

他の生徒達が諦めを顕にして挑むのも仕方ない


(まだ30分ぐらいしか経ってないのにもうほとんど人が残ってない…、誰かちょっとでも参考になる試合をしてくれないかなぁ)

そう願う勇斗

そして結局誰の試合も参考になることのないまま勇斗の順になろうかといったその時


「ほい、次!」

そんな教師の言葉に反応して舞台にあがる1人の女子生徒


「次はわたくしの順でございますわね。それでは1戦、お手柔らかにお願い致しますわ」

そう言い優雅にお辞儀する女子生徒が手に持つ武器は今まで誰も使用していなかった弓

背中にある矢筒には大量の矢がはいっているように見える


(初の遠距離武器か…。これは少し期待できるな)

そう勇斗が考えると同時に女子生徒は矢筒から矢を抜きとると弓を素早く引き矢を同時に3本、教師に向けて射たのであった








……To be continued

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