表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/26

第1章[裏]・怒りの理由ととばっちり



初夏を実感させる程の晴天と高い気温

それとは別に対抗戦という新入生からしてみれば初の大イベントによる生徒達の熱狂とした雰囲気に包まれているこの第3アリーナのその舞台の上では女子生徒1人とそれに対して男子生徒3人がかりによる激烈な攻防が繰り広げられていた

その4人の衝突の中心からはキンッ!カンッ!という金属同士がぶつかる甲高い音や、ドンッ!ゴンッ!といった爆発や衝撃音が絶え間なく聞こえてくる

そんな感じで相対している4人のうち1人は刹那

刹那はそこら辺の子供が見たら泣きだしそうなくらいの雰囲気を纏い怒涛の勢いで戦っており、対する男子生徒達は3人がかりにも関わらずに刹那と互角の戦いを繰り広げる様となっている

そしてその4人をアリーナの舞台の端のほうギリギリに座り込み胡座をかいて遠巻きに眺めているのは本来ならばこの試合で彼女と共に戦うべき生徒である光夜

光夜は刹那の暴れっぷりに巻き込まれないように端にいるのだが周りからは「お前も戦えー!」やら「やる気ないなら帰れー!」やら様々な言葉が投げかけられており、珍しくかなり気が滅入っている様子だ


だがそう言われても光夜からしてみれば目の前で繰り広げられている戦いに介入するのはめんどくさいという酷い理由に加えて、刹那から手出しは無用であると先程告げられた故の正当な理由もある

といってもそんな2人の事情は刹那と光夜にしか分かるわけもなく、残念なことに現状アリーナの観客からは光夜に対する野次やら罵倒やらが絶え間なく飛び交ってくる現状

そんななかブーイングを受けても全く知らん素振りを通し、目の前の激戦が終わるのを今か今かと待ちわびている光夜は死んだ魚のような目をしながら考える

どうしてこうなった?……んだと






時は少し遡り対抗戦初日であった昨日のこと

テンポよく次々に試合は行われていきいよいよ光夜と刹那のはじめての試合がはじまる時刻になった


「それでは1回戦第5試合を開始する!両チームとも構え!」

審判役の教師の宣言と同時に試合開始の合図がアリーナで鳴り響く

今回の光夜達の試合の相手はDクラスの5人

見るからに全員が全員近接戦闘しますよーっと言わんばかりの武器を構えてこちらへと向かってくる


「相手はたったの2人、それにFクラスだ。ちゃっちゃと終わらせてやるぜ!いくぞ、みんな!」


「「「「おう(了解)!」」」」

リーダ格らしき生徒の掛け声のもと光夜達へと接近してくるとそれに合わせて先程まで真横に位置どっていた刹那が光夜に「それじゃ予定通りに私ひとりでやるわ。貴方は巻き込まれないように下がってなさい」と告げると5人に向かって悠々と歩いていきながら両手にそれぞれ1本ずつもつ自らの得物…死神が使っていそうな印象を与える大鎌を構える


「よし、まずは前に出てきたあいつからやるぞ!あの武器なら接近すれば余裕で勝てるはずだ」

そんな指示のもと刹那を取り囲むように動く5人

確かに刹那の持つ武器・大鎌だと身近に接近されることになれば一般的な刀剣類・棒類なんかが相手だと苦戦を余儀なくされるだろう

というよりそもそも大鎌自体の扱いが頗る難しい

攻撃面に関して言えば鋭い刃とある程度のリーチがあるので使い手によってはかなり強い、だがその反面防御面ではその刃の性質からしても相手の武器による攻撃を受けることは難しいしその刃は脆い

つまり超攻撃的な武器なのだ

ましてや刹那のように大鎌の二刀流ともなると珍しいを通り越してオンリーワンなのではないかと思えるくらい想像もつかない戦闘スタイルの選択だ

ちなみに光夜は最初に刹那の戦闘スタイルが大鎌の二刀流を見た時にその絵面からか何故か反射的に吹き出してしまい、それにより機嫌を悪くした刹那によって怒涛の攻めを受けることになったのはいい思い出である

もちろんそんな刹那の攻撃を全て無事凌ぎった光夜だがそれにより更に刹那が燃え上がったのは余談である


そんな遠い昔のようで最近のことを思い出しながら対戦相手の5人に気づかれないように素早く舞台の端まで移動した光夜

そして光夜が自身のキリングレンジから退避したことを把握した刹那な動き出す


「貴方達に恨みがあるわけではないけど一瞬で終わらせるわ」

そんな刹那の声が聞こえた…と思った時には刹那の真正面にいたリーダ格の生徒は自信がいつ攻撃を受けたのかすらも把握出来ないまま場外へと吹っ飛ばされていた

光夜には見えていたが刹那は大鎌の刃の部分に生徒の胴体を引っかけてそのまま場外へと投げ飛ばしたみたいだ

なんせこの方法は1度無抵抗にその身体が掴まればそのまま場外へと誘われる攻撃なので、まさに今回の試合のルールを考慮し逆に利用した一撃必殺といえるだろう

空中で身を翻す身体能力でもないとほんと終わる

やられた生徒は乙である

だがたった1人場外へと飛ばしたくらいでは刹那の動きが止まるわけもない


「あと4人」


「あと3人」


「あと2人」


「あと1人」

と次々にまったく動きが目で追えていない相手チームの生徒達を場外へと投げ飛ばす刹那

そのカウントはまさに死神からの死刑宣告

そしてたった1人になってしまった生徒も「これで終わり…」という声が聞こえたと思えば既に体は宙を舞っているという始末

5人が全員場外へ飛ばされるまでに要した時間は僅か7

過去をみても類を見ないほどの短期決着だ


「あっけないものね…」

そんなことを呟きながら刹那は審判による勝者宣言を待たずに舞台から降りアリーナの外へと向かって歩き出す

そんな刹那の後ろを光夜は気配を消してついていく

そんなあっけない試合の終了宣告がなされたのは2人が既にアリーナから姿を消してからだったのであった




そして無事に初日の試合を終えやることもなくなった2人はのんびりと教室へと向かって歩く


「手応えはどうだった?」

そう刹那からいつもより増していた威圧的なオーラがしなくなったのを確認した光夜は問いかける


「まるでダメね、あれなら貴方1人を相手にした方がよっぽどマシよ。おかげさまで消化不良だわ」


「まぁ瞬殺だったからな。でも明日の試合はAクラス相手だからさすがに厳しいかもよ。流石に明日は1人で全員を相手するわけじゃないでしょ?」


「そうね、明日は貴方にも1人や2人は相手してもらうと思うわ。初見殺しの技や奥の手もあるにはあるけどまだまだとっておきたいから。それに貴方はただ回避に徹して何人か引きつけるくらいなら余裕でしょう?」


「なんでそんなに高く評価されてるのか分からないけど頑張ってみるさ。まっ、戦力にはならない迄も足を引っ張らないようには気をつけるよ」


「えぇ、期待してるわ」

とそんな会話をしながら歩いていく2人の前に女子生徒を筆頭とした5人組が現れ、何故か刹那はその女子生徒に対し鋭い視線を向けている

なんぞこれ?と光夜が睨み合う…と言うよりは刹那が睨み相手の女子生徒が微笑を浮かべているこの状況に対して不思議に思っていると先に女子生徒の方が口を開いた


「お久しぶりですね葛城さん。無事1回戦の方を突破出来たようで何よりです」

そう言う微笑を浮かべたままの女子生徒は言葉を続ける


「私の知るところによるとFクラスの方で1回戦を突破出来るのは年に1チームか2チームくらいだとか。それに2回戦以降となると勝ち抜ける確率はほぼ零だそうですね。それに……」

ここで刹那が女子生徒の話を遮るように口を出す


「…美椿、結局貴方は何が言いたいのかしら?」

そう鋭い声で問いかける刹那

視線は未だ美椿と呼ばれた女子生徒に向けられており先程までとは違い雰囲気もいつもの様に尖ってきている

それに対し美椿も微笑を浮かべるのをやめ真顔になると刹那へと告げる


「率直に言うと下克上なんて非現実的なことを夢みるのはやめた方がいいですよ?といった忠告ですわ。仮にも何にも貴方はFクラス、私達Aクラスとは比べものにならない差がありましてよ」

そんな光夜達下位クラスを馬鹿にしてるとしか思えない発言を宣う美椿だがそれを聞いた刹那だって黙ってはいない


「丁寧な忠告ありがとう。貴方はいつもみたいにそうやって下を見下していればいいわ。その程度の器の人なら全く驚異にはならないもの」

買い言葉に売り言葉

まさにそんな風に挑発し合う2人だが睨みつつもいつもと変わらぬ無表情な刹那と比べて相手の美椿の表情からは苛立ちが伺える

どうやら舌戦では刹那の方が1枚上手らしい


「それじゃあ用はそれぐらいかしら?それならもう帰りたいのだけれど」


「っ!…私の言いたいことは終わりました。それではせいぜい恥をかかないように頑張ってくださいね。といっても貴方達は明日私達のクラスの方々に負けるでしょうけども」

そんなやり取りを最後に美椿率いる5人組は光夜と刹那の横を通りアリーナの方へと向かっていく

その時刹那の横を通り過ぎようとした美椿が刹那にだけ聞こえるように「みすぼらしく負けてお姉様の顔に泥を塗らないといいですね」と呟き、そのまま通り過ぎって行った


(お姉様?……あぁ、多分あの人のことね。ということはあの人はそれなりに刹那と繋がりがある人ってわけか)

美椿のつぶやきからそんなことを考えていた光夜だが隣の刹那から醸し出される過去一といってもいいくらいの殺気によって意識をそっちに向ける

見てみると刹那な美人が台無しなくらいに怖い表情を浮かべ、握りこぶしは血が出るのではないかと思うほどに力が込められている


(あちゃー、刹那にとっては姉の話はタブーだもんなぁ。……えぇぇ、俺がこの後処理するの?めんどくさいんだけれども)

そう考えながら泣く子が更に泣くといえる今の刹那をこの場に放置するわけにも行かずに光夜は刹那の手を引っ張るとそのまま教室へと連れていく

ちなみに刹那なこのように激昴状態になるとしばらく我を失い棒立ちになるくせがあり、この状態ならば我に戻るまで手を引っ張ったりしてやると素直に着いてくる

そして無事に誰もいない教室まで光夜達がたどり着くとやっと我に戻ったのか知らないが刹那は殺気はそのまま無表情になると光夜に告げる


「気が変わった。明日の試合も全部私一人でやる」

そう言うとすぐさま荷物を持ち教室から出ていく刹那

触らぬ神に祟りなしなので光夜は何も言わなかったが今の刹那の状態ならば多分明日の試合は荒れることになること間違いなしだろう

この時はそんなことを呑気に思っていた光夜


そして見事にその予想は当たり、時は冒頭へと戻る






……To be continued

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ