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第一話『世界の後継者』

ずっとなにかを探しているような気がして、手をのばす。

その先になにがあるのか、私は知らない。

そして、私の手はなにかを掴むこともなく、いつもどうしようもない気持ちになって目が覚める。

あくびをしながらベッドから立ち上がり、眠い目をこすってポストにいく。


「……今日も仕事はなし、と」


あの日、記憶を無くしてから私は、この魔術都市ロンドンで魔法使いとして暮らし始めた。

なぜかずっといるはずなのにどこか違う場所を思い出してしまうのは、どうしてなのだろうか。

そこに、インターホンが鳴り響く。


「ディアナ、いるか?」


その声は私にこの街での居場所を用意してくれた人のものだった。


「マーリンさん、どうしたんですか?」

「おいおい、寝間着のままで客人の前に出るものではないよ」

「すみません」


それからマーリンさんを中にいれて、私は服を着替える。


「それで、どういったご用件ですか?」

「なに、こんな魔術都市では、魔法使いは珍しくないだろうから、君のやっている商売が上手くいっているのか心配になってね」

「……余計なお世話です」

「その反応からすると、商売は上手くいっていないんだね」


人を見透かすようなこの人の言動には気を付けなければ。


「そんな不景気な君に仕事を持ってきた」

「仕事、ですか?」

「そう、仕事だよ」


この街で魔法を使った仕事をしている人はたくさんいる。

私もその中の一人で、魔法を使った探偵みたいな仕事をしていた。

基本仕事の依頼は手紙で来るのだが、たまにこうやって仕事を持ってきてくれることもある。


「いったいどんなお仕事ですか?」

「東にある大陸で、魔獣が確認された。 それの確保、もしくは殺害だ」

「そんな仕事を、私に……?」


魔獣は、絶滅したはずの魔法が使える動物のことだ。

よってこういった仕事は国が対処するのが暗黙のルールではあった。


「もちろん君一人ではない。 君と、もう一人国から派遣されている」


もう一人?


「世界の後継者と一緒に行ってもらう」

「世界の、後継者ですか?」

「そう、名前は___」


「私の名前はアイネよ!!」


その声はマーリンさんのものでは当然なく、玄関へと続く扉の方から聞こえる。

目をやると、そこには私と同じくらいの女の子が立っていた。

赤い瞳に金色の髪。

キリっとあがった眉とは対称的に下がったたれ目。

子供っぽくはないのに、はずんでいるように高い声。


「賢者様!! 私一人でもそんな仕事できますわ! だって私は、世界の子供ですから!」

たまたま読んでくださったかた有難うございます_(._.)_

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