プロローグ『ディアナ』
懲りもせずにファンタジーもの書きました。
ちょっとがんばって書いてみます。
世界は、人が思っているほど理不尽でも、不平等でもない。
もしそれらがあるんだとしたら、きっとそれは、世界から嫌われているからだと、私は思う。
私は、世界が生んだ理不尽と不平等の塊。
世界に嫌われている存在、世界の隠し子。
「こんな宵に子供一人で、どうしたんだい? お嬢さん」
その人は、私を見ることができた。
穢らわしいと、汚ならしいと罵声と暴言を浴びせることなく、私を真っ直ぐに見つめる人だった。
「これが世界の隠し子か。 なかなか澄んだ瞳をしているね。 魔法の素質はあるみたいだ」
その人は、私の目を見て、私の頭を撫でた。
「月明かりに輝く白い色の綺麗な髪だ。 ふむ、あいつには悪いが、この子は私が育てるとしよう」
そういうと、その人の手は私の手を握っていた。
「さあ、おいで。 君が愛されるように、私が教えてあげよう。 君が知らなかったこと、知りたいこと、知りたくないこと、教えれるだけを教えてあげよう」
手を引っ張られ、私は思わず立ち上がってしまう。
そのまま連れられるように歩く。
「私はオズ。 世界の友人さ。 君を嫌った世界と、君を愛した世界の」
その人が一歩歩くたびに、道がきらびやかに輝いていく。
だんだんと光で街が覆われていく。
赤や青、黄色に緑、様々な色が混じりあっていく。
そして世界は真っ暗に、一つの光も無かったかのように黒くなった。
「そうそう、君の名前なんだけど、きっとろくな名前などないのだろう? だから、私が決めさせてもらったよ」
すると、真っ暗で真っ黒だった世界に、光の亀裂が入る。
少しずつ黒が剥がれていき、また世界が光を戻していく。
そして、目の前の光景に私は目を見開いた。
そこは先程までいた街とは似ても似つかないまったく別の場所だったのだ。
「今日から君の名前はディアナ。 月明かりだけは君を照らしてくれる。 さあディアナ、君の世界はここから始まるんだ」
『世界を愛する物語』が。
たまたま読んでくださったかた有難うございます。