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刻印のアレリア  作者: 砂ノ城
第一の物語・月の姫
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四部一章《923年》オウロ①

 剣の翼を持つ孔雀のような魔族はルード達を見逃すという言葉の通り、道をあけ、通り過ぎていく二人をそのまま見送った。


「すまないな、息子達を通してもらっちゃってさ。俺はレオス、そっちのはオウロ。せっかくだし、アンタの名前も聞いていいかい?」


 ルード達の姿が完全に消えた後、レオスが魔族へと話かける。


「いいでしょう、私の名前はアンドレアルフス、あなた達を葬り去るもの、とでも言いましょうか」


 ルード達を見送り階段の先へ向いていたが、レオスのコトバニ振り返ると答える魔族アンドレアルフス。


「ふっ、そう簡単にやられるつもりはねえよ。俺達もまだこの先に用事があるんでな」


 剣を構えるレオス。


「私を甘くみない方がいい、先程の二人ならともかく、貴方達二人に負けるほど弱くはありませんよ」


 アンドレアルフスは先程閉じた剣の翼を大きく広げ、威嚇するようなポーズを取る。


「おいおい」


「まったく……」


 聞き捨てならないことを言われたな。


「なぁ、オウロ、こいつ何言ってるんだろうな」


「私達が息子達より弱い、と言いたいんだろう」


 大げさに肩をすくめて、呆れた顔をするレオスに私は言葉を返す。


 そんな二人のやり取りを見ていたアンドレアルフスは笑い声をあげた。


「まさしく、その通り! 私は強者との戦いを好むタイプの同族とは違い、弱者をただ狩れるならその方が好みなのです、なのでこの状況は私としても望むところというわけです」


 笑い声をあげた後、そう言ったアンドレアルフスは見下すような表情を浮かべる。孔雀のような顔だが、意外と表情でわかるものなのだな、言いたいことが。


 隣に立つレオスも私と同じことを思ったらしく、本気になっている。元々カッとなりやすい性格だったが、大分怒っているな。


 しかし、今日に限っては私も同意だ。


「おい、アンドレアルフスっつったか」


 斬りかかるレオスに、ぐるっと回転し背中を向け、剣の翼で振り下ろされるレオスの剣を防ぐアンドレアルフス。


「貴方に一つ、言っておくことがある」


 レオスに背中を見せたため私の方に正面を向けてくれたので、遠慮なく正面から剣を振るが、翼の剣を一本、嘴で加え、防ぐ。


「随分と俺達を下に見てくれてるが」


 レオスは人刻印の力を込めた一撃で、翼で防ぐアンドレアルフスをそのまま吹き飛ばす。


「後悔しても知りませんよ、貴方のほうこそ」


 吹き飛ばされた衝撃で私の方に向かってくるアンドレアルフスの頭を踏み、飛び越え避けると同時に、頭部に蹴りを入れておく。


『あんまり俺(私)達をナメるなよ!』


 床に転がったが、その勢いのまま回転し、体勢を立て直し立ち上がると、再び翼を広げるアンドレアルフス。


「ほう、意外とお強いのですね、先程までとは違って見えます」


 先程までの余裕な態度とは違い、怒りを感じる。


 奴もこれからが本気ということか。


「これでもあいつらより長いこと戦ってきてるんでな!」


 将軍として戦い続けてたお前と違って私にはブランクがあるけどな、と。


 そんなこと考えてる余裕はないか。


「いいでしょう、私の本気をお見せします」


 うめくような声をあげ、体を震わせると、翼の下、胴体部分から腕が生えてくる。


「なに……」


 孔雀のような見た目だったが、腕が左右に三本ずつの六本生えたことで、禍禍しさを増した。


 翼の剣をそれぞれの手に構える。


 ルード達にたいして行った攻撃や、手に構えた分も合わせて、相当な数の剣が翼から失われた。


 しかし、もう一度体を震わせたアンドレアルフスの背からは、剣の翼が生えてきている。そして、大した時間もかからず、最初と同じだけの翼を持った姿となった。


「私の六刀、いや翼も含めた無限刀流の剣技、あなたがたに防げますかぁぁぁ」


 隣に立つように移動してきてたレオスと並んで剣を構える。


「これ、結構やばくないか? 少し挑発しすぎたかな」


 そんなことを言ってるが、面白がってるのが分かる。


 こいつも戦闘狂の一種だし、楽しくなってるんだろう。


「そう思うなら、お前が責任を持って倒してくれるよな」


「俺だけのせいじゃねえだろ」


 飛ぶのには到底使えなさそうな翼だったが、羽ばたくように動かすとこちらに向かって、滑るように飛んでくる。


 六本の剣を警戒してると、体を回し、剣の嵐のような攻撃をしてくる。


「防げレオス」


 私の細身の長剣では無理だと、レオスの幅広の大剣に防がせる。


「あれやるぞ、合わせろレオス」


 私とレオスは同じ人刻印を持つ。


 若い頃から何度も共闘もしてきた、合わせ技の一つや二つもちろんある。

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