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目覚めたらそこは異世界だった  作者: 柊 空音
第4章 英雄の記憶
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第4章11 「日常」

「私の旦那さんになって欲しいの」


俺は頭が真っ白になった。

フィリアが言ってる言葉の意味は解っている。

だが、これって男から言うべき事ではと勝手に想像し、頭が混乱したのだ。


「でも、俺まだ16歳だよ?」


混乱した上冷静に何故か突っ込んでしまった。


「確かにバーンクロスでは結婚は男女とも18歳だと決まっています。でも…」

「でも?」


フィリアがまた顔を赤く染めた。


「今しか言えないから!だから!」

「どうして?」

「侑には言ってなかったけど…」


フィリアは、これから自分が国を守っていく立場になっていく事を説明し、その影響で自由に城を出られなくなるとヴァルフレアから言われたという内容だった。

だから、いつこうやって話せる時間があるか解らないから、今言ったという事だ。


「そうか…いよいよフィリアが前に出るんだな」

「私は嫌って言ったの。まだそんな歳でもないって。でもお父様は今が好機だと」

「まぁ、代を変えるのは簡単な事じゃないから、そう言ったんだろう」

「バーンクロスの為、私は受けたけど、でもやっぱり侑達と旅をしたかった」

「俺も旅をしたかったよ。冒険者としてもちょっとだけだったし鍛冶屋としてもちょっとかじったくらいで終わっちゃいそうだし」

「まぁ、侑にも重い役をお父様は任せたそうだし、そうなるのかな」

「だから、お互い忙しくなるけど、時間が無い訳じゃないだろ?」

「うん…確かに」

「だから心配するなよ」


俺は、フィリアの頭を撫でた。

こうやって撫でてあげるのも初めてかもしれない。

される側はあったかもしれないけど。


「くすぐったいよ」

「ごめんごめん、つい」

「でも、嬉しい。侑ってそんな事してくれない人だと思ってた」

「いや、ちょっと恥ずかしくて」

「えへへ、可愛い」

「か、可愛いって言うなよ」

「ありがとうね。侑」

「何が?」

「城に残るのも私の為なんだよね?」

「まぁ、傍に居たら守れるからな」


本当はそれだけじゃない。

心の底では、フィリアと同じ位置に居たい。

そういう我儘も入っていた。


「これからも宜しくですよ。隊長殿」

「フィリアって案外父親よりだよね?」

「ん?何が?」

「その意地悪っぽく言う様が陛下とそっくりなんだよ」

「嬉しい?」

「いや、素直に嬉しくない」

「もー」


店に響く笑い声、それはいつまでも続いて欲しいと願うけど、その願いは元々叶う予定も無い物だ。

ずっと冒険者をしていたい。ずっと鍛冶屋をしていたい。

逆に言うと、日常生活を送れてる方が幸せなのかもしれない。

そう思ったこの頃を今も覚えている。はずだった。


to be continued…

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