第4章8 「壊れない想い」
こうしてバーンクロスに戻った。
俺達の居場所であるこの街にまた1人、居場所を求めたい少女がその地に足を踏み入れたのだ。
でも居場所にするという事はとても難しい事で、彼女がまた挫折してしまうかもしれない。
でもそれを乗り越えられると信じて、俺達は彼女を見守る事にした。
「それでその少女が魔女の正体…か」
「はい、陛下」
俺達は早速バーンクロス城に行き、ヴァルフレアに全てを打ち明けた。
「俄かには信じがたいが、侑君が言ってるとすると本当の話なのだろう」
「信じて頂いて嬉しいです。ですが彼女もまた被害者です。ここで終わりだとは俺は思いません」
「うん、それは私も解っている。操っている者が解らぬ以上警戒を怠らない様にしないとな」
「俺も気を付けます」
「ああ、侑君も今となっては操られてはならない人物になった事だし、警戒をして欲しい」
「はい」
封印が解け、目を覚ましたフィリアに全てを聞いたとの事だった。
フィリアは全てを話して疲れたのか、話をし終えた後また眠ったのだ。
「取り敢えず、その者は牢へ暫く入ってもらおうかな?」
「それは全く問題ありません陛下。この度はこの街を民を巻き込んでしまい申し訳ございません」
「一応の処置だ。でないと民に示しが付かんからな。フィリス、君は自分を責め過ぎない様に」
「はい、有難う御座います」
こうしてフィリスは牢へと移動した。
茜、ココア、メルは相当疲れた様で部屋で休むと言って去って行った。
「さて、侑君」
「はい」
「私のあの場所に来て欲しい」
「また拷問ですか?」
「ああ、たっぷりとお仕置きしてやろう」
「仰せのままに」
ヴァルフレアの部屋へまた入ろうとは思ってもいなかったが、また何か大事な話があると思い、付いて行った。
「侑君…」
「何でしょう?」
明らかに声がおかしかった。というかこの展開は前にも見たことが…
「その…」
「勿体ぶらないで言って下さい」
その瞬間急に近付き、
「フィリアとはどこまで行ったのだ?」
「(やっぱりこの人変わってねぇ…)」
「どこまでと言われましても」
「手は繋いだ?」
「どうでしょう?」
「チューは?」
「子供か!!」
「もう、侑君意地悪」
「陛下、少しはましになられたかと思ったのですが、俺の検討違いだった様ですね」
「侑君が勘違いしているだけだよ?僕がいつでもこれだよ」
「さっきのは何だったのですが?」
「いや、あれは家臣も居たし、その」
「つまり形式上って事ですか」
「おお、侑君話が早くて助かる」
いつもみたいな会話をしていたが、
「でも、本当に侑君には感謝しているよ」
「え?」
「どんな事が有っても、フィリアを助けたい気持ちが壊れなくて本当に君は強いなと感じた」
「いや、正直仲間が居なかったら壊れていたかもです」
「でも、それを乗り越えられたのは君自身だ」
「壊れない想いってやはり強い思いなんでしょうか?」
「きっとそうだと僕は信じているよ」
そして、ヴァルフレアが続いてこう言った。
to be continued…




