第4章6 「呪われていたその姿」
「魔女、お前はこれで終わりだ」
「な、何をするのじゃ」
「もう終わりにしよう。全てを」
「い、いやあああああああああ」
「お前はもう負けた。その事実は変わらない。もうこれ以上の力は無いだろ?杖が無ければ」
そう、俺は薄々気付いていた。
魔女は杖を受け皿としていた事。
全ての行動が杖から発動していた事。
魔女も結局1人では覚醒出来なかった。そして物を使ったも覚醒し切れなかった事。
勘が鋭い俺はそれに気付けた。だから勝てた。
もし、勘が外れていても、魔女のこの驚き様じゃ負ける気がしなかった。
恐らく、初めて見た圧倒的な力だったんだろう。客観的にされたら俺もこうなる。
俺はそう思いながら魔女に剣を振った。
バサッ
でも俺が魔女自信を斬らなかった。
斬ったのは魔女の前に浮かんでいた札の様な物。
覚醒時に目の性質も変わって呪いの様な物も見える様になっていた。
その時、俺は確信したんだ。
「お前、俺の事解るか?」
そう魔女に問うと、
「何方ですか?ここは?」
やっぱり。
俺は今まで見えない敵と戦っていたという事だった。
目の前に居たのは、さっきまでの顔色が悪く殺気が有り、恐ろしい顔をしていた女性ではなく、
顔色も良く可愛らしい女の子がそこに居た。
「名前は?」
「フィリス・アルベルトです」
「フィリス…フィリアと似てるな」
「フィリア?フィリア・バーン・クロスですか?」
「ああ、そうだけど?」
そう言うと、フィリスは少し暗い顔をした。
俺は特に気に留めなかった。
操られていたとはいえ、さっきまで戦っていた敵だからそんな事考えている余裕は無かった。
取り敢えず、俺は覚醒を解き、バーンクロスに戻る事にした。
「ちょっと侑君、どうなってるの?」
「魔女は操られていたんだよ。本当の敵はまだ居る」
「そんな…」
茜が落ち込むのもよく解る。
俺の覚醒後だから精神的に落ち着いているが普通なら落ち込むレベルだ。
これまでの色々な努力が一瞬にして無駄にされたからだ。
俺は微かに怒りが出て来た。
「くそっ」
小さくそう呟いた。
俺達は、戻る際フィリスにある事を聞いた。
「俺達と出会う前の記憶ってあるか?」
「はい、あります」
「最後の記憶は何だった?」
「呪いの祠に居た事です」
「呪いの祠?」
「はい、人を呪う為の祠です」
そう話していると茜が、
「聞いた事ある。何でも呪った人は何かを犠牲にしてその願いを叶える神様が居るとか」
「そうなんだ」
何かを犠牲にして叶える。
だからフィリスは操られていた。
でも、そうなると他にもたくさん居る事になる。
この世で呪いなんて数えれる数じゃない事は、俺の世界と変わらないから。
「でも、誰を呪おうとしたの?」
「あっ…それは言えないです」
「そうか、まぁ仕方ないね」
「あっでも私このまま捕まるんですよね?」
「操られていたからそこまでは無いと思うよ」
「でも、いずれ話さなければいけないので皆さんに言っておきます」
そして、俺達は一旦立ち止まってフィリスの話を聞いた。
「私は、バーンクロスを呪ったのです」
to be continued…




